赤愛され 通報×
長すぎる
随分と長く眠らされていた。
気がつくと、椅子に縛られていて身動きが取れなかった。
ここはきっと地下なのだろうか、音が一切聞こえない。光が入ってこない。
まさか監禁?どうして俺なんかを、
いや、また失敗したのか?
数分後、足音が聞こえた。
誰かが来る、俺を誘拐した人が、きっと。
)あ、起きた?ごめんね。こんな手荒な真似をして
そしてあっさりと縄を解いていく。
予想外のことに固まっていると、紫髪のお兄さんがにっこりと微笑む。
紫)ただ、君をどうしても俺たちのものにしたかっただけなんだ。こうして会うのは初めましてなのに、こんな形でごめんね。
片膝をついて、俺の手を優しく握る
なんなんだこの人、俺を手に入れてすることなんて…
紫)俺はななもり。よろしくねりいぬくん
俺と同い年、いや年上か?
どこかで見たことあるような、ないような
紫)りいぬくんと同じ学校の生徒会長やってるんだ
そうだ、入学式にステージに立っていた人だ
いやそれでも、そんな人がどうしてこんなことを
そして俺なんかを
学校なんて全く行ってない俺を
紫)一目惚れだったんだ、けどりいぬくんなかなか学校来ないし、なんだか他の人に取られるような気がしてね
紫)これから俺たちと一緒に居てくれない?
もちろん、拘束するとかじゃなくて…
紫)衣食住しっかり与える、それと家に帰りたい以外のお願いは全部なんでも聞いてあげる
紫)どうかな…?
赤)そんなので…いいんですか、?
紫)え、?
つい声に出していた。
だって今まで俺は、性処理係か奴隷、そんなことしか頼まれて来なかった
それに、俺を誘拐する人はみんなそうだった
親に何度も売られて、生きてる実感がしなかった。
そんなことばっかで感覚が鈍くなり、何をされても何も感じなくなった。
だから今回も誘拐されても何も思わなかった
だけど、一緒にいるだけでいいと言われ、また困惑状態だ。
紫)…とりあえず移動しよっか、りいぬくんのためにお部屋作っておいたんだ
おいで、と言われ身体が浮いたかと思えばななもりさんの腕の中にいた
いい匂いする、落ち着く…
てか俺の部屋ってここじゃないのか
薄暗くて俺にはちょうどいいのに。
ここだよ。だなんて連れてこられた部屋はすごく綺麗だった。
大きなベットに、机と椅子があり、棚とテレビもあり、この部屋でずっと暮らしていけそうなほど充実してある。
紫)もしなにか足りなかったら言ってね?
あ、ここの窓開けたい時は言ってね、勝手に開けちゃ駄目だよ?
逃げる、と思われているのだろうか
逃げたところで俺の帰る場所はないのに
その後お風呂に入らされ、ご飯を食べさせてもらってベットに寝かしつけられた。
寝かしつけが上手いのか、自分が思っていたよりも疲労が溜まっていたのか、いつの間にか熟睡していた。
目が覚めると、窓から光が差し込んでいて
一瞬自分がどうしてここにいるのか分からなくなった。
だっていつもの光景と全く違うから
しばらく窓の外をぼぉっと見つめていると、部屋の扉がノックされてピンク髪の人が現れた
桃)起きたか、おはようりいぬ
その人は手にお盆を持っていて、それを机に置いて俺の頭を優しく撫でてきた
この人もどこかで見たことあるような…
桃)俺はさとみ…なぁくんから聞いてない?
赤)ななもりさん…?聞いてない、です
桃)そっか、あ、なぁくんって呼ぶとすごい喜ぶよ
ちなみに、俺はさとちゃんって呼んで欲しい
なんてキラキラした目で見つめてくる
この人すごいイケメンなのにデレデレした話し方…
赤)さと、、ちゃん……さん
桃)敬語禁止、うし、ご飯食べよ
そうして食べ終わり、着替えさせられた
桃)今日は家の中探検しような
赤)探検…?
桃)まだなんにも知らないだろ?
昨日来た、というか誘拐されたばっかだし
俺のスマホどこ行ったんだろ…
桃)よし、行こうな、抱
やっぱり抱っこされた、俺歩くことも駄目なのか?
桃)抱っこ嫌い?
赤)慣れてないだけ…
そうして部屋の外に出た
俺の部屋は3階らしい、ここどんだけ広いんだ?
