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〜内緒話 黒猫 〜
「なんで店の名前黒猫にしたんだ。」
「由来ですか」
「黒猫を店で飼っているからか」
ニャー
「アイビー」
黒猫のアイビーが肩に乗りすり寄ってきた。
「そうですね」
「店の名前は…なんとなくです」
「黒猫関係ないのか…」
「はい」
アイビーとは森の中へ気分転換に散歩へと出かけた際に出会った。
「書類仕事…戸籍…店の名前…多い」
仕事を引き受けたがすぐには終わらない。
ニャー…ミャー…
猫の声が聞こえる。森の奥に行くと大きな木がある。その下に
「…いた」
猫がいた。
シャー
薄汚れた黒猫だ。警戒心が強いのは悪いことではない。身を守るために必要だ。
(…本心は大勢に見せないほうがいい)
私は書類仕事の続きをするために帰った。
次の日は、猫でも食べれる果物を持ってきた。
「…食べる」
シャー
まだ、警戒心が強い
次の日、もう一度行くと果物は消えていた。
別の動物が持っていったのか…転がっていったのか…食べてくれていたならいいな
次の日は大雨だった。風も強く、家の中から聞こえる雨音は硬いものが落ちてきているような音だった。
次の日、猫の下へ行くと…
「お前…それ」
足を怪我している。昨日の大雨、風が強かったから枝でも飛んできたのかもしれない。 もしくは、他の動物と縄張り争いか…
「…見せて」
手を伸ばすが猫パンチを出し怪我の具合を見せてくれない。
ポツン…ポツン…ザーザー…ザーザー
雨がいきなり降り出した。木の下で雨宿りしていたら猫が半分出てきた。
ミャー
「帰れって言ってるの…雨が止んだらね」
猫は泥が所々に付いており汚れていた。
「お前…一人」
返事はない
「私は…一人。さみしい…でも悲しくはない」
そっと頭に手を伸ばし撫でる。汚れていても触り心地はいい
「お前は強いね。私は…弱い。守りたいものも守れない…雨止まないね」
風が冷たく吹いている。雨が弱くなってきた。
「お前…よかったら私と来ない」
シャー
「そうか」
私は雨が弱くなったうちに帰った。そして、急いでタオルを持ってきた。少しでも、体を温めてほしい。雨により体が冷たくなってしまう。
猫が私を見つめる
「これ使いな…」
ニャー
「君には生きてほしい」
………
返事はない。
もし…もしいいなら…
「…家族になってほしい」
私はもう一度手を伸ばした。今度は抵抗しなかった。試しに 抱きしめたら抵抗しなかった。怪我のせいなのか…私を認めてくれたのか…
暖かかった。温もりが心地よい。
「…帰ろう」
私は雨がもう一度降り出す前に帰った。
家に着いたら真っ先に風呂に入れ、怪我をしているところは治療をしてご飯を食べさせた。
「お前…目がオッドアイなのね。それも見たことのない…普通とは違う存在」
(…同じだな)
猫は目を合わせながらきもちよさそうにしている。撫でてもらって嬉しいのか…私も嬉しい。あったかい。
「名前決めないとな…名前」
ニャー
「名前は…アイビー。花言葉は永遠の愛、友情、不滅…よろしくね相棒 」
ゴロゴロ…ミャー…
アイビーは花ではないがこの子にあった名前だと思う。アイビーは、星のように開いた葉が愛らしい。なんと言ってもとても生命力が強い。愛の植物。
黒猫で金色と青い目のオッドアイを持つ素敵な子。
私に家族ができた。
「…長生きしろよ」
家族の証として無数の糸でできた縁結びの首紐を付けた。
この子に良い縁がありますように…
「フェムル様知ってますか…黒猫はあんこ猫と言われ幸福を運ぶそうですよ」
「黒猫が横切ると不幸の前触れじゃないのか」
「確かに…そうと言われていますね」
「両方とはややこしいな」
「この子は…神様みたいですね」
「ん?不幸も幸福もあるからか」
「えぇ…」
この子は…幸福も不幸も司る素敵な子