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ゆうき あきや
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259
#心理描写重視
第51話:初雪と、無敵の常春結界
北海道、十勝。
長かった秋が終わりを告げ、ついに恐れていた季節がやってきた。
灰色の雲が空を覆い、音もなく真っ白な雪が舞い落ちる。
『冬将軍』の到来である。
外の気温はすでに氷点下を下回り、村の景色はあっという間に白銀の世界へと塗り替えられていた。
「……うん。やっぱり冬に食べるアイスは最高だな」
俺は縁側で胡座をかきながら、半袖のTシャツ姿でチョコモナカジャンボをかじっていた。
足元では、純白の神猫・シロと、黄金色のキタキツネ兄弟(コン吉とコン次郎)が、今日も見事な『トリプルもふもふ団子』を形成し、ヘソ天で気持ちよさそうに爆睡している。
俺たちの周囲だけは、シロが常時展開している『適温25度の神聖結界』により、完全に常春の陽だまりが保たれていた。
そこへ、門の向こうから、雪だるまのように着込んだ人影が震えながらやってきた。
「お、お兄さぁぁん……! 寒いですぅ……死んじゃいますぅ……!」
完全防寒のダウンジャケットにマフラー、耳当てまで装備した小春ちゃんが、ガタガタと震えながら庭を歩いてくる。
「おはよう、小春ちゃん。初雪にしては随分積もったな」
「積もったなんてもんじゃないですよ! 村のおじいちゃんたち、腰痛いって言いながら必死に雪かきして……っ!?」
縁側に足を踏み入れた瞬間、小春ちゃんの動きがピタリと止まった。
そして、顔を真っ赤にして叫んだ。
「あつっ!? なんですかここ、ハワイですか!?」
小春ちゃんは慌ててダウンジャケットを脱ぎ捨て、マフラーを外し、額に浮かんだ汗を拭った。
「いやぁ、本当にシロちゃんの結界はチートですね……外は氷点下なのに、ここだけポカポカどころかちょっと暑いくらいです」
「だろ? だからアイスが美味いんだよ」
「それ完全に真夏のムーブじゃないですか! 私もアイス食べます! 配信も回しますね!」
小春ちゃんが手早くジンバルにスマホをセットし、配信開始ボタンをタップする。
外は猛吹雪の白銀世界。
しかし、画面に映し出されているのは、障子も戸も全開の縁側で、Tシャツ姿でアイスを頬張る限界社畜と女子高生、そして腹を出して寝ている三匹のもふもふたちである。
『うおおお! 待ってたぞ!』
『って、主!? Tシャツ!?』
『外めっちゃ雪降ってんじゃんwww』
『画面の半分が猛吹雪なのに、もう半分が真夏www』
『脳がバグる映像』
『シロ様の結界、ついに気象条件までガン無視し始めたぞww』
視聴者たちも、あまりの狂った光景に大爆笑している。
現在、チャンネル登録者数は1200万人を突破。
この「異常な日常」を求めて、今日も世界中からアクセスが殺到していた。
『(ドバイの石油王からの¥50,000MeTubeギフト)=”MASTER! ARE YOU NOT COLD!? I WILL SEND A GOLDEN HEATER IMMEDIATELY!“(主よ! 寒くないのか!? 今すぐ黄金のヒーターを送ろう!)』
『(スイスの銀行家からの¥50,000MeTubeギフト)=”Amazing… Shiro’s barrier ignores thermodynamics!“(素晴らしい……シロの結界は熱力学を無視している!)』
『(ハリウッド女優シャーロットからの$500MeTubeギフト×2連発)=”Ice cream in winter! I want to join you!“(冬にアイス! 私も混ざりたいわ!)』
「皆さま、いつも過分なMeTubeギフトありがとうございます。ヒーターは間に合っていますのでお気になさらず」
俺はアイスを飲み込み、カメラに向かっていつもの『完璧なフラットボイス』で語りかけた。
「……皆さま、少し誤解されているようですね」
『出たwwww』
『主の限界言い訳タイムww』
『さぁ、この絶対的矛盾をどう説明する気だ!!』
俺は、猛吹雪の庭を指差し、極めて論理的(?)に言い放った。
「この古民家は、日本古来の伝統的な木造建築です。縁側の木材が夏に蓄えた熱を、冬になってゆっくりと放出しているんです。ええ、ただの『木材の蓄熱効果』ですね」
「あるわけないじゃないですかぁぁぁ!!!」
小春ちゃんの、冬の寒空を切り裂くような鋭いツッコミが炸裂した。
「戸も障子も全開で外とツーツーなのに、蓄熱効果で25度も保てるわけないでしょ! どう見てもシロちゃんの神聖オーラが冬将軍を物理的に弾き返してるだけじゃないですか!!」
『小春ちゃんのツッコミ、今日も最高ww』
『蓄熱効果(適温25度を常時キープ)』
『適応力バグおじさん、ついに熱力学の法則まで現実逃避の材料にする』
『主の言い訳が苦しすぎて腹痛いwww』
俺の必死の論理武装は、小春ちゃんの的確すぎる反論によって、またしても秒で粉砕された。
『ミャウ(うるさいわね)』
騒ぎに目を覚ましたシロが、俺の膝の上に飛び乗ってきた。
その後ろから、キツネ兄弟も『キュン!』と鳴きながら俺の太ももに擦り寄ってくる。
三匹から発せられる強烈なマイナスイオンと温もりが、俺の心と体をさらにぽかぽかと温めてくれた。
「まぁ、難しい理屈は置いておいて。この暖かさが続くなら、今年の冬の灯油代はタダで済みそうだな」
俺が現実的(金銭的)なメリットを口にすると、チャット欄はさらに温かい笑いに包まれた。
どれだけ外の世界が厳しく、冷たい雪に覆われようとも。
俺たちのいるこの小さな縁側だけは、決して凍えることはない。
「お兄さん、雪見だいふくも買ってあるんですけど、食べます?」
「おっ、最高だな。頼む」
限界社畜が手に入れた、最強の神獣たちとのスローライフ。
本格的な冬を迎えてもなお、俺たちの圧倒的に平和で、少しだけバグった日常は、今日も暖かく続いていくのだった。
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コメント
1件
読んだよ〜〜!!第51話!初雪回きたぁぁ!🌸✨ もうね、外は猛吹雪なのに縁側で半袖Tシャツでチョコモナカジャンボ食べてるお兄さん、最高にバグってて好きwww「蓄熱効果」とか言い訳するの、小春ちゃんに秒でツッコまれてて笑った😂💕シロ様の結界まじチートすぎるし、石油王やスイスの銀行家からのギフトも豪華すぎて草🌿👏 最後の雪見だいふくで締める流れも含めて、もうこの歪な日常が愛おしすぎるよ…!!また続き楽しみにしてるね!⋆⸜💕⸝⋆