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今日本では【戦姫大戦】という競技が流行りに流行っている。

そもそも【戦姫】とはなにか?簡単に説明するならば全長15センチほどの高性能アンドロイドだ。人と遜色ないほど話が出来て頭もいい。そんなアンドロイドは今生活の一部となっている。彼女たちが現れてから経済も回り戦姫がパートナーなんて言う人も現れるほど浸透している。

そんな世の中で僕はその【戦姫】を未だに所持していない。単純に値段が高く、すぐに手を出せるものでは無い。友人たちはみんな持っており、当てつけのように僕に自慢してくるが、自慢話を聞きすぎた結果特に何も感じなくなっていた。が、正直な話確かに戦姫は欲しいがそこまで便利なものなのかと言われたら僕にはわかんない。モノの価値を判断できない人間には過ぎたものだと僕は思う。だから別に興味はあるけど喉から手が出るほど欲しい訳でもない。それに、僕は戦姫を所持して【戦姫大戦】をやるよりも、観客として見てる方が好きなのだ。

なにせ、高性能アンドロイドが故に人と遜色ない性能で感情移入してしまい、自分の戦姫が傷つくのを見ると胸が苦しくなる。だから僕には戦姫を所持するのは早いし、向いてないという訳だ。

「さて、ちょっとした買い物も終えたし今日も戦姫大戦の動画でも見ようかな」

コンビニからの帰り道、その道中公園がありそこを通ると近道なのだが子供たちがうるさいので基本は遠回りして帰っているのだが、今日は何故かいつも使わない近道を使用して帰った。それが僕の運命を大きく変えた…

道なりに沿って歩いていると、子脇の草むらからか弱い声で助けを呼ぶ声が聞こえた。最初は気のせいかと思って素通りしようとしたが、何度も聞こえ流石に気のせいではないと思い声のする方に向かい、草木を分けて声の主を探す。

「こんな草むらに一体何が居るって……」

声の主を探し、その主を見つけた。が、なんと声の主はボロボロになった戦姫であった。なぜこんな所に戦姫がいるのか不思議に思ったが、それよりも今はこの子を助ける方が最優先。疑問は一度捨て去り彼女を抱えて家にと帰ることにした。


「さて、と……。とりあえずこの子どうするかなぁ……」

「うぅ……。」

「戦姫のメンテナンスとか僕一切知らないけどどうすれば…」

「だ、誰が私を……助けて…くれた? 」

「あ!目を覚ました!!」

「お前は…だれ………だ」

「失礼なやつだな。君を助けたのは僕だぞ」

「そうか……私は…助かったのか………」

「ま、僕戦姫についてはほとんど何も知らないから保護はしたけどその先は何もわかんないけどね」

「なら……私に電気を…………」

「電気?」

「スマホに使うようなケーブルで構わない。とにかく電気が必要だ…」

「んじゃ……はいコレ」

「助かる……」

ボロボロになりながらも僕に命令してきて、スマホの充電ケーブルを渡すとそのまま充電を開始したらしく、大人しくなりそのまま寝てしまった。なんなのかよく分からないが、この子が寝てる間に僕は僕で戦姫について少し調べてみることにする。


あれから少しして調べた結果だが、結局よく分からない。やはり認識として高性能小型アンドロイドしか出てこない。もちろん分かったこともあるにはある。その一つが、【戦姫】と一括りにしても製造会社によって強みが違ったり、構造も違ったりするらしい。

携帯なんかで例えると分かりやすい。アッ○ルなんかは個人的に言えばゲームするのに強いイメージで、エク○ペリアなんかはカメラに力を入れてる。こんな感じで戦姫も戦姫大戦をするにあたり、射撃よりなのか近接寄りなのか、はたまた愛でるためなのかと言ったように種類がいくつもあるようだ。

さて、で問題はここからで保護したこの戦姫がどこ製のものなのか。どこ製か分かればそこの公式ホームページで取説とか載ってるだろうし、それ見てあれこれできるのだが残念なことにこの子がどこ製か不明なのだ。全く善意で保護してしまったが、本来の持ち主に返さなくてはいけないというのに……

「ん………」 

「?」

「んー………あぁ〜。よく寝た」

「はいおはようございます」

「……ふむ。君が私を助けてくれたのか」

「助けてと言っていたので助けはしたけど」

「大変恩に着るぞ!」

「は、はぁ…」

「して、お前」

「はい」

「名はなんという?」

「僕の名前ですか?」

「それ以外ないだろ阿呆か」

起きたら起きたでだいぶ態度がでかい戦姫だな、と心の中で愚痴る分に留めておこう。無駄な争いを避けるためにね

「僕は、『リナ』て言うんだ」

「随分女の子みたいな名前だな」

「失礼なやつだな君は…。かくいう君は?」

「私か?私は……名前などない」

「え?名前ないの?」

「……あぁ。ないな」

「もしかしなくても訳ありな感じ?」

「知りたいか?」

「教えてくれるならね。もちろん無理には聞く気は無いよ」

「……そう。じゃあ話してあげる」

ここから僕の運命の歯車が回り出した

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