今日は2月22日
いわゆる猫の日というものだ
俺の家族はそんなことすら知らないというフリをして、1番陽の当たる暖かいところで寝転がっている
日向ぼっこをしているところ申し訳ないが、今日は計画があるので動いてもらおう
「サトル〜起きてくんなーい?」
気分屋だからなぁ、動かないだろうなぁ
そう思いながら声をかけると、耳をこっちに傾けてはくれたが、案の定動く気はないみたいだ
「ごめんな、今日はちょっと皆が来るからそういうわけにもいかないんだ」
断りを入れながら彼の体を抱き上げると、抗議の声を出して降りようとする
慌てながらももう一度断りを入れると、諦めてくれたのか体を委ねてくれる
そのまま窓辺に寄ると彼は不思議そうな顔をしてこちらを見る
「ちょっと午前中だけでいいから出てきてほしいんだよ」
日が昇って暖かくなってきたぐらいを計らい、申し訳ないけど窓から追い出すような形で彼を外に出す
彼は了承してくれたのか、こちらを一瞥した後にすぐにそばの草むらへと消えていった
「さて、お湯を沸かそうかな」
やってくるであろう客人の好みを思い出しながら、キッチンへと向かう
お湯が湧いたぐらいだろうか
チャイムが鳴る
「はーい」
用意していた茶葉を一旦置き、パタパタと玄関へ走ってドアを開けると、見知った顔が3つ
「こんにちは」
「いらっしゃい」
「お邪魔するわね」
ぞろぞろとそれぞれ持ち寄ったものを手に持ちながら玄関へと入ってくる
俺はというと、再びキッチンに戻って茶葉を手にしていた
「まだちょっと紅茶入れれてないからその辺座って待ってて〜」
「あら、お気遣いありがとう」
「いーえー」
「珍しいな、お前が飲み物を用意してるなんて」
「見習ったんだ〜偉いでしょ」
「それが普通だろ」
「えー!」
「まあまあ、用意してくれてて嬉しいよ」
「そうでしょ〜!」
「調子に乗るな」
「ねえ、俺にだけいつもあたり強くない?」
「気のせいだ」
恒例のやりとりをしながら、皆の分の飲み物をいれ終わってテーブルに出す
それから持ち寄ったお菓子を出して、ちょっとしたお茶会を始める
休日の朝からこんなことしていいのかな
という気持ちだったり
優雅な一時なんて初めてだ
というワクワクした気持ちだったりを抱えたけど、まあ楽しかったからなんでもいいや
「そろそろか」
「ん、もうそんな時間?」
「そうだね〜迎えに行こうか」
「そうね、そろそろ行きましょう」
各々立ち上がり、自分の飲んだものを流し台へと片付けてくれる
皆いい人だよなぁと思いつつ、自分もお菓子やらを片付ける
ある程度終わらせたら、各自で持ってきた愛用のおもちゃやおやつを出しておいて、外へと歩みを進める
「今どこにいるのかしらね」
「多分いつものところだと思うよ〜」
「そうだな
まずあそこへ行って、居なかったら別を探そう」
「おっけー」
彼らが外へ遊びに行く時に集合したり、俺達が迎えに行く時に待っていてくれたりする場所がある
どこかなんて口に出さずとも既に共通認識になった場所へ皆で足を運びながら、お茶会での話を続ける
そう遠くはないので、話しているうちにあっという間に着いたそこには、いつものようににゃーにゃーと話す彼らが
「あ、いたいた」
「やっぱりここに居たのね」
「いつもここを集会所にするもんね〜」
「汚れるから違うところにしろって言ってんのに」
「まあ俺らが拾ったのもここだし、なんか愛着でもあるんじゃない?」
そう俺が適当言うと、にゃーにゃーと語る声
なんて言ってんだろと思いながら彼の体を持ち上げる
皆の方を見ると自分たちの家族に話しかけながら同じように抱えていた
そのまま家に戻る素振りを見せると、何匹かがあれ?という顔をする
それに答えるように体を撫でて話しかける
「今日はな、猫の日だろ?」
「朝から構い倒したかったんだけど、猫の日ってことは君らの日なんだから、今日は好きなことをさせてあげようってなったんだよ」
「4人でな、話し合ったんだ。みんなの好きなことはなにかってな」
「最近は外に出るのが多かったし、午前中は好きなだけ遊びに行かせて、午後は私達も含めてみんなで遊ぼうってなったのよ」
「マグロとかのプレゼントもたくさん用意してるからな」
「ササミもね」
おやつのことを話に出すと、上機嫌になったようにしっぽが揺れ、目が輝く
その様子に思わず頬が緩む
やっぱり君らは可愛いなぁ
それから家に戻り、夜までおやつをあげたりめいっぱい遊んであげたりして、彼らを堪能した
猫の日って最高だな!!!
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