4階建てのお城のような場所は、家の外は人気が全く感じられない
だいぶ遠くまで連れてこられたのか
まず1階を案内することになり、玄関に他の部屋、そして倉庫やらなんやら
2階はキッチン、お風呂場などなど生活スペースとなっていた。
ある部屋を覗くと、黄色髪と青髪が見えた
あれってもしかして…
青)わ、りいぬくんだ~!!
黄)りいぬおはよう!
同じクラスメイトのころんとるぅと、話したことないのに
黄)さとみくん、僕が起こしに行くって言ったじゃないですか
桃)いや、お前は絶対起きれないと思ってたから、まぁ案の定そうだったしな
黄)はぁ、?!
青)まぁまぁ…急にびっくりだよねりいぬくん、笑
赤)ぇっ、と、まぁ…
びっくりだけど、そこまで居心地悪く感じない
普通誘拐されたら嫌だという感情があるはずなのに
青)3階はね~、僕たちの部屋もあるんだよ!
黄)ここが僕の部屋、で隣がころちゃんとその隣がじぇるくん!
黄)向かいのさとみくんとなぁくんね
待て待て、新しく聞いた名前の人がいたような
青がころんで、黄がるぅとで…じぇる…?
橙)お、!りいぬや!!
オレンジ髪のにこにこした人が突然部屋から現れた
確か生徒会の人…だよな
橙)俺はじぇるやで~!
これで俺は全員と顔を合わせた。
最初の2週間は顔を覚えられなくて、名前を呼べないとるぅとくんが1番拗ねていたのを覚えている
ここでの生活は今までの生活と比べて格段に快適だった。
美味しいご飯にいっぱい甘やかされて、愛されて
今まで愛なんて汚いものばっかりだった
でもこの人たちは、みんなは暖かくて優しくてすごく綺麗なものだった
リビングで1人アニメを見ていると、がちゃっと扉を開けて入ってくるなぁくん
おかえりと言って駆け寄ると、にっこりと笑うがなんだか疲れているみたいだ
紫)生徒会の仕事が山ほどあってねぇ…
赤)そうなんだ…ぁ、
昔、疲れたからお給仕しろだなんて命令されたな
赤)疲れ取る?
ベルトに手をかけるとすぐに止められた
紫)…駄目、りいぬくん。俺そんなのしてなんて頼んでないよ?
悲しそうな、怒っているような表情で俺の腕を掴む。
昔俺がされてきたことをみんな嫌そうな顔をしたり、怒ったりする。
俺にとって当たり前にしてきたこと、みんなは当たり前じゃないみたい。
紫)…ありがとね、俺のためにしてくれようとしたんだよね、でも俺にはぎゅ~だけで充分だよ
そう言って抱きしめられた
軽くお互いの唇が触れて、すぐに蕩けちゃう
キスなんてされたこと無かったから、まだ耐性がつかない
黄)あ″~~~!!!!!
青)ちょっと、邪魔すんな″!!!
うるさい2人組が帰ってきた
黄)りいぬ僕も!!なぁくん次僕の番です!!
紫)はぁ~い
青)ちょっとるぅとくん、!
俺の意見はないのか、?まぁないか、別にいいけど
そしてなぁくんからるぅとくんに渡り、俺を受け取るな否やすりすりして匂いを嗅いでくる
変態か?こいつ
黄)ん~…癒される
赤)今日なにしたの?
黄)体育で結構走ったかな、ころちゃんが遅かったとか?
青)はぁ、?!確かにるぅとくんより遅いけど、結構早い方なんですけど
赤)いいな、楽しそうで
なんて心の中で言ったつもりが、つい言葉にしていた。
みんなが一斉に俺を見る。
なんだかその視線が怖くて、普段焦らないはずなのに、そんな感覚もう消えかけていたのに、冷や汗が止まらない
心臓がどくどくする、
紫)りいぬくん、学校行きたい?
なんてまるで俺たちから逃げたいの?と言わんばかりの表情でそう言われた
逃げる気なんて全くない
それは初めから変わっていなかった。
けどずっとここにいるのはそろそろ退屈してきた
俺が居なくなってあの人たちはどうしているのか、学校の人たちはどう思っているのか
少し気になっているだけだ
赤)いまどんな感じなのか、気になっただけ
紫)…まぁ、るぅとくんたちいるし大丈夫か
なんて少し考えてからそう呟き、次の日には俺の制服があった。
橙)りいぬおはよ~、これ付けてな
赤)なぁに、これ?
