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#最後はハッピーエンド予定
#衝撃のラスト
山根利広
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「あんた、またなの?」
神野さんが盛大なため息をついた。
「すみません……」
ダイニングテーブルには、僕と足立さん向かいに神野さんが座っている。
白紙さんの家で、僕はまた神野さんに霊視してもらっていた。
一週間前、この家にストーカー男の霊が出たからだ。
何百キロも離れた他県から幽霊を引き寄せてしまった僕は、それがどういうことなのか視てもらえと言われていた。
ただそれを言い出した白紙さんは、バイトで直接結果を聞くことはできない。
「正直、全く縁の無い場所から引き寄せるなんて聞いたこともないのよね……」
神野さんは顎に手を当てて、考えこんでいた。
白紙さんはこの原因を聞いて、全国から悪霊の類いを集めようとしている。
僕は、自分の命の為にこれを何とか阻止したい。
「確かにあんたは護りが弱い方だけど、ゼロではないのよね。特別弱いというわけでもないし……」
神野さんは腕を組んで、真剣に考え込んでいた。
人差し指が落ち着きなくトントンと動いている。
「なにか、呪物とか持ってないわよね? 特に白紙からもらった物とか」
「いえ、特に何もないですね。強いて言えば、配信活動の時にスマホを一時的に預かるくらいですね」
「うーん、わからないとしか言えないわ。帰ったらパパに聞いてみるけど」
パパとはつまり、神野さんの神社の神主なのだろうか。
本職の意見を聞けるなら、一安心だ。
「そうだ! あんたも一緒に神社に連れて行けばいいじゃない」
神野さんは手をパチンと胸の前で叩いて言った。
「足立さん、この後同行者くん連れて行ってもいい?」
足立さんの名前が出て、一瞬どきりとする。
未だに前回の話の続きを聞けていない。
ストーカー男の存在によって、曖昧になってしまっていた。
「ああ、類君の都合がいいならいいよ」
足立さんは新聞に目を通しながら答えた。
「そう! じゃあ決定ね」
僕の都合は全く聞かれずに、神野さんの神社へ向かうことが決まった。
神社までは神野さんの車で向かうことになった。
ピンク色の軽自動車だ。車で大体十分くらいだろうか。
思ったよりも近い場所に、その神社はあった。
関係者用の駐車場に止まった車から見ると、右側に本殿と左に一軒家があった。
きっと神野さんの自宅なのだろう。
神社の正面に向かう。
黒い鳥居から続く白い石畳は、葉っぱ一枚落ちていない。
白紙さんの神の無理矢理押さえつけられるような圧迫感とは違い、この神社は背筋がしゃんと伸びるような厳かな空気が満ちている。
本殿は観光客の訪れるような神社と比べると、こじんまりとしていた。
知る人ぞ知るという地域に根ざした神社なのかもしれない。
「うちの神社、いいでしょ?」
神野さんの声は、自身に満ちあふれていた。
「はい。なんだか、本当に神様はいるんだなって思わされますね」
「あんた、白紙といてよくそんな言葉が言えるわね」
神野さんが呆れたように笑う。それもそうだ。
この短期間で、僕の価値観は大きく変わった。
友達と騒ぐために行っていた初詣も、霊なんて信じていないのに行っていたお墓参りも、全て意味のあることだった。
その世界は、存在したのだから。
「お、祈。帰ってたのか」
その時、男の声が聞こえた。
声自体が大きいわけではないが、よく通るのではっきりと聞こえた。
声の主を見ると、本殿の左にある社務所から一人の男性が出てきたところだった。
五十代くらいだろうか。
クリーム色のポロシャツに、黒いチノパンを履いている。
男は、親しみやすそうな優しい笑みを浮かべていた。
「パパ、ただいま」
「こんにちは」
頭を下げて、僕も挨拶をする。
顔を上げたときには神野さんのお父さんは、もう笑みを浮かべていなかった。
まるで敵を見つけたような鋭い視線が向けられている。
「祈、この男は誰だ」
僕からは決して目線を逸らさず、低い声で神野さんに確認していた。
「もうパパ、違うってば。この人は霊のことで困ってる人」
神野さんはうんざりしたように答える。
「本当なんだろうな」
「もうしつこい! パパのこと嫌いになるよ」
神野さんの言葉に、お父さんは一歩後ろに下がって口をあんぐり開けていた。
「でも祈が変な男に捕まったらと思うと……」
「私もう成人してるんだよ。自分のことは自分で決められるの!」
「はい……」
先ほどまでの勢いはどこへやら、お父さんは意気消沈していた。
「同行者くん、この人が私のパパ。この九檀神社の神主だよ」
「はじめまして。斉藤類です」
「斉藤くんね。同行者くんはあだ名なの?」
「そうですね。気付いたらそう呼ばれていました」
「そうか。……祈。中で話を聞こう」
僕たちは、本殿に入った。
コメント
1件
ああ、神野さんのお父さん、娘の彼氏かと思ってめっちゃ警戒してて笑ったw 「祈が変な男に捕まったら」って、もう完全にそういうモードじゃん。でも神野さんの「パパのこと嫌いになるよ」で一発KOされてしょぼーんってなるの、すごい親子関係だなってほっこりした。同行者くん呼びも継続してて面白いし、厳かな神社の空気感が丁寧に描かれてて引き込まれたわ。次話、お父さんの霊視結果がどうなるか気になる🔥