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新しくきた料理番の人たちは、3人。王都のとある貴族に仕えていたが、関係が悪化したことで、追放された……という設定らしい。


『わたくしが手配いたしました』


メイアである。この人材をグニーヴ城に引き入れたのは、このメイド様の仕業らしい。


『細かいことは気になさらずに。そもそも、騎士の仕事に料理を作るなんてありませんから。騎士には騎士の仕事をしてもられなくてはいけません』


それはそう。


『ちなみに、この3人はわたくしのコマですが、アンジェロに絶対の忠誠を誓っておりますので、もし何か身の危険を感じたなどございましたら、彼らに頼ってください。いつ如何なる時も、この3人はあなたの味方にございます』


いざという時の護衛でもあるらしい。……確かに、3人のうちのひとりは、筋肉モリモリのマッチョマンで、前線のほうが活躍できそうな逞しさがある。

3人の名前は、タラス、イブラ、コルピオと言う。マッチョマンのタラス。細身だが長身のイブラ。丸顔の小男がコルピオである。

彼らの作る料理は、騎士たちにも好評だった。私も食べたが、これが何とまあ馴染みの味。……まるでメイアが作った料理のように出来がよい。私同様、彼女から料理を教わったのかもしれない。


さて、調理場から解放された私だが、青狼騎士団の一員ということで、そちらの業務をしないといけない。悠々自適な生活を送れる身分ではない。騎士として勤務しなければいけないのだ。

そう、騎士として。


いつの間にか、私は青狼騎士団の団員になっていた。あれ……おっかしいなぁ? 傭兵として、短期のはずだったんですけどー。


他の下っ端騎士同様、雑用に振り回されると思いきや、その配置は、レクレス王子付き護衛班だった。

それを言い渡された時、さすがに私は意見したもので――


「王子付き護衛って、エリートですよね?」


王族に万が一があってはいけないので、精鋭が配置される。百戦錬磨の強者。いざという時は王子のために盾となることも厭わず、たとえ地獄でもお供する忠誠高き者たち……。


「私は、冒険者上がりで、しかも来たばかりですよ……?」


そんな半端な人間を身辺警護に使っていいわけがない。これに対して、アルフレド副団長は言った。


「私も思うところはありますが、人材に余裕があるわけではありません」


グニーヴ城、いや青狼騎士団含めて、深刻な人材不足に悩まされている。


「君は治癒魔法が使えますからね。まだ君は前線に出られる団長がどんな無茶をする方かご存じないでしょうが、それはまあ、危なかっしいもので――」

「おい」


当のレクレス王子が、副団長を睨んだ。アルフレドは構わずに言った。


「勇猛果敢なのが、うちの団長なのですが、前に出るということはそれだけ怪我もしやすい。これで団長はとてもお強いのですが、我々部下としてはいつ怪我をするのではないか、とヒヤヒヤさせられています」

「……」

「フン」


そっぽを向くレクレス王子。これは、アルフレドの言い分もわかる。王子様の身に何かあったら大変だものね。


「まあ、前に出るのは仕方がないと諦めていますが……」


そこは諦めないで! 王子様だよ!


「治癒術士が追いつけないんですよ。だから、余計に何かあったらマズいんです」

「これまでは何もなかった」

「これからもそうであるとは断言できませんよ?」


眼鏡の副団長は、王子である団長を睨んだ。言うべきことは、たとえ王子が相手でも言う副団長の鑑。


「……と、いうわけで、猪突猛進な我らが団長に随伴できて、回復魔法その他、魔法の使える人材がどうしても欲しいんですよ。できればさらに一緒に戦える人材が……その点、君は冒険者上がりで、しかも戦士なので、打ってつけです」


アルフレドは私を見た。


「まだ他に何か意見はありますか?」

「いいえ!」


ありません。理解しましたから。

かくて、私は王子様のおそばに控えるポジションを与えられました。






「そういえば、アンジェロはどれくらい戦えるんだ?」


レクレス王子は、もっともな質問をしてきた。王子様の護衛グループの一員に加えられるのなら、その実力を見ておきたいというのは当然である。

実戦に身を置く以上、互いに何ができて、どこまでできるかわからなければ、任せるものも任せられない。


「冒険者上がりだったよな。ランクは?」

「Dです。下から3番目です」


SSランクという伝説上のそれから、S、A、B、C、D、E、Fでランク付けされる。ちなみにFは見習いランクで、正式に冒険者と自称できるのはEランクからである。


「アンジェロは回復の魔法と岩の魔法を使っていたな。攻撃の魔法は?」

「一応、中級魔法くらいまでは。メイア……こほん、冒険者をしている魔術師の方と古くから交流があったので」

「Dランクで中級か。よくは知らないが、戦士でなくて、普通に魔術師レベルではないか?」


レクレス王子は唸る。


「騎士団にも魔術師はいたが、主力級の魔術師も中級魔法レベルで、上級魔法を使えるのは、名の知れたネームドクラスだと聞いた」


うちにはそんな上級魔術師はいないがな、と王子は自嘲する。


「アンジェロの使える魔法は、光属性と大地属性のふたつかな?」


治癒魔法のヒールは光属性と言われる。そして橋を直した岩の壁は大地属性である。


「あ、ひと通り使えます」

「は?」


レクレス王子は目を剥いた。


「ひと通り、とは? 具体的には?」

「ええっと、光、大地の他に、火、風、雷、水、氷、闇」


指折り数える私。


「あと、属性外も少々」

「無属性もか!? 全部で9属性だと……!」


レクレス王子はガバッと私の両肩に手を置いた。


「お前、天才か!?」

「……!?」


王子様、顔が近いですっ! イケメン過ぎて、心臓が死ぬっ!

婚約者の王子は女嫌い? 真相を確かめるため私は男装した。男装令嬢と呪われ王子

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