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10 - 第10話【口直しの味】息抜き

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2023年05月13日

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【口直しの味】息抜き作品

※再び) 小湊奏×小湊圭一

小湊奏→「」 小湊圭一→『』

※転生・喰類パロ(今世の兄は両手はあるものの、前世の記憶があるためすることは変わりありません)

※捕食表現・エッ表現アリ

※二次創作です、え?前回?知らんな(((((殴


路地裏に充満する鉄のような匂い、何かを裂くような鈍い音

そして、口周りを血で汚した兄がいる

「またこんな所で食べてるんですか、」

俺は特に何とも思わず声をかける

『ここだと足がつきにくいからね〜』

そう云い、反るように振り返る兄の顔は、喜色を隠そうともしない真っ赤に染まった笑顔

「またこんなに汚して、私の気持ちも考えてほしいですねぇ」

『ごめんごめん〜、でも嫌じゃないでしょ?』

そういい俺の首に手を回してくる兄

「じっとしててくださいね、拭き取りますから」

『うん♡』

俺は当然のように血のついた兄の口を舐める、今日は若い女なのか…でもなぁ、

「不味い、この女。不健康なんじゃないですか??よく喰えましたね?」

そう云うと兄はへらへらと笑いながら答えた

『だよね〜僕もそう思った〜笑』

なら何で喰うんだよ…心でそうツッコむと、急に兄貴が俺の身体をさわりこう云った

『僕〜…口直し、したいな』

俺の口に柔らかい物が入ってきた


『やっぱり僕、奏の味が一番好き♡』

「物好きですよね、兄さんは」

せめて次は、もっといいものが喰べたいものだと思うが

何やかんや、俺も兄の味が一番好きだ

兄の味は、どこか甘い。例えてみれば花の蜜を舐めているような感覚だ

『ねぇもう一回いいかな?』

「仕方ないですね…」

この特権は俺だけのものだ、兄の味を知っていいのは俺だけで充分だから



俺が兄の味を知ったのは、恐らくあの日だろう


『あぁ…ヤバいな、血、出過ぎた…』

「ですね…とりあえず、路地に隠れましょう…」

その日、俺たちは珍しく戦いに苦戦した。兄も俺もともに深傷を負いながら、命からがら逃げた。

『血が足りないや…また、死んじゃいそうだよ』

へらへらしてる割に体は正直、力が入らず立つことも難しい兄は、真っ青な顔になっていた

「近くに人間が居たら、何とかなるんですがね…」

回復のためにも血は必要、でもこんな所に人間は居ない…

そんな時に思いついたのが____

「仕方ない…兄さん、少し不味いかもしれませんが、我慢してくださいね…」

『ん…え…?』

俺はそう云い、兄に口付けた

『んぐっ…ん…ふぅ……』ヂュッヂュクッ

俺の血が兄の中に流れていくのが分かる、口が離れると、赤い血の糸が引ける

『ハァ、ハァ…かな、で?…何で急に、』

「これしか、私にはできませんから…」

そのお返しにと、兄も俺に同様のことをする__

『奏も、血が足りてないくせに…』

「え、_____」

再び兄の口が、俺の口と重なる




あのこともあってから、俺の味覚が変わった…気がする

…獲物は若い男だった、味は悪くは無かった。ただ、

「(なんか、味気ないな…)」

そう思い、兄を見つめる。同じことを感じたのか互いに目が合う

『…あんまり美味しくないね〜笑』

その目はとても穏やかで、とても優しかった。

「口直しでもいります?」

『口直しって?』

自分の指を指すと、笑顔を浮かべて、また

俺を喰べるんだよね



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