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夜になり、シャワーも着替えも済ませたマリアとリオは四条宅の前に立っていた。
家の中からは美味しそうな料理の匂いがしてきている。
「大丈夫?マリア
…食べれそう?」
マリアは人間が食べる食物は口に出来なかった。
唯一トマトジュースだけが飲めるだけだった。
他のものを食べると息が止まりそうになる程の発作を起こしてしまう。
「……でも、リオと四条先生もいるから…
食べずに済むかもしれない…」
「分かった。」
リオは頷くとチャイムを鳴らした。
暫くして出てきたのは一馬だった。
「お、私服も良いな…。
料理は出来てるから冷める前に入れよ」
お邪魔します、と2人は入っていく。
家の中はお洒落なインテリアが並んでおりセンスの良さがうかがえた。
「やぁ、来たね。
一馬から聞かされて驚いたよ」
「四条先生」
「ども。花染リオって言います。
姉が世話になったそうで」
リオが言うと穂高はクスクスと笑った。リオのトゲのある言い方が面白かったらしい。
笑われてリオはしかめっ面していたが。
「お姉さんに聞いてると思うけど、俺は四条穂高。
生物の教師。その内学校でも会いそうだね。
それに…」
「それに何すか」
「恐らく姉妹揃っての事なんだろうね、ふふ」
「その事ですけど本当に……」
そこまで言ってリオは口を噤む。一馬がキッチンからリビングに料理を運んできたからだ。
「?
おい、リオ。穂高の事睨んでんのか?怖ぇ顔してるけど」
「別に。教師嫌いなもんで」
「いや、そんな理由で睨むなよ
そんで穂高も余計なちょっかい出すなよ?」
穂高はハイハイと笑っていた。
そしてマリアの方へと近付いていく。
「マリアちゃん、ちょっと手伝ってくれる?
サラダ用意するから」
「は、はい」
どこか胸が煩く感じるがマリアは穂高についていく。
キッチンへ行くと穂高はマリアに向き直る。
マリアはびくりと立ち止まる。
「マリアちゃん、人間の食事出来るの?」
どうしてこの人は……。
マリアは不思議だった。
不安に思ってることや知られたくないことを言い当ててくる。
だからなのか、今日帰って思い浮かべてしまうのは穂高なのかもしれない。
「実は……トマトジュースしか口に出来なくて…」
「そうかな、と思った…。妹さんのリオさんは?」
「リオは、大丈夫です……沢山栄養とって……
先生?どうして、私のことは…ちゃん付けでリオのことは、さん付けなんですか?」
マリアは分からないと穂高を見上げる。
穂高はと言うと優しくマリアを見ていた。
「リオさんはちゃん付けしたら怒りそうだからね
……マリアちゃんは…。ふふ、俺のヴァンパイアだからかな?」
「!!」
「嫌だった?」
「や、じゃないですけど…」
「それともマリア、が良い?
クスクス、冗談だよ」
この人と話していると心臓がもたない。
さっきからドキドキさせられっぱなしだ。
(ドキドキ?
……きっと言われたことないから動揺しちゃってるんだ、うん、きっとそう…)
きゅるるる…
「……。」
2人とも無言になりマリアのお腹を見る。
マリアは顔を赤くし俯いてしまう。お腹の音がこんなに恥ずかしいとは思ってもみなかった。
しかし穂高はマリアの頭に手を乗せて、耳元に顔を近づけた。マリアは体が緊張で固まるのを感じた。
「あとで、飲ませてあげるからね」
ふわりと離れた時に、心地いいシャンプーの香りを残していった。