「さあ、テストも終わったことだし、体育祭の練習だー!」
「お前はいつも気持ちの落差が激しいんだよ。」
「劉磨を頼ってあげるんだから、早く準備運動して。」
「なんだよその言い方。お前が優しい口調とか気味悪いわ。」
もしかして、奏……劉磨さんたちともいい関係をつくろうとしているのかな……?
相変わらず自信があって強い口調なことに変わりはないけど、相手のことをきちんと見て話すようになった。
「まずは花月の基礎力を知りたいから、50m走ってタイムを記録する。」
「そんなに…走るの……?」
「50m…俺も一緒に走る。」
「なら俺も走る。最近走ってなかったから俺も記録取りてえ。」
「じゃあ、アタシと悠夜はストップウォッチ係ね。」
「私も走りたかったのですが……。」
私のために一緒に走ってくれるのは嬉しいけど、50mなんて長い距離走ったことがない私にとって不安しかない。
「スタート地点は今いる玄関。ゴールはこのまま真っすぐ走っていった先の門まで。」
「このなげえ距離、役に立つこともあるんだな。」
「はい、じゃあ用意して。いちについて、よーい……」
奏の言葉に合わせ走る構えを取る。どうか転びませんように……
「ドン!」
スタートと同時にすごい勢いで劉磨さんが駆け抜けていく。
本当に運動が得意なんだ……どんどん距離が離れていき、息が上がってくる。
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