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405
2,020
恐福。
キ ア ラ . @一応フォロバ
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こんにちは、こんばんわ
恐福と申します。
今回のテーマは「童話」
童話の話をもとに小説を書いています
ですが私自身あまり童話に詳しくないので、おかしい所があると思います、温かい目で見守ってください。
今作は童話をもとに小説を書いているだけで童話そのものではありません。
それらを理解した上でお読みください。
『白雪姫』
ある日、王妃のもとに商人が現れた。
差し出されたのは、一枚の鏡。
商人はただ一言、
「これは、間違えません」とだけ告げた。
王妃は問う。
「鏡よ鏡、世界で最も美しいのは誰?」
沈黙。
そして、答え。
「貴方です」
王妃は満足した。
それが当然だと思った。
それから毎朝、鏡に問う。
同じ問いに、同じ答え。
「貴方です」
それでよかった。
それが、正しかった。
――だが、その日から変わった。
「白雪姫です」
王妃は気にも留めなかった。
幼い娘。いずれ失われる美しさだと。
しかし、
夏。
秋。
冬。
春。
どれだけ季節が巡っても、答えは変わらなかった。
王妃は焦り、命じる。
「白雪姫を、殺せ」
数日後、家来は震える声で報告した。
「確実に、殺しました」
王妃は、確信を持って鏡に問う。
わずかな沈黙。
――以前より、少し長い。
「白雪姫です」
王妃は崩れ落ちた。
やがて立ち上がり、家来を問い詰める。
死体は確かにあった。偽装ではない。
間違いなく、死んでいる。
それでも鏡は変わらない。
「白雪姫です」
王妃は魔術師を集めた。
だが、誰もが言う。
「ただの鏡です」
ただ一人、老いた男だけが呟いた。
「……これは、“映していない”」
王妃は笑い飛ばした。
どう見ても、映っている。
――そう思って、鏡の前に立つ。
そして気づく。
ほんの僅かに、遅い。
瞬きの瞬間。
呼吸のわずかなずれ。
気づかぬほどの違和感が、
やがて確信へと変わる。
背筋が凍った。
王妃は鏡に布をかけ、床に入る。
その夜、夢を見る。
白雪姫が棺の中で眠っている。
呼吸はない。
だが、美しかった。
まるで時間が止まっているかのように、
何一つ変わらない美しさ。
触れようとした瞬間、目が覚める。
鏡にかけたはずの布は落ちていた。
暗い部屋の中で、鏡だけが、
より深い闇を湛えている。
そこに、自分の姿はない。
ただ一人、白雪姫が映っていた。
ゆっくりと、口が動く。
「鏡よ鏡、世界で最も美しいのは誰?」
聞き慣れた問い。
鏡が答える。
「白雪姫です」
その瞬間、理解する。
老いた男の言葉。
――“映していない”
では、この鏡は何をしているのか。
数えているのだ。
美しいものを。
変わらないものを。
白雪姫は死んだ。確かに。
だが、だからこそ止まった。
朽ちることのない、完成された美として。
鏡は、それを数え続けている。
身体が、冷たくなる。
鼓動が、遠のく。
少しずつ、時間から切り離されていく。
王妃は歪んだ顔で鏡を見る。
だが、鏡の中の王妃は、静かに微笑んでいた。
何度も繰り返した問答。
今、最も美しいのは――
王妃。
けれど、鏡は答えない。
誰も、問いかけないから。
やがて王妃の動きは止まる。
その美しさは、白雪姫と並びながらも、
誰にも知られることはない。
鏡は、ただ数え続ける。
変わらないものを。
今回もチャッピーに誤字などを修整してもらってます
過去作もお読みしていただけるとありがたいです
やって欲しい童話があればリクエスト待ってます