何やら耳にイヤリングらしきものをつけられた
鍵みたいな形で、赤色の宝石が付いている
橙)俺たちからのお守り、なんかあっても大丈夫やからな
少し違和感のある石の触り心地に、気づかない振りをして笑って頷いた
紫)それじゃあ、またお昼休みにね
桃)遅れんなよ~
橙)2人ともしっかりな
黄)分かってますよ
青)またね~
そうして3、3で廊下を別れた
右にるぅとくん、左にころちゃんと俺は真ん中
るぅとくんはしっかり俺の手を繋いでるし、ころちゃんは何やら周りを警戒している
そんなに警戒しなくても、誰も俺なんか…
もぶ)あれ、りいぬじゃん!!久しぶり~!
もぶ)ほんとだ、りいぬくんだ!元気だった?
赤)え、?
多分クラスメイトだろう、数人が俺の近くに寄ってきて心配そうな、来てくれて嬉しそうなそんな感じだった
今までそんな視線も呼び掛けも浴びなかったのに
もぶ)みんな心配してたんだぞ?
ほら、早く教室入ろうぜ!
赤)ぁ、ぅん
なんて言ってその後をついて行くことは不可能で、るぅとくんのお得意の作り笑顔を浮かべながら俺の前に立った
黄)あの、りいぬはまだ体調が万全じゃないので、少し休んでから教室に入りますね
もぶ)あ~、そうだよな、、悪い、笑
そうして教室の前を通り過ぎて、人気が少ないころに連れていかれた
2人は少し怒ってるみたい
黄)ちゅっ、んちゅ、♡♡
青)ちゅっ、ぢゅる、っ、♡
赤)んっ、ぁ、ぅ、♡♡
消毒だなんて言われ、順番に2人から甘いキスをされて、すぐに頭がふわふわする
ころちゃんの方に倒れ込み、制服を掴んで必死に呼吸を整える。
2人は満足そうに俺の頭を撫でている。
青)よし、教室行こっか
俺が長く休んでいる間、入院していたことになっていたらしい
今まで通り不登校ということで良かったのにあの5人がそうしたらしい
まぁ、色んな人に心配されて素直に受け取れないが
そんな設定にした本人たちが嫌そうな顔をしている
授業なんてなにも分からないまま、どんどん時間が流れていきお昼の時間を告げるチャイムが鳴り響いた。
黄)りいぬ行くよ
そう言って手を繋いで向かう先は、生徒会室と書かれた部屋
そうだった、なぁくん生徒会長なんだった
お昼はここで食べるのかな
紫)りいぬくん待ってたよ~!
部屋に入った瞬間なぁくんが駆け寄ってきて俺を抱きしめてきた
いつもなら拗ねるるぅとくんもここでは大人しく身を引いていた
桃)食べようぜ
青)さとみくん僕メロンパン!
橙)りいぬは何食べたい?
赤)んじゃあ、クリーム…
黄)りいぬは僕の手作りお弁当だもんね~?
赤)へ、?
いやなんだそれ、ていうかいつ作った?
他のみんなもはぁ?という感じで見ていたが誰も口を挟まなかった
ご飯にウインナー、卵焼きなどなど、俺の好物ばかり
黄)はい、あ~?
赤)あむっ、
ほんのり甘く感じるが、まぁ美味しい
また同じように食べさせられて、しっかり完食した
橙)ん~、ご馳走様
青)午後の授業だるぅ~…
赤)ん、っ…ふぁ~…
桃)りいぬおねむか~?
急に瞼が重くなったというか、まぁ久しぶりの学校だし疲れたのかな
紫)いいよ、そのまま寝て
赤)ん、っ
優しく頭を撫でられてそのまま身を委ねた
桃)んで?
ソファに横になり、気持ちよさそうに寝息を立てているりいぬを見たあと、1人怪しく微笑んでいる彼に向けてそう言った。
黄)ちょっと躾も兼ねて、ね?
青)僕は不登校のままの設定で良かったと思うんだけど?
紫)それだと単位足りないとかあるからね、入院ってことにしておいた方が何かと融通効くし
橙)生徒会長がそんなこと言うて…
桃)そう言ってじぇるもだろうが
紫)で、誰が戻るの?
黄)僕と、あともう1人いいですよ
桃)ななが決めることだろ
紫)じゃあさとみくん行きたい?
桃)どっちでも
赤)ん″…
制服だった自分はいつもの家の服になっていて
生徒会室だった場所は、いつもの自分の部屋だった
ずっと寝ていたのか…
黄)おはよ、りいぬ
黄)ねぇ、りいぬ。りいぬは誰のもの?
