テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
古流斬
2,542
87
チタコロ
323
第四章 地獄編
第十話「襲撃」
第一部隊拠点。
鬼の軍勢と防衛軍が激突していた。
ラントは神速で鬼を斬り伏せる。
バットも煙幕と斬撃で次々と鬼を倒していく。
しかし、数が減る気配はない。
その戦場の中心で――
酒呑童子は静かに立っていた。
能力は持たない。
だが、その代わりに持つのは圧倒的な妖力と、長い年月で磨き上げた剣術。
「能力など不要。」
「強者は力だけで十分だ。」
その瞬間。
「待たせた。」
古流斬が戦場へ姿を現した。
ラントは目を見開く。
「古流斬……!」
バットも驚く。
「本当に帰ってきたのか!」
酒呑童子は静かに笑う。
「ようやく来たな。」
古流斬は刀を抜く。
「今度は逃がさない。」
二人はゆっくりと距離を詰める。
だが。
酒呑童子は笑みを浮かべたまま地面へ手を置いた。
「遅い。」
ゴォッ!!
巨大な術式が古流斬の足元へ広がる。
古流斬は目を見開く。
「封印……!」
酒呑童子は不敵に笑う。
「仕返しだ。」
「お前が間の世界で俺を封じたようにな。」
術式は一気に完成する。
「これは永久封印。」
「一度封じられれば二度と出られん。」
古流斬はすぐに能力を発動した。
「──曖昧。」
存在をわずかにずらし、封印の中心から外れる。
術式は空を封じるだけで終わった。
「避けたか。」
酒呑童子は少しだけ笑う。
古流斬も笑い返す。
「同じ手は二度も食わない。」
しかし。
古流斬は小さく息を吐いた。
「……はぁ。」
曖昧で回避した代償は大きい。
体力が確実に削られていく。
酒呑童子はその様子を見逃さなかった。
「やはり消耗するか。」
一方の酒呑童子は、まだ比較的余裕を保っている。
古流斬は息を整えながら刀を構え直す。
「確かに……余裕そうだな。」
酒呑童子は金棒を肩へ担ぐ。
「だが。」
酒呑童子の腕には浅い斬り傷が残っていた。
間の世界で受けた傷。
そして、先ほどの一瞬の交錯で増えた新たな傷。
小さな傷でも、確実に蓄積している。
古流斬はその傷を見て静かに笑う。
「お前も無傷じゃない。」
「この戦いで、確実にダメージは与えてる。」
酒呑童子は初めて真剣な表情になる。
「なら試してみろ。」
「どちらが先に倒れるか。」
妖気と曖昧の力が再びぶつかり合う。
決戦は、さらに激しさを増していく。
――第十一話へ続く
コメント
1件
「古流斬、本当に帰ってきたんだな…!」って読んでてちょっと熱くなったよ。酒呑童子も能力なしで圧倒的妖力と剣術ってのがかっこよすぎるし、封印回避の代償で体力削られてくバトルの駆け引きがめちゃくちゃ重くて続きが気になる…!二人の傷の積み重ねがもう決着近い感じ出してて、次でどう決着つくのかドキドキしてるよ🥀