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「本当に、俺達、恋人になったんだよな」
「朔蒔が、そう思ってるなら、そう、だろ……」
改めて口に出すとはずいので、そういえば、朔蒔は「人任せだな」と誰に口利いているんだっていうぐらい酷い台詞を吐いた。本当に、可愛げが一気に無くなるのでどうにかして欲しい。そんなことを思いながら、世話の焼ける大きな犬、恋人と思えば、受け入れることが出来て、俺はため息を尽きつつ、朔蒔を見た。
本当に憑き物が落ちたように、朔蒔の顔には笑顔が戻っていた。
あるとき、バカ暑いのに長袖を着てきた朔蒔。あのしたには、あの殺人鬼に殴られたあとがあったんだろうな、っていうのを今になって思った。実際殴られていたかったし、容赦の無い拳に、吐き気さえ覚えた。だって、人間あそこまで非情になれるのかって思ったから。矢っ張り、あれは人間じゃなかったかも知れない。
そんなことを思いつつ、朔蒔がこちらをチラチラと見ているに気がつき、俺は眼を飛ばすように「何だよ」と突っかかってしまった。
朔蒔はケロッとした顔で、別に、といったが口元がにやけている。
「そんで、星埜の父ちゃんいつ帰ってくんの?」
「今日は、帰ってこないんじゃないか。父さんも、全て終わって肩の荷が下りただろうけど、聞きたいこともあるだろうし、何より仕事だし」
「ふーん」
「何だよ」
そう聞けば、朔蒔はニヤッと笑って俺を見る。
嫌な予感しかしない。
朔蒔がこういう顔をするときは、大体俺にとって悪いことだ。
「んーいや、せっかく二人きりだから、さァ。つか、久しぶりにって?」
「いわんとしていることは分かるが、お前、本当に大丈夫か?」
「何が?」
「頭。脳みそ性欲で詰まってるんじゃないか?」
「ひっでェ。さすがに、そんなんじゃねェって」
と、ケタケタ笑う朔蒔。いや、笑い事じゃないだろ。この状況というか、ついさっきまで何があったかわすれたのかってぐらい、俺は呆れてしまった。
俺達は、晴れて恋人同士となったのだ。なったとはいえ、本当に朔蒔って奴は……と呆れてしまう。
確かに、恋人になったが正直、まだ実感がない。だって、つい数時間前の出来事なのだ。俺だって舞い上がったし、嬉しかったしで、恋人とクラスメイトでは天と地のさだろう。
まあ、それは良いとして。
「朔蒔」
「何?」
「……はあ」
「うわ、ひっでェ。何でため息つくんだよ」
「いーや、お前に呆れて」
今すぐ抱きたいです、みたいな顔してる朔蒔を見るともう何も言えなかった。好きに抱かせてやるつもりはないし、此奴の体力と性欲を考えると、すぐに終わらないのは目に見えている。それでも、俺も少しは欲しいと思うわけで。
「いい……」
「ほんとか?」
「でも、何で……うわっ」
俺が、何故そんなに焦っているのかと聞こうとした瞬間押し倒される。幸いベッドだったため、痛みはなかったが、殴られて痣になったところがズキンといたんだ。
「それ、とか」
「は?」
「上書きしてえの。恋人同士になったわけだし、つか、はじめからこうなる運命だったってことは、星埜は俺のものってことじゃん? だから、あのクズに触られたのいやだった。星埜の身体は俺のものだし、星埜に触れて良いのは俺だけって」
「朔蒔……」
相変わらず傲慢な言葉だったが、その気持ちは俺も同じだったので否定は出来なかった。俺の身体は朔蒔だけのものじゃないが。
朔蒔は俺の服に手をかけながら、首筋にキスを落としていく。 くすぐったい感覚に身をよじれば、朔蒔は楽しそうに俺の耳元に唇を寄せた。
そして、囁かれる。
まるで呪いの言葉のように。愛してる、と。
そうして、朔蒔の熱い手が俺の肌を這っていく。俺は、それに身を委ねながら、やっぱり俺は朔蒔が好きだなあ、って嫌でも感じさせられる。だって、触れられたところが、凄く熱い。
「優しく触れるんだな」
「俺だって、優しく出来るし? それに、星埜に壊れられて、困るのは俺だから」
