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独歩の気持ちのままで
『ねぇ。その、きみって観音坂独歩?』
部屋を教えた訳では無いのだが、見つけたのだろう。
『別に、そうだけど』
それよりも名前、誰かに教えられたのか?教えた覚えはないし。
『じゃあ、観音坂さんでいい?なんて呼ばれたいんだよ』
観音坂さん、ねぇ。なんかやだなぁ。ここの家あんま気に入ってないし
『独歩でいいよ。独歩。』
本当は、こいつに”独歩ちん”と呼ばせたりしたかったが辞める。流石に気持ち悪いだろう。
『ふーん、独歩ねぇ。言い難い』
『うるさい。じゃあ勝手に決めろ。どんな呼び方でも基本怒らん』
言い難い、ねぇ。伊弉冉なんて読み書きしにくいぞ。
さ、こいつが考えてるのをほって置いて続きを書かないと…
『どぽ』
『っ!?』
びっくりして伊弉冉の方を向いてしまった。
どう考えても一二三にしか…
『ま、俺名前無いけど伊弉冉はやめてほしい』
『じゃあ…』
一二三、と言いかけたが辞めた。流石に…
『何?言ってよ。”イザナミノカクシムスメ”とか長いからやだ』
『ジゴロ、ジゴロでいい?』
これも同じか…
『分かった。じごろね。じゃ、俺戻るわ』
『あっ…』
少し”じごろ”に手を伸ばしてしまった。
『どぽ。仕事だろ?頑張れよ』
『…っ!』
『さ、出てけよ!』
正直、愛着が湧いてくれたらそれでいい。まあ、俺は一二三がただただ恋しいだけだが。
『続き、書かないとな』
椅子をギッと鳴らして、また静かな部屋にタイピングの音が響いた。