『実はね……?』
『俺がここまで担いできたんよ。』
『そしたらお母さんは追って来なくてさぁw』
『俺って意外と足速いんかなぁ〜w』
「……ん?」
あ〜……これはなんも分かってへんな。まぁ記憶失ってたんだし当然か……
というかこれからどうしよう……。キヨくん家に泊まらせてもらう訳にもいかんし……
「なぁレトさん……」
『ん?』
「一旦帰ろ?」
『えぇ……でも俺、お母さんのところには帰りたくない……』
「ちげぇよ。俺ん家に帰ろって言ってんの。一人暮らしだけどいいだろ。」
『うん。キヨくんがいいなら……行きたい。』
「フッ……しゃーねーなぁ〜!じゃあ行くかぁ〜w」
『すぐ調子に乗るなァ!w』
「www」
なんかいつもと同じやなぁ。こうやって楽しませてくれるキヨくん、ほんま好きやわぁ。ていうか家に行くなんて滅多にないから楽しみやなぁ……
「レトさん!こっち!」
手をヒラリとあげてこちらへ叫ぶ。
『今行く〜!』
ぼーっとしてたから先に行ってたの気付かへんかったわ。
「ねぇレトさん。」
『なに?』
「何かあったら、言ってね。」
「あと、これだけは約束して」
「絶対に死ぬなよ。」
『死にやしねぇよw』
俺は冗談混じりで返したけど、彼は本気のようだ。
そんなに俺の事を大事にしてくれるなんて、本当に嬉しいなぁ……
やっぱり好きやわ。
ガチャ
『お邪魔します!』
「誰もいねぇよ。」
『え、人いたよ。』
「嘘つくなwちょっと怖いからやめろw」
『www』
キヨくんはお母さんと離れて生活してて、お母さんは北海道にいる。
この歳で一人暮らしはすげぇよな。だって18歳だよ……?
「それでさ、北海道に行くのはどうする?」
『俺は行きたいけど……』
『荷物がなぁ……』
お母さんを怒らせた以上、暴力は止まらない。そんな状態で取りに行くなんて、考えただけで恐ろしい。胸が痛い。
『どーしよ。』
深夜の2時、ポツリと呟く。
ピーンポーン
「誰だ?」
ピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーン
ピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーンピーンポーン
インターホンが鳴り止まない。絶対お母さんだ。怖い。心が痛い。
顔なんて見たくない。怒ってたらどうしよう。殴られる。嫌だ。最悪だ。
インターホンに反応してキヨくんが出る。
「は、はい……」
「レトルトの母です。」
「荷物を置いとくので、二度と帰ってくるなと、言っといてください。」
「は、?」
ピーピーピー……
「どういうことだ……?」
『どうだった……キヨくん?』
あまり聞こえなかったが、キヨくんの表情を見る限り最悪なことが起きてそうだ。
「玄関にレトさんの荷物が置いてある。で、」
「二度と帰ってくるなって言ってた。」
は、?どういうこと?もういらないってこと?なら産むんじゃねぇよ……
それよりもどうしよう……野宿ってことか……?
『俺。人生終わりかも。死にてぇ。』
「ッ……!」
その言葉にキヨくんはすぐ反応した。
「だめ。」
「死のうなんて考えないで。」
「俺はレトさんが大事だから。レトさんが居ないと生きていけないから……」
それは逆だよ。キヨくん。俺はキヨくんがいないと生きていけないんだよ。
何回もキヨくんに助けられてる。俺もキヨくんは大切な人だ。
次は……そうだ。
『俺は絶対に死なない。』
『次は……俺がキヨくんを守らへんと。』
『何かあったら……絶対……!』
「レトさん……。」
ギュッ
「レトさんが親友でよかったよ……!」
『う、うん!』
「それでこれからどうすんの〜?」
『えぇ〜と……』
「はいはい。俺が泊まらせてあげる。」
『うぇぇ!?本当に?』
「うん。特別にね?」
『ホンマにありがとな……!』
「へへっw」
なんでやろ……
何故かずっと……親友って言葉が……
嬉しいはずなのに……
霧がかかって引っかかるんや……
おかしい……
本当は嬉しいはずなのに。
コメント
7件
あと一人でフォロワーさん100人‼️ やばいやばいァァァ
のぁー!!!よかった、よかった……のか?なんか…もう…複雑だなぁ…。嬉しいのに嬉しく無いのは…うーん…!!完結に感想を言うと…いいっ!!!!