赤)みんなのもの、かな、
昔からものみたいに使われて、1番優しく扱ってくれるのはるぅとくんやみんなだけど
黄)…なぁんだ、笑
黄)さとみくん必要なかった
桃)ん、片付けてくる
赤)なに、それ…
大きな箱を持っていた
見るか?と言われ、恐る恐る開けると、見た事あるものばかり
赤)これ、よく使われてたな
黄)は?誰に?
桃)思ってた反応と違うな、笑
赤)ごめん
黄)ねぇ、誰に、いつ使われたの
昔の客に散々やらてた玩具たち
簡単に説明すると更に怒っているような表情をするるぅとくん
黄)さとみくんカーテン閉めて
桃)はいはい…
黄)りいぬ、これは消毒ね?優しくするから、怖かったら言って
赤)もう慣れてるから、
黄)全部忘れさせてあげる
赤)…っ、、ぅ、
黄)平気?
赤)ん、へぇ、き
強がってたけど、久しぶりにやられると異物感がすごくて、ちょっと怖くなった
桃)ちゅっ、♡
赤)んっ、ぅあ、♡♡
それ頭ふわふわする…♡すき…♡
黄)無理しなくていいよ、今日はもう辞めよっか
赤)ぇ、いいのっ、?
無理、嫌だと言っても今まで辞めて貰えなかったのに
この人達はやっぱり違う
青)ねぇ、りいぬくんってば!
赤)ごめんぼぉっとしてた~、笑
あれから数年経った。
外出許可が出されて、ころちゃんと近くの公園でのんびりしていたら、あまりにも気持ちよくてつい考え事をしていてしまった。
僕の話無視して酷い!と怒られてしまったが
青)そろそろ帰ろっか、
赤)うん、今日のご飯なんだろ~♪
青)楽しみだね、笑
なんて手を繋ぎながら歩いていると、後ろから突然大声を浴びた
びっくりして振り返ると、母親と警察がいた
母)りいぬっ!!!
赤)ぉ、かぁ、さん、?
)お前が誘拐犯かっ″、?!
青)っ、
どうして、今まで俺のことなんてどうでも良かった癖に
どうして今さら俺の幸せを邪魔しようとするの
)りいぬくん、こっちにおいで、!もう大丈夫だよ
気持ち悪い、吐き気がする
確かに、俺は誘拐された。
でも数年間幸せだった。今までと比べ程にならないくらい
それなのに、被害者として扱うその目が、言葉が気に食わない
赤)今すぐどっか行って…
赤)俺のことなんてどうでもよかったくせに″!!
声を荒らげる俺を見て悲しそうな目をする母親
辞めてよ、そうやって演技するの
母)おかしいわよ、どうしちゃったの…?
私ずっと心配していたのよっ、
どうして異常と決めつけるの
ころちゃんが手を軽く引っ張ったのを合図に俺たちは駆け出した
紫)2人とも、無事でよかった…
青)ごめん見つかっちゃった
黄)りいぬ大丈夫、?
赤)みんなと居たいっ、ここに居たい…っ
桃)俺もだよ、大丈夫俺たちがなんとかする
ニュースで俺の写真が常に放送されるようになってしまった
みんなが捕まっちゃう…?
橙)俺たちは平気やで!
紫)うん、任せて!だからりいぬくんはお留守番しててね
赤)みんなどこ行くの、?
紫)ころちゃん、頼んだよ
青)うん
赤)ねぇ、どこ行くの…?
そうしてみんなフードを被って行ってしまった
ころちゃんは俺を安心させるかのようにずっと抱きしめてくれた
黄)りいぬの母親ってこれ?
紫)ん、多分ね
異常でも君のためならなんだってする。
ずっとちびちび書いていたせいで遅くなった‼️‼️
もう最後の方力尽きました
コメント
5件
やばいめっちゃ好き🤦♀️💕こんなにたくさん書いてくれて律ありがと!最高すぎるし嬉しすぎる🥹独占欲めちゃくちゃ強いけど赤くんのこととにかく大事にして甘々に接する5人がめちゃくちゃ良すぎたし辛いことばかり経験してきた赤くんがたくさん甘さを与えられるの可愛すぎた🫶🏻️︎与えられる愛に不慣れな反応がまた可愛らしくて愛を与えられる度赤くんと5人が尊すぎた!!
あの本当に好きですまじで語彙力なさすぎるんですけどまじで大好きです