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月白
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#コメディ時々暗闇
奏音•*¨*•.¸¸♬︎💙
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「――なぁ太一、夕べのニュース見たか!?」
翌朝。教室に入った瞬間、黒髪ショートにメガネを光らせた女子生徒――天霧ルカが、鼻息荒く僕のデスクに両手を突いてきた。
「見、見たって……なにを?」
冷や汗が背中を伝う。
筋肉痛でボロボロの全身を必死に隠しながら、僕は平静を装って聞き返した。昨日の今日だ。嫌な予感しかしない。
「『昨夕、神社裏の緑地公園にて未確認の魔法災害が発生。怪異は突如現れた謎の巨大構造体により即座に撃破された模様』ってやつだよ!」
ルカは目を有頂天に輝かせながら、スマホの画面を僕の突きつけてくる。そこに映っていたのは、防犯カメラが捉えたらしき粗い画像――漆黒の装甲を纏い、アスファルトに頭から突き刺さっている僕の姿(※魔道士カブト)だった。
「これだよこれ! 新種の魔法少女か!? いやでもこの武闘派感溢れる重装甲、どこからどう見ても『魔法少女』じゃなくて『特撮ヒーロー』でしょ!!」
「ぐふっ……!?」
核心を突く鋭いツッコミが、僕のみぞおちに刺さる。
「だよね!? 太一もそう思うでしょ!? 魔法少女っていうのはさぁ、もっとこうフリルとか光のステッキとか、儚い可憐さが必要なわけ! なのにこのゴツさは何!? 概念の破壊だよ!」
「う、うぐ……でもさ、ルカ……。もしかしたら、あの黒い人も……心の中ではフリルを着たかったのかもしれないじゃないか……。本当は可憐に舞いたかったのに、与えられた能力が重苦しい重力だったから、あんな姿になっちゃっただけで……!」
「なにその謎の同情!? 感情移入のクセが強すぎるでしょ!」
ルカの容赦ない言葉に、心がポキポキと折れていく。
自分の憧れを自分の手で全否定されているような、地獄の拷問だ。
(泣きたい……今すぐ教室を飛び出して泣きたい……!)
僕が机に突っ伏して絶望していると、鞄のサイドポケットがごそごそと蠢いた。
『おい太一。このメガネ女、朝からうるせえぞ。潰していいか?』
(喋るなカブー!! 頼むから静かにしてて!!)
ポケットの中で密かに角を蠢かせる毒舌虫(カブー)の頭を、僕は必死で上から押し込む。
学校にまでついてくるとは思わなかった。しかも「ゼリーの銘柄が気に入らん」だの「教科書が邪魔だ」だの、鞄の中から念話で小文句を言い続けているのだ。
「あれ? 太一、鞄のポケットに何か入ってる?」
「ななななんでもないよ!? ほら、最近ガチャガチャで当てたリアルな虫のフィギュア!!」
「ふーん……相変わらず趣味がマイナーだね」
なんとかルカの追及を交わし、胸を撫で下ろしたその時だった。
「――皆様、おはようございます」
教室のドアが開き、凛とした清らかな声が響いた。
一瞬で静まり返る教室。転校してきて以来、学園のアイドルとして圧倒的な人気を誇る少女――白峰ほのかが、白銀の髪を揺らして入ってきたのだ。
可憐な立ち振る舞い、優しげな微笑み、そしてどこか浮世離れした聖なる雰囲気。
まさに、僕が夢にまで見た「王道の魔法少女」そのものの存在感。
(あぁ……ほのかさん……。尊い……。本物の魔法少女(みたいなお方)だ……)
僕が遠くから拝むような目で見つめていると、不意にほのかさんと視線が合った。
彼女はふっと微笑むと、なぜか僕のデスクへと歩み寄ってきたのだ。
「狭間くん、おはようございます。……あの、少しよろしいですか?」
「は、はいっ!? 僕になにかご用でしょうか!?」
テンパる僕の前に、ほのかさんはスッと顔を近づけた。
そして、周りに聞こえないほどの小さな小声で、僕の耳元に囁いたのだ。
「……昨日の夕方、大変でしたね。『魔道士カブト』様」
「――っ!??!?」
心臓が跳ね上がった。
バラ出ている。一瞬で、完全にバレている。
「な、なんの……なんのことでしょうか……!?」
「ふふ、隠さなくても大丈夫ですよ。貴方の纏っていた魔力の残滓……とても『重い』ですから」
ほのかさんはフッと目を細めると、どこか寂しげで、けれど本気で感心したような表情で僕を見つめた。
「あの無骨な黒い装甲……とても強そうで、凄く格好良かったと思います。誰かを守るための、立派な姿ですよ」
(ほ、褒められた……!? 本物の魔法少女みたいな可憐な人に、僕のあのライダー姿が褒められた……!?)
全否定された直後の思いがけない肯定に、僕の心がパァァァと明るく輝きかけた――その瞬間。
『けっ。何が「強そう」だ。昨日のアイツ、落下の衝撃で地面にめり込んで泣いてただろ』
鞄の中から、冷や水どころか氷水をぶっかけるようなカブーの念話が脳内に響いた。
(カブー!! 空気を読めカブー!!)
「狭間くん? どうかしましたか? 顔が真っ赤ですよ?」
「な、なんでもありませんほのかさん!! ありがとうございます!!」
理想の魔法少女(ほのか)からの励ましと、現実の毒舌虫(カブー)からの冷や水。
僕の波乱に満ちた(そしてちっとも可憐じゃない)学園生活は、こうして賑やかに幕を開けたのだった。
コメント
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おお、第3話めっちゃ面白かったわ!教室でルカに「特撮ヒーロー」ってズバリ言われて凹む太一が可哀想で笑ったw カブーの毒舌も相変わらず絶好調で、念話で空気読まずにツッコむの最高すぎる。そして白峰ほのかに正体バレたシーンはドキドキした!「格好良かった」って言われて照れてる太一に、カブーが水差す流れ、完璧なコンビ芸やわ。学校パートもしっかり面白くて、続きが気になる🔥