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シンヤがアーシアの雷魔法を止めた。
パンツをズリ下げるという斜め上の手段によって。
「それにしても、君の履いているその下着は素晴らしいな。実用性よりもデザインを重視したものだ。実に素晴らしい。実に素晴らしいよ!」
「……褒められている気がしないのですけれど?」
「いやいや、素晴らしいものは素晴らしいんだよ。うん、素晴らしい。素晴らしいぞ!」
シンヤはアーシアの下着を絶賛する。
「……」
アーシアはそんな彼をジト目で見ていた。
しかし、そんな視線に構わず、シンヤは続ける。
「黒のTバックとは、なかなか攻めているな。黒という色は、白に比べて性的な印象が強いからな。それをあえて選ぶとは、君は見た目に反して意外と大胆だな」
「なっ!?」
シンヤの言葉を聞き、アーシアの顔がさらに紅潮していく。
彼女はミレアやレオナードと同年代の少女である。
小柄で華奢、しかし勝ち気な目をしているミレア。
ボーイッシュな美少女レオナード。
それに対し、アーシアは魔導着を着た美少女だ。
年相応に女性らしい柔らかい雰囲気を纏っている。
最大の特徴は、胸の膨らみだろうか。
極端な巨乳というほどではないが、華奢なミレアやボーイッシュなレオナードに比べると、それは明らかにボリュームがあった。
だが、決して下品さは感じさせない雰囲気がある。
ゆったりとしたワンピース型の魔導着からは、どちらかと言えば清楚な印象を受ける。
「あぁ、ちなみに。俺は白の方が好きだな。清楚な感じがして良いと思うんだ。燃えるようにプレイしたいときには、赤もいいと思うし――」
「もういい加減にしてくださいっ!!」
アーシアは耐え切れなくなり、大声で叫んだ。
そんな彼女をシンヤはニヤニヤと見つめる。
「ふむふむ。さっきまでの強気な態度はどこに行ったのかな? 今は顔を真っ赤にしているけど……。純情な娘さんには、下着を見らただけで恥ずかしかったかい? それとも、今の態度が素なのかな?」
「ち、違いますわっ! 私はこんなことで取り乱したりなど――」
「おぉっと。そう言っている割に、顔が赤いままだけど?」
「~ッ!!」
アーシアは羞恥で頭がいっぱいになり、言葉が出てこないようだ。
そんな彼女を見て、シンヤは満足げに笑う。
「はは。本当に可愛い子だよ、君は。だからさ、もっと色々なところを見せてくれないか?」
「へっ? ちょ、何を……」
戸惑いの声を上げるアーシアを無視して、シンヤが床に這いつくばる。
何も、アーシアに忠誠を誓おうというような話ではない。
彼の視線の先にあるのは――
「ちょっ、どこを見ようとしているのですか?」
「ん? もちろん、スカートの奥だが」
アーシアが身に付けているのは、ワンピース型魔導着だ。
膝丈ぐらいなので、通常であれば大切なところが見えてしまうことはない。
だが、シンヤのように露骨に覗き込もうとすれば話は別だ。
顔を真っ赤にしながら慌てるアーシアに構わず、シンヤは彼女に這いずりよっていく。
その姿、まるで変態のごとし。
「ひ、ひいぃっ! ス、スタッ……スタ……」
彼女は必死に雷魔法『スタン』を唱えようとするが、動揺により詠唱がまとまらない。
魔法とは、このように精神面に大きな影響を受ける技術なのだ。
うまく使えれば肉弾戦闘員よりも遥かに強くなれるが、逆に使いこなせなければただの雑魚に過ぎない。
そして、アーシアは今まさに後者であった。
だが、そんな彼女もかろうじて詠唱を完成させる。
「ス、【スタン】!」
バリィッ!
彼女から雷がほとばしる。
それは確実にシンヤの体を捉えた。
「おっ?」
彼が体をビクつかせる。
しかし、シンヤの動きを完全に止めることはできない。
彼は再び動き出し、アーシアの下半身へと向かっていく。
「くうぅ……。な、なぜ止まってくれないです!?」
「さっきよりも威力がかなり低くなっているぞ。精神的な動揺が大きいようだが……。それ以外にも要因があるんじゃないか?」
「要因……はっ!?」
心当たりがあるのか、アーシアはハッとした表情を浮かべる。
それは、彼女のパンツであった。
繰り返しの説明となるが、彼女が黒のTバックを穿いているのは趣味ではない。
魔法的な能力を向上させる効果があるからだ。
しかし、つい先ほどそれはシンヤによってズリ下げられてしまった。
その装備効果は一時的に失われているのだ。
「くうっ! なんてこと……」
アーシアは今さらながらにパンツへ手を伸ばし、股間部へ戻そうとする。
だが、それを黙って見ているシンヤではない。
「させねぇよ」
シンヤは這いつくばった状態のまま右手を伸ばし、アーシアのパンツを掴んだ。
股間部へ戻そうとするアーシアの手と、それを阻止するシンヤの手が、黒のTバックを引っ張り合う形になる。
「きゃあっ!? は、離してくださ――あううっ!?」
アーシアは悲鳴を上げ、必死に抵抗する。
シンヤの方が身体能力は上なのだが、這いつくばった状態からでは力が入らなかったのだろうか。
いい感じにその力は拮抗し、両者一歩も引かない展開となる。
だが、それも長くは続かなかった。
「きゃあっ!?」
「ぬおっ!?」
お互いがバランスを崩したせいで、2人の体勢が崩れた。
元々寝そべっていた状態のシンヤの上に、アーシアが倒れ込む。
「むうぅっ!?」
「はぁんっ!?」
シンヤがくぐもった声を漏らす。
アーシアの股間が彼の顔に押し付けられたためだ。
そして、敏感なところを刺激されたアーシアも悩ましげな声を漏らす。
「……何をやっているんダ。シンヤ……」
「とんでもねぇ人だぜ。シンヤ兄貴はよぉ……」
シンヤやアーシアのドタバタなトラブルを、ミレアとレオナードは冷めた目で見ていたのだった。