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見た。僕は見た。
目の前に広がる黒ずんだ赤。
血が広がる。黒いコンクリートの凹凸を覆うように。
誰の血?おばあさんの血。
どうする?逃げる?怖いから。。
「ゆうたー、おはよ。」
「おはよう」
親友のしょうた。周りからはうたうたコンビと言われてる。
「ホームルーム始めるぞー」
今日も一日が始まる。
僕は学校は嫌いだ。
勉強、勉強、、受験。中学2年の3学期になってから、周りはそのことしか話さなくなる。
「ホームルームを始める前に一つ話したいことがある。」
それもホームルームと言うんじゃないか?とくだらないことを思ってると、間を空けて急に真剣な顔つきになった先生がゆっくりと話し出す。
「、、、昨日の夜のことだ。近くで殺人事件が起きた。ここから離れていない、すぐそこの茶色い一軒家の裏の林の中だ。そこのおじいさんが殺された。」
そうして指差した先はここの学生が半数は通る通学路だ。
ざわめく教室。しかし皆あっけに取られたのか、思ったよりも静かな反応だった。
「怖えな。」
「怖いね」
「なんで休校とかにならないんですか!! 」
女子生徒が訴えるように叫ぶ。
「いやー、ね、一応犯人は捕まったんだよ。まぁその一軒家の痴話喧嘩?みたいな感じなんだろ。 」
「じゃあなんでわざわざそんなこと言うんですか!」
間髪言わずに女子生徒が訴える。
「そりゃあまぁ、こういうことがあるからなぁ、、一人で帰らない、防犯ブザーをつけるとかして欲しいんだよ。」
「防犯ブザーって。笑」
しょうたがバカにしたかのように鼻で笑い小声で言う。
「そう思うだろ!だけどな、中学生でも本当はもっといた方がいいんだぞー。お前らは親からしたらずっっと大切な子供なんだからな。」
次の週の朝。祝日だ。
僕はしょうたと同じサッカーのクラブチームに入っている。今日は練習試合の日だ。
「今日の相手弱いんだろー、やる気でねぇよー 」
「そうだね。でもまぁ田舎だし、初めてやるとこだからまだましでしょ」
「そーかー、まぁ練習になればいいけどなー。」
そんな会話をしている最中 僕の横で大きな音がして少し前を歩くしょうたの横に倒れ込むおばさんと自転車。
「ゔわぁ゛あぁ゛」
しょうたが叫ぶ。
「傘!傘!!!!!!!」
僕の傘は折れている。
「どうする!どうするよ!これ!」
目の前に広がる黒ずんだ赤。
気が動転しているしょうた。
考えたのはほんの一瞬。
動く腹の中心に刺さるナイフ。深い。
「1週間前のやつさ、俺がやったんだ。」
「・・、、」
「もうすぐ14歳だからね、勉強より、、、やること、してみたいこと、あったんだ。」