テラーノベル
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Az地下研究施設・最深部
重厚な隔壁がゆっくりと開く。
ゴゴゴゴゴ……。
全員がその先を見つめる。
そこには、巨大な円柱型の培養装置。
無数のケーブルが繋がれ、その内部には黒い人影が眠っていた。
タジが端末を解析する。
「な、なんだこれ……。」
「人間じゃない……。」
モニターに表示された文字。
《Project : Chimera(キメラ)》
イレイダは眉をひそめる。
「……胸糞悪ぃ研究だ。」
管制室
間宮トオルは静かに笑う。
「能力とは、人類を進化させる可能性。」
「倫理など、進化の前では無意味だ。」
研究員が尋ねる。
「ですが、まだ完成していません。」
「構わない。」
「実戦データの方が価値がある。」
間宮は起動キーを押した。
最深部
培養装置が砕け散る。
飛び散る液体。
ゆっくりと姿を現したのは、能力を人工的に移植された異形の実験体だった。
その身体からは複数の能力反応が漏れ出している。
タジが震えながら叫ぶ。
「反応が異常だ!」
「第六階級……!」
「いや、まだ上がる!」
「第七階級!」
ソウヤが息を呑む。
「こんなのが……。」
実験体暴走
目を覚ました実験体は周囲を見回し、
突然、自らの腕で壁を殴りつけた。
ドォォン!!
施設全体が激しく揺れる。
天井に亀裂が走る。
タジが叫ぶ。
「研究所が崩れます!」
セツナ
暴走する実験体を見た瞬間、
セツナの瞳から赤い光が消え始める。
「……いや。」
「また……。」
「こんなことを……。」
燕が駆け寄る。
「お姉ちゃん!」
セツナは苦しそうに頭を押さえる。
「燕……。」
「逃げて……。」
結衣がすぐに治癒能力を使う。
「精神への負荷が大きすぎる……!」
イレイダ
イレイダは実験体の前へ立つ。
「お前の相手は俺だ。」
実験体が咆哮し突進する。
巨大な拳が振り下ろされる。
しかし──
イレイダは最小限の動きでかわす。
「遅い。」
拳を握り締める。
能力によって極限まで強化された一撃。
ドゴォォン!!
実験体は壁まで吹き飛び、巨大なクレーターが生まれる。
ソウヤは圧倒される。
(これが……。)
(能研最強の身体能力……。)
しかし実験体は立ち上がる。
イレイダは静かに刀へ手を掛ける。
「これ以上暴れるなら……。」
「斬る。」
一仁
その時だった。
「そこまでです。」
一仁が姿を現す。
彼は実験体の前へ歩き出る。
「もう十分でしょう。」
間宮の声がスピーカーから響く。
「仁。」
「命令だ。」
「彼らを始末しろ。」
仁は黙ったまま目を閉じる。
数秒後。
「……断ります。」
研究員たちが騒然となる。
「なっ!?」
間宮の表情から笑みが消えた。
「命令違反か。」
仁は静かに振り返る。
「私はあなたの道具ではありません。」
「能力は、人を苦しめるためのものじゃない。」
崩壊
その瞬間。
実験体が完全暴走する。
施設全体が崩れ始める。
惣一が叫ぶ。
「全員脱出だ!」
アリスが能力を発動する。
「時空操作!」
歪んだ空間に脱出路が形成される。
結衣はセツナを支え、
燕も肩を貸す。
「帰ろう、お姉ちゃん。」
セツナは涙を流しながら小さく頷いた。
地下研究施設・外
全員が脱出した直後、
地下施設は轟音とともに崩落した。
巨大な土煙が空へ舞い上がる。
ソウヤは振り返る。
「終わった……。」
イレイダは静かに首を横へ振る。
「いや。」
「始まりだ。」
その頃――
離れた山の上。
間宮トオルは研究所の崩壊を眺めていた。
隣には一人の黒髪の女性。
「北条セツナは失いました。」
研究員が報告する。
間宮は笑う。
「問題ない。」
「データは十分集まった。」
彼は夜空を見上げる。
「次は――」
「マスタークラウンだ。」
その言葉の意味を知る者は、まだ誰もいなかった。
エピローグ
能研本部。
治療室で目を覚ましたセツナ。
目の前には涙を流す燕がいた。
「……ただいま。」
その一言に、燕は姉へ抱きつく。
「おかえり……!」
長い別れを経て、姉妹はようやく再会を果たした。
しかしその裏では、Az、マスタークラウン、そして世界中の組織が動き始めていた。
新たな戦いは、もう目前まで迫っている――。
第30話 完
第一章「研究施設編」完結。
#鬱展開
Mist-404
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mogyumogyuGemi
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コメント
1件
「第一章完結お疲れ様でした……!」 一仁の「道具じゃない」宣言、めっちゃグッときました。あそこで間宮に背を向ける決断、重かったです。セツナたちの姉妹再会も本当に良かった……「ただいま」と「おかえり」だけで心がぎゅっとなりました。イレイダの「始まりだ」の締めも不穏で好き。続き、待ってます🤍🥀