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優斗は、雑木の陰から、用心深く覗き込む。
優斗)ゔっ。
射竦めるような目と目が合い、危うくLove so sweetを流しそうだった。
慧)蓮は?
優斗)再び中に、、、。
両手をコートのポッケに入れている彼は優斗に近づくと、話しかける。初対面のときのような不機嫌な顔ではなく、なんとも言い難い真顔である。
慧)なんでお前だけ置いてかれてんの、?w
優斗)知らないっすよ!勝手に行きやがったんです!
慧は、挑発的に微笑んだ。その表情、その笑み、そしてその声に、たまらないほどの気品お漂わせている。
慧)どうしたクワガタ、そんな険しい顔しやがって。
優斗)いや、経験豊富な蓮なら大丈夫だと思うんすけど。なんか。なんか嫌なことが起きそうな気がして、、、。
慧は、 はぁと大きくため息を吐く。
慧)しゃあねえ。行くぞクワガタ。
優斗)久那山です。
ビルの扉を開けた慧は、さっさとした足どりで、先にやってフロアを歩き出した。
優斗の靴はコツコツと乾いた足音を立てたが、彼はラバー底の革靴を履いているのか、ほとんど足音を立てなかった。
乙の形の階段を上がり切ると、充分に照明の効いた明るい廊下は放射状に三方に向かって伸びていた。
慧は、6Fに踵をつけた途端ぴたりと足を止めては、すぐにそのフロアを歩き出す。
優斗)、、、( ̄^ ̄)💢
この口悪兄さん、俺より身長が高いのが何と言ってもムカつく。端正な顔立ちのくせに、口が悪い。
一部の女子とかドMには刺さりそう、、、。せめて 残念なイケメン部類に入ってほしいくらいだ。
慧)こっち。
優斗)あ、はい。
隣にいるこの男は何者か、などの考察はさておきながら、蓮の行方を探す。
人差し指でクイクイと誘導してくれるので、ひたすらピ◯ミンのようについていくしかなかった。
慧の腰をじろじろと見る。
彼の右の腰に、ベレッタのグリップがちらりと姿を見せている。
優斗)!ぇ、、、!?
ふと人が見えては、姿を露わにして銃を両手にかざしていた。銃口を向けられて、思わず脚を止める。
バァン
優斗)なっ、、、!
と怒涛のとどろきを響かせるその銃声に、優斗は目を見開く。既に奴は、脳天を撃ち抜かれた残骸と化していたのだ。
優斗が敵と判断した時にはもう遅く、気づくころには、もう慧に撃たれて死んでいたのだ。
突如として姿を現してきたにも関わらず、その正確であるさまはとても蠱惑的だった。
慧)つったってんじゃねえ、行くぞ。
優斗)うえ?!か、カカ 片手で、、、?!
銃とは高威力を誇る反面、反動はかなり大きい。一般人にとっては力を緩めたまま、誤って撃つと肩そのものが壊れる。
それなのに、彼は難なくこなす。もはや人間の域を超えていれるのではないか、と。
鼻を刺す匂いが再び襲いかかってくるも、2度目はマシだ。
電気の付いているドアをひと蹴りすると、そこには蓮がいた。
蓮)(・-・)!?
優斗)?!
慧)、、、???(・◾︎・)
下に視線を向けると、蓮が壁に背中を預け、手足縛られ口も布で塞がれていたのを発見。
優斗)キャァァア!エ◯同人誌かよ!
蓮)、、、。
優斗)ごめん。
急いで蓮の両手の拘束を解く。
慧)、、、なに、つかま、っ、
優斗)?
ふいと後ろを振り向くと、慧がドア枠に寄りかかりながら笑うのを堪えていた。
優斗)そういやなんで捕まってたん?油断?
蓮)、、、面目次第もございません、、、。
慧)ふ、、、w
蓮)笑うな。って、、、慧兄さん、後ろ!
両手で顔を覆い、ツボに入っている慧の後ろから太い腕が伸びてくる。
勢いに乗せられ首を絞めチョークをするも、 慧は冷え切った気迫で、その屈強な男を見据えていた。怯えても戸惑いも見せていない、 プロフェッショナルの目であった。
優斗、そして蓮が隔てた距離は、僅かに3、4メートル。逃げもできない個室で、迂闊な行動は出来まい。
?)その左手で握っているものを放してもらおうか、、、、、、。
屈強な男は英語で言った。ドスのきいた低い声であったが、震えていた。
屈強な男は姿を現す。ダークグレーのコートで包んだ身長は、190cmくらい。鉤鼻で頬骨の張り出した、きつい顔立ちの白人だった。
蓮)、、、ジョン=フランソワ?
ジョ)くそっ。厄介なこった、、、。お前らは何しに来た?なに目当てだ!
剣幕のある叱るような声が、室内を強く響かせる。今でも、満月に照らされ獣になるほどの凄まじい目力で訴えてくる。
ジョ)なにか言え、さもなければこの男を56すぞ、、、。いいのか?
やや慧の表情が苦しくなっている。力があるとはいえ、相手の屈強な力でチョークをかけられたらノーダメージとは言い難い。
慧)もういいか?
ジョ)一体何がだ。
慧)クソッタレの声が耳元でずっと聞こえてると、虫唾が走るんだよ。
ジョ)何だと?、、、!
脅威的な腕力を誇るその腕は、いとも簡単に解けされてしまう。
ジョンの油っけのない髪を掴んで、ノールックで銃を撃ち放す。
右耳に激痛を感じたジョンが、ガクンと腰を落としながら腕を手放し、両手で必死に耳を抑える。
秒の間に生じた彼我二発の銃声が、静寂を破り、ジョンがもんどり打って転倒。3人目を警戒した慧が、すぐさまグリップを持って銃口を140度旋回させた。
バンバンッという銃声が、衝撃と化して彼の頑丈な手首を震わせた。
後から来た白人が、血しぶきをまき散らしながら、ガクッと頭を後ろにして床に倒れ落ちる。
優斗)す、すげえ、。
何事に関しても、慧の判断基準というのは“反射と勘”を底辺に敷いている。優斗は、優柔不断とはかけ離れた豪的な動きに、息を飲み込む。
慧)もう居ない、行くぞ。用は済んだ。
蓮)、、、。
優斗)え、え、、、っ、なんで、わかるんすか??
慧)殺気と足音が消えた。
、、、。
惨たらしい最後を迎えたジョン=フランソワの半開きな目を見ると、真っ先に死んでいると分かる。
俺はなにも出来なかった。なにも反応が出来なかった。、、、心臓がきゅっと燻むような痛みがする。
蓮)なら帰りまし、、、慧兄さん?血が、、、、、、。
慧が腰のホルスターにベレッタをしまう。一発も彼に触れてないと思いきや、右腕から血が湧き出している。
慧)あ、掠った。
優斗)え、えぇ、、、?
3人が眉間を砕かれて、棒切れのように倒れ、もう1人が首を撃たれてのけ反り、ただ悲鳴なにひとつも、聞こえなかった。
優斗はややこわ張った顔で、困惑していた。