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この世界には王国が定める法律で義務教育がある。
これは国民の識字率、学力向上させるため、十三歳となった物はみんな学校に行くのが義務となっている。
義務教育といっても単位とかはあるわけではない。
教育学校は毎月末にテストが行われている。
そこで合格点をとれば良いので、別に授業に出る必要はない。
ただ、点数が取れなければ補習、それでもだめなら留年するが……。
俺はテスト以外出席したことはない。
授業に出るなら少しでも実力向上するため鍛錬をした。もともと義務教育で学ぶ内容はゼフから教わっていたためだ。
もちろん俺みたいなやつはクロスフォード領では俺だけ。
平民は一から学ばないといけないし、それが普通。
でも、それは他領の貴族の子息や息女は当たり前、家で学ぶのは当たり前で、授業に出るよりも大切なことがある。
それは交流会。
定期的に行われ、それで貴族の子供同士が関係を築いている。
そこで人脈形成、婚約者探しなどが行われる。
俺も子爵家の嫡男な為、本来なら参加しなければならない。
でも、一度も参加していない。
理由は参加する暇すらもったいからだ。
死の運命、原作改変を目標にしている俺としては時間の無駄でしかない。
でも俺にも一応招待状が届いており、父上と母上からも参加しないかと聞かれたことが多々あったが、ある条件を提示したら参加しないでも良いという許可をもらった。
『王立フューチャー学園への入学』
それが俺が出した条件。
王立フューチャー学園は将来国を支えることの出来る人材を育成することが目的。
この世界にはおいてまさにエリート、入ることが出来れば人生は約束されてたようなものだからだ。
王立フューチャー学園は義務教育終了したものなら誰でも受験は可能、しかし合格するのは狭き門で、毎年合格倍率は百倍を下らないとか。
これを両親に提案するが、それでも納得はしてくれなかった。
それは入学できる確証がないからだ。
では、何故こんな条件を飲んでくれたかと言うと、それはゼフが「アルト様なら必ず合格できます」と言い、何を根拠にと思ったのだが、ゼフが「もしもアルト様が不合格なら私は命をかける所存です」と言った。
いや重いわ。
なんで命をかけられるんだよ。
これも一つの信用なのかもしれないけど、本当に重すぎる。
でも、それのおかげで俺は病弱の為交流会に参加できないと両親に説明してくれたおかげで今まで参加せず、訓練に集中できた。
ゼフには本当に感謝している。
そんなゼフの心配を裏切るわけにはいかないためより一層勉強に励んだ。
王立フューチャー学園入試は大きく分けて、筆記試験、実技試験の二つ。
実技試験は魔法の実技試験。
筆記試験はそのままの意味。
もちろん例外はある。
学園は優れた人材を集めたがっている。
魔法に秀でたもの、剣に秀でたものなど。
しかし、一分野のみ優れてしまい、他の分野ができないものもごく稀に存在する。
そう言った国側の損にならないための制度を設けている。
それが推薦入試。
筆記試験はほぼ免除。
筆記試験を白紙回答しても合格はできると言われている。
学園側から誘いが来ればほぼ合格間違いなし。
学園入学後も推薦で入ったことは公表されないが、雰囲気ですぐにわかってしまうらしいが……。
閑話休題。
俺は合格するため、ひたすら努力を続けた。
魔法実技に限っても、無属性魔法だがオリジナル魔法を習得している。
それはこの世界には誰にも使用できない、俺だけの魔法。
それを見せれば実技は大丈夫だ。
そのためにまずは義務教育終了証明を手に入れなければならない。
今日はーヶ月ぶりの学校に試験を受けに来ていては扉の前に立ち止まっていた。
クラスメイトがガヤガヤと話しているのが聞こえて、俺は入るのを少し躊躇っている。
入った後、少しの間ざわめきがなくなり、みんなの雰囲気が少し悪くなるためだ。
でも入らないことには進まない。
俺はそう決断し引き戸を開けて教室へ入る。
瞬間クラスメイトの視線が俺に刺さる。
……だから入りたくなかったんだよ。
もう考えても仕方ないと思い、自分の席へと移動した。
すると、そんな迷惑貴族の俺に話しかけてくる者がいた。
「あーあ、お貴族様は気楽でいーよな。僕みたいなしがない平民ではそんなに余裕は持てないよ。これが生まれの差か」
「そう言うことをテスト直前に言えてる時点でクーインも随分余裕じゃ無いのか?お前もよくサボってるじゃん」
そんな俺相手に軽口を叩いてくるのは茶色髪、紫目が特徴のクーインと言う名の平民。
クーインは貴族の俺に立場を気にせずに話しかけてきてくれるので、俺もある程度気を許している。
なんで平民なのに俺に軽口を叩けるから分からないが、クーインはその辺の常識が欠けているのかもしれない。
まーでも、俺にはこう言う存在は嬉しい。
「そんなに不安なら俺なんかと話をしないで復習でもしてればいいじゃん」
「はぁー。友達なしのボッチのアルトに気を使って話しかけてあげてるのに……」
「お前!」
俺はクーインの軽口に突っ込みを入れる。
ふと周りがガヤガヤとし始めた。
周囲を見渡すと、俺のクーインのやりとりに少し笑っている人いた。
まーこれはこれでいい結果かな。
俺が原因で緊張している人たちも、心なしが和らいでいるように見える。
「はぁ、まーいいや。テストまでもうすぐ時間だ。準備を始めようか」
「そうだね」
俺がそう言うと、クーインも了承。
お互い席につき、テストに備えて準備をした。
テストは無事に終了。
これで今月も問題ないな。
そう思い、安心した俺はクーインと進路について話をしていた。
「アルトは進路にどうするんだ?まぁ聞かなくてもわかるか。フューチャー学園行くんだろ?」
「まーな。まだ受かってないけど、受験するよ。受からないと両親に迷惑がかかるし。そのために訓練とかしてたし……クーインは?」
「僕も受験するよ。一応合格ラインには達しているし、何より入ることができれば将来が約束されてる。それにやらなきゃいけないこともあるしね」
「やらなきゃいけないこと?」
「いや何、僕って成績良いし、親から……ね」
「あー偉くなれとかそんな感じか?」
「まーそう解釈してくれていいよ」
クーインも大変なんだな。
過度な期待で潰れなきゃいいけど。
俺はクーインに対して応援も含めて激励を送ることにする。
「追い詰めすぎるなよ。何かあれば相談していいから」
「僕のようなしがない平民にまで気を遣ってくださるとは……貴族様は優しいな」
「お前、そのネタ何回やるんだよ!しつけーよ!」
「おいやめろ!」
俺はクーインの言葉を聞くと肩に手を回し、頭を強く撫で髪の毛をくしゃくしゃにする。
本当にクーインがいてくれて良かった。
まさか、こんなやりとりができる友人ができるとは思わなかった。
そう感謝しつつ、お互い笑い合い、やりとりをした。
そして、俺はクーインを解放し、最後に
「お互い合格できるといいな。受験までに何か困ったことがあれば言ってくれ。わかる範囲で教えるし、実技試験もうちに来ればゼフがいる。教えられるから」
「いつもすまないな。頑張ろう!」
クーインに勉強、魔法実技を教えるのは何回かある。
一緒に合格、それを目標に掲げる。
そして、その後少しだけ話をし、今日は解散した。