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当たり前

15 - 第15話

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2025年12月06日

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_________________

及川視点


翌朝、目覚めた瞬間に嫌な予感がした。


――母さんからの電話。


予想通り、着信が何件も重なっている。

「徹、今すぐ帰ってきなさい」

「あなたのためを思って言っているのよ」

「昨日の行動は許されない」


岩ちゃんが横で、無言で画面を見ている。


「……どうする?」


「行かない」


言った瞬間、胸がぎゅっと痛む。

学校に行けば母親の影がついてくる。

家に帰れば、もっと厳しい言葉と指示が待っている。


「そっか……じゃあ、俺が一緒に行く」


岩ちゃんのその言葉に、少しだけ気が楽になる。

“誰かと一緒なら、逃げられない現実にも向き合える”

そう思えた。


_________________


登校中、及川の背中に冷たい視線が刺さる。

友達も教師も、昨日の変化に気づいているような空気。

でも、岩ちゃんが隣にいるだけで、緊張が少しずつ溶ける。


教室に入ると、すぐに母親からの連絡が教師経由で届いた。


「及川くん、あなたの行動について話があります。放課後、職員室に来てください」


胸の奥が重くなる。

“また始まる”

そう思った。


でも岩ちゃんは手を軽く叩いた。


「大丈夫だ。俺がついてる」


その言葉だけで、心が少し落ち着く。


_________________


放課後、職員室で母親と向き合う。


「徹、あなた、どういうつもりなの?」


怒鳴る声は冷たく、計算されたように鋭い。

母さんの目は、期待と失望の混ざった光を放っている。


「……青城に行きたいんです」


言った瞬間、空気が一瞬止まった。

母親の瞳が一瞬だけ揺れる。


「は?」


「徹!なに言ってるの!?」


「俺は、青城でバレーを続けたいです」


胸が張り裂けそうになるけど、揺るがない。

岩ちゃんが後ろで、静かに支えてくれているから。


母親の手が机を叩いた音が響く。


「あなたのためを思って言ってるのに!

どうして私の言うことを聞けないの?」


「……もう、母さんの言うことを聞くことだけが正解じゃないです」


言葉が出た瞬間、自分でも驚いた。

でも岩ちゃんが隣にいる安心感が、勇気をくれた。


「岩ちゃん……」

小さく呟くと、彼は軽く頷いた。


_________________


帰り道、沈黙が続く。

でも不思議と、心が重くない。

母親の圧力はまだあるけれど、岩ちゃんの隣なら、逃げずに立っていられる。


「及川、今日の言葉、間違ってなかったぞ」


「うん…ありがとう」


初めて、自分の意思で選んだ道を歩いた感覚。

そして初めて、誰かに頼っていいんだと実感できた。


“これからも、怖いことはある。でも、一人じゃない”


心の奥で小さく誓う。

青城への道、そして自分の人生を、自分で選ぶ――


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