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第7話
女の戦い!!!ミモリンvsヤッホーちゃん!!!
「魔法樹の剪定…….ですか?」
きょとん、とした顔でミモリンはバルザルドを見つめました。
「ああ、いうなれば森のおそうじだね。
魔法樹の枝が育ち過ぎると日光が遮られ、他の草木が育ちにくくなる。そうならないようにミモリン、君の爪で枝をいい感じに刈り取ってほしいんだ。」
魔王バルザルドはなぜかとてつもなく でかい食虫植物に頭を突っ込みながら そう言いました。
「バルザルド様……何してるんですか?」
「……ああ、気にしないでくれ、ほんの戯れさ。」
上半身ごと呑み込まれそうになりながら
バルザルドは言いました。
「わ、私に出来るでしょうか……..。」
ミモリンは自信なさげに言いました。
「ミモリンはやればできるさ。」
バルザルドはテキトーに言いました。
この男はいつもテキトーなのです。
どうやら今は食虫植物に呑み込まれる感覚を楽しんでるみたいですね。
「それに、今回はヤッホーにサポートして
もらうように頼んである。自慢じゃないが
ヤッホーは私の500倍は頼りになるぞ。」
もはや足以外見えないバルザルドは そう言いながら呪文を唱えました。
バルザルドと食虫植物はシュッと姿を消し
ミモリンの服が弾け飛びました。
皆さんお待ちかね、変身シーンのお時間です。
「これ毎回やらないといけないんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!?」
ウォータースライム君に身体を隅から隅まで洗われ、屈強な羊達におしくらまんじゅうを
されながらミモリンは叫びました。
今回は和風アレンジされたファンシーな 曲とともにミモリンは謎の光に包まれ 変身していきます。
ミモリンは異国で言うところの空手の
道着のような服装に変身しました。
おそうじミモリン格闘モード、スタンバイ完了です。
ミモリンは魔法でヤッホーちゃんのところ
まで大砲で飛ばされました。
「もっと他の方法なかったんですかああああああああ!!!!??????」
そう叫びながらミモリンはヤッホーちゃんのところまで飛んでいき、派手に大きな魔法樹と頭をぶつけました。
「ぐえぇ!!!」
「遅かったじゃない新入り。……. そのポーズはなんなわけ? 人間界で流行ってたわけ?」
「うぅ….好きでやってるんじゃありません……..。」
ヤッホーちゃんにお尻を向け、恥ずかしいポーズで寝転がりながらミモリンは言いました。
さて、いよいよ伐採開始です。
「……バルから伝えられてると思うけど
私はバルに頼まれてギリギリまであんたを助けないからそのつもりで頑張りなさいよ。
……..何その顔?……はぁ!!?バルからそんなこと聞かされてないってぇ!!?ほんッとうに
あのちゃらんぽらんはぁ!!!!!」
ヤッホーちゃんが怒ったのでおそろし山が
地響きを起こしました。
「……あんた?大丈夫なワケ?戦闘の経験は?」
「ないです…….。」
ミモリンは不安そうな顔で言いました。
ヤッホーちゃんは頭を抱えました。
「ハァ………..とりあえず、爪で思い切り
枝を ひっかき続けなさい。そしたらなんとかなるから。」
ヤッホーちゃんはものすごくふわっふわした
アドバイスをしました。
大丈夫なのでしょうかこの山の労働環境は?
「やっ、やってみます…….!!!!」
ミモリンはガチガチに緊張しながら
魔法樹達に向かっていきました。
「ヤバくなったら助けを呼びなさいよーー!!!!」
ヤッホーちゃんはミモリンにそう叫びました。
お掃除開始です。
魔法樹達は枝を切り落とされまいと
枝を勢いよく伸ばしてミモリンを攻撃
しました。
「わ、わわわわ…….えいやっ!!!!!」
ミモリンは慌てながら乱暴に腕をぶん回し
ました。すると、魔法樹の枝はスパァンと
勢いよく切れてしまいました。
「やった、これならいけるかもぐえぇ!!!?」
ミモリンがいけるかもと思ったのも束の間、
魔法樹の枝が拳のような形になり、ミモリンに腹パンしました。
ミモリンはゲロを吐いて横たわりました。
「あぁ、ゲロでよごしちゃった……。
そうじしなきゃ、そうじそうじそうじそうじ………。 」
ミモリンはブツブツと呟きました。
魔法樹達はミモリンの異様な雰囲気に
たじろぎました。
おそうじミモリン大掃除
モード、スタンバイ完了です。
「ガルルルルル…….そうじそうじそうじそうじそうじそうじぃぃぃぃぃあああああ!!!!!!!」
「ヒッ…..ヒギャアアアアア……….!!!!!!」
ヤッホーちゃんはミモリンの様子が気がかりでした。
「おっそいわね……。そろそろ助けに言ってやろうかしら……..。」
「ヤッホーちゃぁぁん!!!!!」
そう言って全身傷だらけ、アザだらけ、
たんこぶだらけのミモリンがヤッホーちゃん
に向かい手を振りながら駆けてきました。
「おそうじ終わったよヤッホーちゃん!!!」
目をキラキラ輝かせてミモリンは言いました。
「あんた…..ひどいケガじゃない!!!???
