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短編「地獄の番人」
強欲は古流斬の背中を見ながら笑った。
「おい、一つ聞いていいか。」
古流斬は立ち止まり、振り返る。
「何だ。」
「何でお前、地獄にいるんだ?」
「お前は現世の人間だろ。」
「なのに普通に地獄へ来てる。」
「どういう立場なんだ?」
古流斬はポケットに手を入れたまま答えた。
「閻魔さんに恩がある。」
「だから呼ばれたら来るだけだ。」
「現世じゃ防衛軍。」
「地獄じゃ閻魔さんの手伝い。」
強欲は「なるほど」と頷く。
「つまり現世の番人であり、地獄の番人ってわけか。」
古流斬は少し笑った。
「そんな大したもんじゃねぇよ。」
「悪さする奴を止めるだけだ。」
強欲はニヤリと笑う。
「じゃあ俺も捕まえるのか?」
古流斬は淡々と答える。
「いや。」
「今は閻魔さんから、お前を退治しろって言われてねぇ。」
「だから何もしない。」
一瞬だけ間が空く。
古流斬の目が強欲を真っ直ぐ捉えた。
「……でもな。」
「命令されたら話は別だ。」
「その時は迷わず殺す。」
空気が凍りつく。
強欲の額から冷や汗が流れた。
(何だ、この圧……。)
古流斬は刀も抜いていない。
能力も使っていない。
本気ですらない。
それでも立っているだけで、本能が警鐘を鳴らす。
(これが……。)
(傲慢を倒した人間。)
(酒呑童子を倒した化け物か……。)
強欲は無意識に一歩下がった。
古流斬は何事もなかったように背を向ける。
「じゃ、俺は仕事あるから。」
「お前も余計なことすんなよ。」
そう言い残し、静かに歩き去っていく。
強欲はその背中を見送りながら、小さく息を吐いた。
「……やべぇな。」
「あいつ、本気じゃねぇんだよな。」
その事実が、強欲を何より震え上がらせていた。
コメント
1件
うわ、この「圧」の描写、すごく好きです。刀も能力も使わず、ただ立ってるだけで本能が警鐘を鳴らすって…古流斬さんの強さが言葉じゃなくて空気で伝わってきました。強欲が「やべぇな」と一歩下がる瞬間、こっちまで息を呑みました。地獄と現世を行き来する番人という設定もカッコよくて、もっと深掘りしたくなります!
#衝撃のラスト
山根利広
506
#バイオハザード
SOMAMON7A
159
にょーん
250