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桜空

816
桜🌸
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・ω・ 🐌
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……岩ちゃーん、まだ寝ないの?」
布団の上でスマホをいじっていた及川が、隣に座る岩泉を見上げた。
「もう日付変わるぞ。寝ろ」
「えー、せっかくのお泊まりなのに?」
「だからなんだよ」
「岩ちゃんと一緒にいられるの、嬉しいんですけど?」
にこっ。
いつもの調子で笑う及川。
岩泉は一瞬だけ目をそらした。
「……うるせえ、クソ川」
「えっ、なに? 照れてんの?」
「照れてねえ」
「耳、赤いよ?」
「うるせえっつってんだろ!」
及川は楽しそうに笑った。
けれど、その笑い声が静かになったあと。
「……ねえ、岩ちゃん」
「ん?」
「今日さ、隣で寝てもいい?」
いつもなら冗談めかして言うはずの言葉。
なのに今夜の及川は、少しだけ真剣だった。
岩泉は及川の顔を見つめる。
「……最初からそのつもりだったけど」
「……え?」
「布団、二人分敷くの面倒だろ」
「えっ、ちょっと待って!? 岩ちゃんと一緒の布団!?」
「嫌なら床で寝ろ」
「嫌じゃないっ!!」
即答だった。
岩泉は吹き出した。
「……ほんっと、お前はわかりやすいな」
「う、うるさいなぁ!」
及川は顔を赤くして、布団に潜り込む。
その頭を、岩泉がぽん、と軽く叩いた。
「ほら、こっち向け」
「……なに?」
「おやすみの挨拶」
岩泉が少し身をかがめる。
及川は目を丸くした。
「……え、岩ちゃんから?」
「嫌か?」
「……嫌なわけ、ないじゃん」
小さな声で答える及川。
岩泉はその頬にそっと手を添え、優しくキスをした。
ほんの一瞬。
それなのに、及川の顔は真っ赤になった。
「……っ、岩ちゃん……!」
「なんだよ」
「……もう一回」
「……お前なぁ」
呆れたようにため息をつきながらも、岩泉は及川の額に自分の額をこつんと合わせた。
「明日も部活だぞ。夜更かしすんな」
「……はぁい」
「おやすみ、徹」
名前を呼ばれた瞬間。
及川は、岩泉の服の裾をきゅっとつまんだ。
「……岩ちゃん」
「ん?」
「……朝まで、ここにいてね」
岩泉は少しだけ目を見開く。
それから、及川の頭を優しく撫でた。
「……当たり前だろ」
その言葉に安心したのか、及川はようやく目を閉じた。
岩泉は眠りかけた及川を見つめ、そっと布団をかけ直す。
「……ったく。かわいすぎんだろ」
聞こえないくらい小さな声で呟いて。
岩泉もまた、及川の隣で目を閉じた。
今夜だけじゃない。
明日も、その先も。
ずっと隣にいられたらいい。
そんなことを、二人ともまだ口には出せなかった。
コメント
1件
「岩ちゃんからキス……!」って、もうそのシーンだけでやられました……。高校生同士の、ぎこちなくて甘い距離感が最高です。「おやすみ、徹」って名前呼びがずるい。朝までいてね、って及川が言うところ、めっちゃ刺さりました。ずっと隣にいたいって、まだ言えない二人が切なくて愛おしいです……。