2ヶ月後
ついにライブ当日。
前のグループでは小さいステージで歌って踊って……The地下アイドルみたいな感じだった。
今はもう少し大きなステージで「地下」なんじゃなくて「アイドル」としてみんなに思いを届けられるんだ。
私は誰よりも早く楽屋に来てスタッフにも自分はただの人では無い、「竿味千紗はアイドル」という存在を打ち込んで欲しかった。私は「アイドル」そのものなんだ。
いつステージに立ってもいい様な万全な状態でみんなに”わたし”を見せていた。
「あれっ?千紗ちゃんもう衣装着てるの?疲れない?」
「疲れないですよ〜!だって、これがわたしですもん!!」
スタッフの方は不思議そうな表情を浮かべながらも
じゃあ、ライブ頑張ってねと声を掛けてくれた。
「千紗さん、スタンバイお願いします!」
ついに来た。今から立つ場所は私が主役のステージ_
私は”わたし”で、みんなに思いを届ける!!!!!
「みんな、待たせてごめんね!」
キャーと歓声が湧く。人いっぱいの観客席。私に当たるスポットライト。全部が全部、私のモノ。
「デビューライブ、楽しんでいって欲しいな!! 」
私の声と共にバックには音楽が流れる。
息を吸って……
「曲名は、”千紗の良いところ100個言えるかな?”」
ねぇねぇねぇもっと、私に預けてみてよ君の気持ちを
全部、全部受け止めきれないけど_
「はいはーい!!!これから千紗がみーんなに好かれるために良いところ言っていくから、もっともっとQunQunしていってね!」
わん!みんなに笑顔を振りまいて
つー!みんなに同じ対応ができる
すりー!オキラなんか作りません絶対に
ふぉー!だからといってオキニも作んないからねー!!
見てて大好き聞いてて大好き
もーっともっともっと
い・え・る……かな?
スーパーアイドルさおみちさ
君の最善のヒロイン
いつだって、隣で支えあげられる。
“だから…千紗をずっと推しててね?”
1曲目が終わる。2分半程の曲なのに私の中では5秒しか経っていないように思える。
楽しい……楽しいよ!こんな日が来るなんて……
ねぇ美咲、リコ、葵見てる?
やっとあなた達を越せたよ?あなた達にどれだけ苦しい思いをさせられたか……
今は、私が世界で1番幸せだ!!!!!
「みんな、今日はありがとう!やっと私の夢が叶ったよ。 」
「わたし、このままずっと夢を捨てて自分を閉ざしたまま生きていくのかなって思ってたけど、自分なりに努力をしてここまで来れたなって思ってる。」
でも……それだけじゃない。
「……やっぱり、みんながここまで私を有名にさせてくれたんだね!!! 」
そんなことないよとか、私こそなどと声が聞こえるがそんなことは気にせずまた淡々と言葉を吐く私。
「いつも応援ありがとう! 」
「わがまま言ってもいい?」
あのね……と口を開く
これは、最大級の我儘だ。
「私をドームに連れて行ってくれませんか!!!!」
会場が静まる。でもすぐに回答は返ってきた
いいよ、と。
私は今までに無いくらいの大きな声で
ありがとうと言った。
コメント
1件
千紗ちゃんの諦めずに努力してたその証がこれだよね…!!! 千紗ちゃん、絶対より確実にドームに行ける日が来ると思う🫣💓 それまで何事もないといいんだけど …そうとは限らなそうだな、🥺