テラーノベル
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30分くらい歩いたところで一度休憩。
運動量のせいか思ったより暑い。
下着とフリース1枚。しかも前を大分開けた状態で、ちょうどいい感じだ。
「取り敢えず熱い紅茶をどうぞ。雪山用なんで甘いですよ」
先生が大きい魔法瓶から紅茶を入れて、回してくれた。
「うーん、この甘さが身体に浸みるのだ」
「下では絶対こんなに甘いのは作らないのです。でも山だとこの甘さが美味しいです」
彩香さんは大丈夫かな。
そう思って横目で観察。
うん、問題無さそうだ。
ザックの上に座って紅茶を飲んでいる。
「あと、靴の中が冷たかったり、その他調子の悪い所はありませんか。特に足が冷えてきたのがわかったら、すぐに言って下さいね。凍傷になると大変ですから。一応靴や靴下はちゃんとしているので、大丈夫なはずなのですけれど」
「あと、行動食はちまちまとでいいから食べておけよ。去年もそう先輩が言っていたな。普通の登山以上にカロリー使うから、常時食べている状態でちょうどいいって」
なるほどと思って、僕もポケットに入れておいたミニチョコパンを一つ食べる。
うん、甘さは力だという感じがする。
いつもはあんパンの方が好み。
でも登山用にカロリーが高い方を選択して正解だった。
「それでは、身体が冷えるから出発しましょう」
全員が紅茶を飲んで、行動食を口にし終えたところで、先生がそう宣言。
再び皆で歩き出す。
しばらく歩いて行くと、大分辺りが明るくなってきた。
上の空は真っ青。
そして木の枝が作り物のように白くなっている。
所々、陽が差していて枝に雪がついているところで、美洋さんや彩香さん、亜里砂さんがとんと木をつついて、枝から雪を落とす。
そのたびにキラキラ粉雪が舞うのを皆で見て、そのたびに綺麗だなと思って。
そんな感じで、休憩から30分ちょっと歩いて、他から来る登山道と合流した。
僕らが来た方は『唐沢鉱泉』。
もう一方、下る道が『渋の湯入口』。
そして上り側が『黒百合平』と書かれている。
「ここでちょうど半分というところですね。体調はどうですか」
「ちょっと足が重いけれど、問題無いのだ」
「私も大丈夫、あの塔ノ岳のはしごの時よりは楽かな」
「あれはきつかったのだ。強制もも上げ特訓状態だったのだ」
彩香さんと亜里砂さんも元気そうだ。
ここでまた紅茶休憩。
なお行動食は、歩きながらかじるのも有りだそうだ。
先頭の川俣先輩がまさにそうしていて、チーカマを食べながら歩いている。
途中、雪が深くてそこそこ滑りやすいところも出てきた。
でもアイゼン着用の号令は無い。
「こういう場所でも、アイゼンなしの方がいいんですか」
「これくらいなら無い方が楽ですね」
先生はそう言うけれど、本当かな。
ちょっと疑問。