「お前のためかよ」
理由が子供だ、と思ったが、まあ、いわんとしていることは分かってる。だから、俺はその言葉を飲み込んだ。
それから、朔蒔は丁寧に俺の身体を撫でていき、胸の突起を弄る。
最初は何とも思わなかったが、今ではすっかり感じるようになってしまった。俺は、女でもないのに乳首をいじられると変な気分になる。それを朔蒔に知られてからは、執拗にそこばかりを責めてくるようになった。
「んぅ、あっ、ふぁ、さく、ま」
「星埜、可愛い。もっと声聞かせて」
「やだ、やめろ、バカ、やだって、んっ、ふっ、んんっ」
朔蒔は、指先で摘まんで引っ張ったり、爪を立てて刺激してくる。それが、痛くて気持ち良くて、俺は思わず身を捩ってしまう。
朔蒔はそんな俺の反応を見て、ますます調子に乗ってくる。朔蒔は、俺のズボンを脱がせながら、太股に舌を這わせていった。
俺は、そんな朔蒔の頭を叩く。
「いてっ」
「しつこいぞ」
「だって、久しぶりだし」
「だから、って……ッ」
「星埜のここ、すげぇ敏感になってっし、エロいし」
「ひゃあ!」
朔蒔は、俺のモノを口に含んでいった。温かく湿った感触に、背筋がゾクリとする。
「んんっ、ふぁ、んんんっ!」
「感じてやんの」
「あたり、前だろ……っ」
お前に触れられて、いやだって、感じるわけがない。
調子に乗りそうだから、口にしないけど……
朔蒔は、俺のものを舐めて、吸って、甘噛みをして……ってどんどん俺を高めていく。
俺の弱いところを知り尽くしている朔蒔に、俺が敵うはずがない。
「ふっ、んんっ、んんんっ! んんんんん!」
俺は呆気なく朔蒔の口の中で果ててしまった。
「はっ、あ……ぁ……っておい、飲むなって」
「だって勿体ねェじゃん。つか、星埜も飲んでくれるし」
「いや、お前が飲ませてるだけだし」
そうだっけ? なんて、キョトンとした顔で言いながら、朔蒔は笑っていた。
もう、どうでもいい。よくあることだ。
「も、いいから……早く、準備しろ。奥、うずいて……しかたないって、お前のせいだからな」
「星埜ごーじょー」
「うるさい」
「でも、好き。大好き」
「ああ」
「愛してる」
「知ってる」
そう言えば、朔蒔は嬉しそうに笑って俺にキスをした。何度も角度を変えて繰り返されるキスに、頭がクラクラする。
その間に、股の方に伸びた指は、俺の中に侵入してきた。
ローションで濡らされた指は簡単に入ってきて、中を掻き回していく。その度に、グチュリと音が響いた。
朔蒔は、俺の中に指を入れては出し入れして、広げていく。その感覚は慣れなくて、少しだけ苦しい。だけど朔蒔の指だって分かってるから、安心できた。
「星埜、いれていい?」
「聞くな、早くしろ」
「りょーかい、りょーかい♥」
お気に召したようで、語尾にハートが浮かんでいるように見えた。だが、そんな余裕もここまでで、朔蒔の強烈なものが一気に入ってくる。
「あ、あぁ、んんぅ、ふぁっ」
「きもちぃ?」
「うん、んんっ、さく、まぁ……」
朔蒔の背中に腕を回す。すると、朔蒔はキスをしてくれた。舌を絡めると、朔蒔の唾液が流れ込んできて、飲み込む。甘い味がして、脳まで蕩けるような感覚に溺れた。
そのまま、腰を動かされると、さっきよりも大きな水音と、肌がぶつかる乾いた音が部屋に響く。朔蒔の動きが激しくなると同時に、俺の腰は浮いてだらしのない喘ぎ声が漏れた。
「星埜、出るッ♥ 全部受け止めて」
「はじめ、からっ! そのつもり……だしっ、いわなくても……わかっ、るぅ!」
「ハッ♥」
朔蒔の熱が弾けて、中に広がっていく。
その感覚に、俺は身を震わせた。そして、朔蒔の熱い吐息が耳元にかかると、俺はまた達してしまった。
俺が落ち着いたところで、朔蒔はゆっくりと俺の中から出ていった。その瞬間、キュンとお腹が疼く。まだ、出ていかないで欲しいって、無意識に朔蒔の腕を引っ張ってしまう。
「星埜?」
「も、いっかい……」
この言葉を言って、後悔したのは翌朝、目を覚ましてからのことだった。