前回の続きより
照Side
無理なんてしてない、と言い張るふっか。俺はその時、とある日のことが頭をよぎった。
あの時……俺たちがそれぞれの能力に気づいたばかりの時。敵とまともに戦えなかった俺たちを、ふっかが助けてくれたことがあった。
ふっかはゲーム系が得意だからか分からないけど、一番始めからこの能力を使いこなせていた。だから、まだちゃんと能力が使えない俺たちを庇いながら、大勢の敵と一人で戦って……
なんとか勝てたものの、能力の使いすぎでふっかは倒れてしまったのだ。
それ以降も、ふっかが倒れてしまうことがよくあった。俺たちはこれ以上大きな負担をかけさせないために、全力で能力の使い方をマスターした。……当時のことは、みんながよく覚えている。たくさん話し合って、協力して、策を練って。だから、俺も舘さんも……おそらく何も言わなかった翔太も、ふっかを気にかけたのだろう。思わずノってしまった佐久間も、やっちゃった、という顔をしている。
少し重い空気になってしまった室内。この沈黙を破ったのは、ふっかだった。
💜「だーから、大丈夫だって。みんな気にしすぎ!ささ、俺の周りに集まってー?」
ふにゃりとした笑顔。その笑顔で、空気がフワリと軽くなる。俺ら四人は顔を見合わせつつも、ふっかの言葉を信じて集まった。
💛「お前、本当に無理はするなよ……?」
💜「大丈夫大丈夫。あ、みんな目は瞑っててね?」
ふっか曰く、この能力を持っていない人が移動中に目を開けていると目が潰れるという。前にもふっかからこの話をされたことを思い出し、俺たちは慌てて目を瞑る。
💜「おっけぇ?行くよー?せーのっ」
かけ声と共にパチンとふっかが指を鳴らすと、俺たちの体が宙に浮いたような感覚がした。……と思えばすぐに、
💜「はい、いいよ〜。目開けて」
と言われる。目を開けると本当に移動しているから不思議だ。
🩷「おぉ〜!!やっぱすごいな、ふっかの能力!」
キラキラした瞳でふっかを見る佐久間と、
💙「羨ましいわ、マジで……」
結構本気で羨ましがっている翔太。
❤️「あ、お疲れ様です」
舘さんの声で振り向くと、事務所の人たちが俺たちの姿を見て驚く。まあ確かに、さっき戦闘終了報告をしたばっかりなのにここにいるから……驚くのも無理はない。
💛「ありがとふっか。体調はどう?」
💜「おう、全然大丈夫。心配してくれてありがとな」
笑顔のふっかがなんだか心配で……少し嫌な予感がするのは、気のせいか?
🤍「あ、みんなだ!無事で良かった〜!」
事務所の入り口にラウ、目黒、阿部、康二の四人が戻って来ていた。
🧡「俺らより早かったんか……!あ、もしかしてふっかさんの能力使ったん?」
🩷「ご名答〜!」
💚「え、ほんとに?大丈夫なのふっか?」
💜「ん、全然大丈夫〜」
🖤「……一応、回復しといてもらった方が良いっすよ」
💜「いやー、大丈夫だよ!」
💚「大丈夫と思ってても、そうじゃない時があるから!みんなに迷惑かけたくないって一番言ってるの、ふっかでしょ!」
🤍「迷惑なんかじゃないから……僕に回復させてよ」
ずっと大丈夫と言い張るふっかに阿部がお灸を据え、ラウールがきゅるんとした瞳でふっかを見つめる。むぅ、と少し頬を膨らませ拗ねた様子のふっかだったけど、俺が
💛「ふっか」
と声をかけると、
💜「……わあったよ。ラウール、お願い〜」
🤍「は〜い♪ふっかさん元気になぁれ!」
目をキラキラと輝かせたラウールが、ウキウキとした様子でふっかを回復する。
ふっかは「自分のためだけに能力を使って欲しくない」と思っている節があるため、ラウールの回復術もなかなか受けようとしない。でもそういう時は、俺とか阿部が促して若干強制的に受けさせる。
……そうしないと、最年長であり能力の負担も大きいふっかの体はたぶん持たない。それに、今回の疲労は俺たちのせいでもあるし。
🧡「照兄〜、事務所の人が……って、ふっかさんラウに回復してもらっとるん?珍しい……大丈夫かいな」
💛「あーふっかはたぶんこれで大丈夫。心配すんな」
🧡「おん……ならええけど。照兄たちも、ふっかさん無理させたあかんで?」
💛「うん。気をつけるよ」
そうは言いつつも、さっき感じた俺の中の嫌な予感がずっと消えない。……何かあったとしても、ふっかは俺が守らないと。優しく微笑んでいるふっかを見つめながら、そう心に決めた。
(続く)
コメント
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私もなんか嫌な予感がする、w (どんな物語でも嫌な予感って付き物ですよね、) 続き楽しみピーマンでありまth.ᐟ