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第8話 【111(ウォル)】出品宣言
カメラが回る。
端末の表示名は、数字だけ。
【111】
指で画面を二度叩く。
反応を待つ間、笑いをこらえる。
コメントが流れ始める。
速度が上がる。
読まない。
端末を持ち上げ、
別の画面を映す。
そこにあるのは、
見慣れた綴り。
一瞬、間を置く。
肩をすくめる。
画面を切り替え、
確認の動作を重ねる。
確定の手前で、
指が止まる。
カメラを見る。
何も言わない。
押す。
表示が変わる。
出品中。
コメントが弾ける。
流れが崩れる。
端末が震え続ける。
机が小さく鳴る。
笑いが漏れる。
軽く、短く。
もう一度、画面を見せる。
数字が動いている。
祭りの音が、
画面の向こうから溢れる。
端末を伏せる。
カメラに向けて、手を振る。
その夜、
名前は、
手放す前の形をしていた。