ちょっと待ってなさい!!!!!」
そう言ってヤッホーちゃんはミモリンに抱きつきました。ミモリンの傷は、みるみる内に
回復していきました。
「…….すごい、すごいですヤッホーちゃん!!」
「当たり前でしょ?私は山の精霊よ?
これくらい、 出来て当然よ。」
そう言ってヤッホーちゃんはぷいっと横を
向きました。
なんということでしょう。鬱蒼と魔法樹の枝が生い茂りまるで光の当たらなかった森が
ミモリンのがんばりによってほどよく手入れされ、木漏れ日のとどく素敵な森になっているではありませんか。
「…..ふーん、まあまあいい感じじゃない。」
そう言ってヤッホーちゃんはミモリンを
褒めました。
「…..ふへへ。」
ミモリンはそう言ってはにかみました。
「そんじゃ、勝負よミモリン。」
「…….へ?」
突然の展開に頭が追い付かないミモリン。
「ヤァァァァア!!!!!!!」
ヤッホーちゃんが力強く地面を踏み込むと
おそろし山のじめんからリンゴの木が
ボコボコと生えてリンゴが五つ実りました。
「私はねぇ、新入り。はじめて会った日からずっとあんたが気に入らないの。私の聖域に、おそろし山に、土足で踏みいったあんたがね。勝負方法は 《オソロシアン•ルーレット》!!!!! この5個リンゴの内4個は毒リンゴよ。 どれかひとつの当たりを選んでみなさい!!!」
ゴゴゴゴ……とおそろし山が大きく揺れて
いました。ミモリンは悩み、考え、決断しました。
「…….えいッ。」
ミモリンは一番赤くて大きなリンゴを選んで
思いっきりかぶりつきました。
「……..一応聞いてあげるわ。なんでその
リンゴを選んだの?」
「….ヤッホーちゃんは毒で私を殺すような人じゃありません。だからこのリンゴは全部 毒リンゴじゃないと思いました。」
そう言ってミモリンはお腹がすいていたのか
大きな赤いリンゴをムシャムシャと貪りつくしてみせました。
「…….あんた、名前は…….?」
ヤッホーちゃんはミモリンを睨みながら
言いました。
「ミモリン。ミモリン•ヒル•ブラックウェルです。」
ヤッホーちゃんは天を見上げました。
地響きがピタッと止みました。
「…….気に入ったわ!!!ミモリン!!!!!!
認めてあげる!!あんたが私のライバルだってね!!!!」
そう言ってヤッホーちゃんはミモリンに
握手を求めました。
「あっ、どうも …..わわわっっ!!!!!!????」
ミモリンがヤッホーちゃんに握手をしようと
すると突然ムクムクとミモリンの身体が
大きくなりだしました。ミモリンの着ていた
道着が耐えきれず弾け飛びました。
「え!?え!?えええええええ!!!!!??」
「あっはっはっは!!!!!まさか五つのリンゴのうちの一番当たりを当てるなんてね!!!!!
そのリンゴはものすっごく大きくなれる
魔法のリンゴよ!!!!これからよろしくねぇ!!!
ミモリン•ヒル•ブラックウェル!!!!!!」
高笑いをしながらヤッホーちゃんは木々に
包まれ、一瞬でどこかへと消えていきました。
「ちょっと!!?ヤッホーちゃん!!??元に戻る
方法教えてください!!!ねぇ!!!!ヤッホーちゃぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!」
10mまで巨大化したミモリンは胸を隠し、
赤面しながらそう叫びました。
その叫び声は、おそろし山中に響き渡ったそうです。
おそろし山の森のどこかでヤッホーちゃんは
歩きながらリンゴを齧りました。
(ミモリン•ヒル•ブラックウェル、私は
あんたがきらい。)
ヤッホーちゃんはずんずん歩いて行きます。
(バルはああいう女がタイプなのね。
素直そうで、可愛くて。…….私と真逆じゃない。)
ゴゴゴゴ…..とおそろし山が少し鳴り出しました。
(でもいいわミモリン。だって、最後に勝つのは私なんだから。)
(私はあんた達なんかよりずっとずっと長命なんだから。)
(あんたが寿命で死ねば、私の粘り勝ちよ。
バルは私のものなの。絶対に誰にも渡さないわ。)
ヤッホーちゃんは ガリッガリッとリンゴを齧り、芯だけになった林檎をポイッと捨てました。
(もしバルが死んでも、バルの亡骸は
おそろし山の土となって、 私の中で生き続けるんだから。 バルはずっとずっと私のものよ。)
ヤッホーちゃんはまた木々に囲まれおそろし山のどこかへと姿を消しました。
はてさて、どうなることやら。
ハッピーエンドになるといいですね。
ミモリン、ヤッホーちゃん。
(次回 まさかの合体!!?病ミモリン登場!!!!
次回もおたのしみに☆)
(最後まで読んでくださり、ありがとうございます。)