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帰り道
さっき髪に触れられた感覚が
まだ残ってる
ソア
「……。」
隣を歩くテオは、
いつも通り静かだった。
でも。
前より、
この沈黙が好きになっている。
テオ
「何。」
ソア
「え?」
テオ
「さっきから顔赤い。」
ソア
「赤くない!」
テオ
「赤い。」
少し笑う声。
ずるい。
そんな風に笑うようになったの、
絶対私のせいなのに。
その時。
ポツ…
小さな雨粒が落ちた。
ソア
「うそ、雨?」
テオ
「……降ってきたな。」
次第に強くなる雨。
テオは無言で傘を開いた。
自然に、
隣へ入れられる。
肩が触れそうな距離。
雨の匂い。
静かな呼吸。
全部近すぎる。
ソア
「……テオ。」
テオ
「ん。」
ソア
「前、言ってたよね。」
「雨嫌いって。」
テオ
「今も嫌い。」
ソア
「じゃあなんで。」
「そんな嫌そうじゃないの。」
少し沈黙。
雨音だけが響く。
そして。
テオ
「隣にお前いるから。」
ドクン
また、
簡単にそんなこと言う。
ソア
「……ずるい。」
テオ
「何が。」
ソア
「好きになる。」
足が止まった。
言った瞬間、
自分でも驚いた。
テオも静かに止まる。
雨が降り続いている。
ソア
「……あ。」
やばい。
言っちゃった。
逃げようとした瞬間。
グイッ
腕を引かれる。
ソア
「っ!?」
テオ
「今の。」
「聞かなかったことにできない。」
近い。
苦しいくらい近い。
テオ
「……もう無理。」
ソア
「え…?」
テオ
「俺の方が。」
「とっくに好きだから。」
雨音の中、
世界が止まった気がした。