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デビューライブから2年、ちゃっかりと成人してしまって今年で23歳だ。
最近ではテレビからのオファーが来てものすごく話題沸騰中だ。
今1番の人気アイドルと言っていいだろう。
「ドラマの主演、千紗やりたい?」
「やりたい!!!!」
「そうよね、そう言うと思ったわ。(笑)」
実は……と美沙都さんが説明をする。
「私が選ばれたの?!」
「そうよー!!千紗はすごいわね」
えへへ、と笑う
でもドラマの主演か……と少し疑問を抱く。
「どういうドラマの主演なんですか?」
「恋愛ドラマよ!しかも、御相手は今人気の朔間さつき君よ!!」
「あー!あの凄く話題の!!」
アイドルながらテレビに疎い私でも何回か聞いたことある名前。すごい方なんだなぁと改めて思う。
「千紗ならさつきくんとお似合いだしちょうどいいわね。主演頑張ってね!」
「頑張ります!!!」
ドラマの撮影当日
いつものように朝誰もいない時間帯早くに楽屋に行く。準備が出来上がるとスタジオに人影が見えた。
エキストラさん?それともスタッフさんかなぁと思いながら挨拶をしようと近寄る。
「おはようございます。よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします。」
相手から溢れ出る神々しいイケメンオーラ。正に王子様と言う感じだった。
「もしかして、千紗さんですか?」
「そうです!」
「やっぱり!現実で見ても可愛いですね。」
「えっ?」
動揺して顔が紅潮する。
「そっ、そんなこと……無いですよ!!!」
「そんなことありますよ。(笑)
あ、僕の名前は朔間さつきです。お願いします。」
「あ、君があの朔間さつきくん……さん!!!」
「いやさつきでいいよ。僕も千紗って呼ばせてもらうから」
「はい…」
男優と話すことは滅多になく、それに恋愛経験も皆無なので少し恥ずかしい。でも、アイドルとしてのイメージを壊さないためいつも冷静にそれにあった対応をしなくては…
「じゃあ準備があるから、また後でね」
「うん、また」
なんだあの人!すごくかっこよかった!!なんというか、すごくキュンキュンしたなぁ、
と思いながらもあっという間に撮影の時間になった。
「よし、切り替えて切り替えて……」
学園モノの恋愛ドラマ。よくある話だと思いながらも台本にあった言葉を言っていく。
まず初めは……
先生役の人が話す場面だ。
「んじゃあ今日はここら辺で終わりにするから。あ、でも復習はちゃんとしておくのよ〜」
さすが、演技が上手い……私は初めはぼーっとしているだけだから特に何も無し、だけど友達役の愛梨ちゃんが話しかけてくるまで気を抜いては行けない。
「みーくっ!またぼーっとしてぇ(笑)」
「あっ、朱里!ごめんごめん。次移動教室だよね?一緒に行こっか!」
カット!_
「千紗ちゃん演技上手いね〜!やっぱり色んなテレビに出てるから?」
「そんなことないそんなことない!愛梨ちゃんもすごく上手いよ!」
「えっへへ、美女に言われると刺さるなぁ。」
「次も気合い入れてガンバろ!!」
「うん!」
なんて優しい子なんだろう。見てるだけでいい気分になる。
次のシーンは…
「あ、」
さつきくんが演じる礼人とぶつかるシーン…それに壁ドンか_
「うーわ緊張するねぇこれは」
「わわ、瑠里さん!」
「驚かせてごめんね(笑)さっきの演技すごく良かったわ!」
「ありがとうございます…」
「やだ千紗ちゃんかわいい〜!!こりゃさつきくんファンも降参する訳だわ… 」
「え?」
「ん?あいや、なんも無いわ頑張ってね!」
「はい!」
撮影が始まる……気合い入れて冷静に…
「さん、にー、いち_ cue」
「それにしても、みくがぼーっとしてるなんて珍しくない?」
「んー……」
「あっ、またあの人だかり!絶対礼人だ…」
「みく、避けて行こ…って危ない!!」
「ん、?」
ドンッ_
「わっ、ごめんなさい!ぼーっとしてて……」
「あー、大丈夫大丈夫」
「って、、」
壁ドンされてる……演技だとしてもこれはこれでドキドキするよ、
やばい朔間くんイケメン…どうしよう次のセリフが思い出せない。
「すいませんっ、すぐ退きますっっ」
「あっ、行っちゃった」
カット!!
「すごく良い演技だったよ千紗。」
「あ、ありがとう。朔間くんもね…」
「それはどうも(笑)」
何時間もの撮影をようやく終えた。
「疲れた〜……早く帰って寝よ!」
そんな時後ろから声を掛けられた
「千紗」
「あっ、朔間くん。」
どうしたの?と問いかけると
「千紗ともっと仲良くなりたいなーって思って、そのさ…」
「連絡先とか交換してもいい?」
連絡先かぁ…
仕事の関係上そうなることは仕方ないけど、私はみんなに”アイドル”としての存在しか見せたくないからプライベートは、
「えーとその……」
「やっぱりダメかな?」
そんなうるうるとした表情で私を見つめてくるから思わず大きく首を縦に振ってしまった。
「ありがとう。嬉しいな!」
家に帰ると一通のラインが来ていた。
『これからもよろしくね』
『こちらこそ。』