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都会の変電所の周りには不穏な空気が漂っていた。異能の暴走を調査する中で、鋼谷はここが事件の中心地であると突き止め、向かっていた。しかし、そこで彼を待ち受けていたのは、ある一人の異能者だった。
異様なオーラを放つその男は、どこか幽霊じみた佇まいで変電所の影から姿を現した。彼の名は霊一。幽霊と人間の血が混じり合った異質な存在であり、異能を操る者たちにとっては噂でしかない恐ろしい存在だった。
「よう、異能を持たぬ者よ。この場でお前に会うとはな…」
鋼谷が彼を見据えると、霊一はにやりと不気味な笑みを浮かべた。彼の異能、「異能爪術」は、己の手で接触した異能者の力をコピーし、自由自在に操ることができる。これまでに異能を暴走させた原因も、彼の能力によるものだった。
「…貴様が、異能暴走の原因か。」
鋼谷は冷静に問いかける。しかし、霊一は軽く肩をすくめ、鋼谷に近づいてくる。
「異能を持たないお前には理解できまい。だが、俺の力で集めた異能は、人間の想像を超えたものばかりだ。触れるだけで、奴らの力をいただける…便利だろう?」
霊一は手を見せ、鋭い爪が光る。異能を「爪」に封じ、取り込み、いつでも引き出せるその能力は、異能者たちを震え上がらせる存在だった。
鋼谷は霊一の異能がもたらした異常事態を直感的に理解した。彼の異能コピー能力こそが、異能者たちを暴走させ、無意識に異能を溢れ出させる原因だったのだ。
「異能爪術か…。だが、お前の遊びに街を巻き込むな。異能は他人を傷つけるためのものじゃない!」
霊一は冷たく笑い返した。
「異能者にふさわしい力を持たぬお前が、そんなことを語るのか?お前のような”何もない者”には、この力がどれほどの価値を持つか理解できまい」
だが、鋼谷は動じない。彼には異能はないかもしれないが、それでもなお、目の前の脅威に立ち向かう覚悟があった。
鋼谷は一瞬の隙をついて霊一に突進した。だが、霊一は異能者の数々の力を備えているため、彼の攻撃を軽々とかわし、異能の力で鋼谷を攻撃しようとする。
「俺の中にある異能の数々…すべてをお前にぶつけてやるよ」
霊一の爪が光り、火炎を巻き起こし、鋼谷に襲いかかる。しかし、鋼谷はその中でも決して諦めない。異能の暴走を止めるため、そして街を守るため、鋼谷はあらゆる策を巡らせ、霊一に立ち向かっていく。
異能がないからこそ、鋼谷は恐れずに霊一の持つ異能に挑むことができた。そして、異能に頼らない彼の闘志が、霊一を次第に追い詰めていく。異能を操り、取り込む力を誇っていた霊一だったが、その力には限界があったのだ。
鋼谷の執念と戦略が、異能爪術を誇る霊一の力を揺るがし始める。