テラーノベル
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「あ……他のみなさんは装備は確認しましたか?」
スダは平然とした口調で、まるで日常会話のように言った。しかし、その言葉が放たれると、教室内にいた全員がそれどころではないことを痛感した。空気は重苦しく、静寂の中で誰もが恐怖に呑み込まれていた。
誰からともなく、恐る恐る手にしたナップサックを開け始める者たち。
その中には、包丁やカッター、髭剃りの替え刃、トンカチ、キリなど、即席の武器としては到底頼りないものばかりが詰め込まれていた。どれも使い古され、錆びついていて、切れ味も怪しい代物だった。
「なんだよ、使い古しかよ……兵隊は拳銃とか持ってるってのに」
誰かが呟いた。視線は無意識に兵士たちが手に持つ銃に向けられる。それは、間違いなく本物の銃。
トイガンやレプリカではなく、精密に作られた殺傷力を持つ武器だった。しかし不思議なことに、兵士たちはまだ一度もその銃を発砲していない。
その事実が逆に不気味で、誰もが息を呑んでいた。兵士たちは、まるで「その時」ではないと言わんばかりに、沈黙を守り、冷徹な視線を向け続けている。
そんな中で、ひときわ絶望的な表情を浮かべていたのは、真威人《まいと》だった。
「反対にこれで殺そうとしても時間かかるし……これで叩かれたら……痛いだけ……即効性がない」
彼は震える手で、目の前に置かれた草刈り用の鎌を見つめていた。それもまた、芝生の切れ端がこびりついた使い古しの鎌で、明らかに戦うためのものではなかった。
そして、さらに深い絶望がハルキを襲っていた。彼の手に渡ったのは――縄跳びだった。
それもピンク色の、子供用のもの。グリップ部分は擦り減り、ゴム紐もところどころ切れかかっており、どう見ても武器とは言えない代物だった。
「こんなんでどうやって……」
ハルキは呆然とその縄跳びを見つめる。源喜がからかうように笑いながら言う。
「ハルキにはお似合いだけどね?」
その言葉に、他の数人もつられるように笑い出した。ハルキは言い返すこともできず、ただ俯くしかなかった。サークル内での「いじられ役」としての立場が、こんな場でも変わらないことを痛感していた。
「フェアじゃないわ……こんなの、みんな武器を捨てましょう。差がありすぎる。」
その時、葉月が剣山を手にしながら強く訴えた。だが、その剣山も使い物にならなさそうで、誰も真剣に受け止めることはなかった。
「そんなことしてたら、あっという間に12時間が経つぞ。それで全員死ぬんだ」
源喜が鼻で笑いながら言う。彼の声には嘲笑が含まれていた。
「まだ時間はかなりあるわ。それでも、みんなで助かる方法を考えましょう!」
葉月の言葉に影響されたのか、次第に他の者たちも手にした「武器」を床に置き、もとの立ち位置に戻り始めた。だが、重苦しい空気は変わらない。
その時、サークル長の雫が何かに気づいたように顔色を変えた。
#ミステリー
鬼霧宗作
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さなめ
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江藤ルミエール
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コメント
1件
読了しました……第13話、めちゃくちゃ重くて苦しい回でしたね。特にハルキくんに渡された縄跳び、あれは残酷すぎる……。サークル内での「いじられ役」の立場が、こんな極限状態でも続く描写に胸が締め付けられました。あと、兵士たちが一度も発砲していない不気味さもゾッとします。ラストの雫さんの表情変化、次回が気になりすぎます……!