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雪月❄️
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yuka @43日間男体化
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💚視点
諸々の契約を済ませた後目黒くんには一度帰ってもらい、俺と康二さんと、そしてなぜか宮舘さんも一緒に今後の作戦会議を行うことになった。
「そんじゃ、考えられる可能性について共有しとこか」
康二さんは事務所の隅の方にあったホワイトボードを持ってくる。
「まず一個目。ドッペルゲンガー的な目黒さんとは全く関係のないものが現れて、イタズラのように目黒さんに近づいている」
康二さんは言いながら棒人間を2人描く。
「二個目。その全く関係のないものが目黒さんと入れ替わろうとしている可能性」
さっき描いた棒人間の下に、康二さんは左右両方に向いた矢印を描く。
「三個目。目黒さんの中にある深層心理が形として現れている」
「深層心理……?」
「何かを我慢している人ほど起こりやすいんだよね。自分の中にあるもう一つの気持ちが具体化されるんだ」
俺の呟きに宮舘さんが反応を返してくれる。我慢しすぎて抑えきれなくなったものが、溢れて実態を持ってしまう……そんなことがあるのか。
「というか、宮舘さんもお詳しいんですね?」
「まあ、だてにこの事務所の設立をOKしたわけじゃないからね」
このビルのオーナーでもある宮舘さんはそう意味深に微笑む。
「目黒さん芸能人やし、三個目の可能性が高いとは思うんやけど、”入れ替わりを狙う存在”の可能性も捨てきれへん。それが1番怖いから、これからは二手に分かれて動こうと思う」
康二さんは俺たちの会話を聞いているのかいないのか、淡々と説明を続けている。
ホワイトボードの真ん中に大きく線を引き、康二さんは「今後」と書き記す。
「まず、目黒さんのそばについて実態調査兼ボディーガードをする人。次に、ドッペルゲンガーとか心理的な“怪異”について調べる人」
二つの点と共にそれらの仕事内容が記載される。“怪異”のことについては俺はあまり詳しくないので力にはなれない。ということは……
「え、俺目黒くんの実態調査班ですか!?」
「そういうことになるな」
キュキュッと康二さんは俺の名前をホワイトボードに書く。
ちょっと待ってくれよ、今日会えただけでもかなり心臓が持たなかったのに、これからしばらくの間一緒に行動を……?
「かまいたちくんもおるし、阿部ちゃんならマネージャー的ポジションも向いてるやろ。俺の方から話つけるから、明日から阿部ちゃんは目黒さんのサポート行ってもらってええかな」
「わ、わかりました……!」
断る理由なんてないし、仕事内容的にも片方ができないので断れない。俺は推しである目黒くんのマネージャー的ポジにつくことになってしまった。
「じゃあ、今日からよろしくね」
「よろしくお願いします……!」
次の日。俺は仕事前に探偵事務所に来てくれた目黒くんと一緒に今日一つ目の仕事現場に向かっていた。
目黒くんと並んで歩いているというこの状態がもう夢のようで、どこかフワフワした気持ちになってしまう。
「……緊張してる?」
「ふぇ?! い、いえ別に!」
不意に話しかけられて思わず変な声が出てしまう。俺の慌てっぷりに目黒くんは楽しそうに笑う。
「ははっ、そんな硬くならなくていいよ。俺のマネージャーじゃなくてただの“付き添い”。友達みたいなもんだからね」
「ともっ……!?」
俺と目黒くんが友達だなんて、そんな夢みたいな……あぁいやもうすでに話してる時点で夢みたいなもんなんだけど……
頭の中でぶつぶつと独り言が巡る。そんな夢見心地な俺をよそに、目黒くんはにこやかな笑顔でずんずん進んでいく。
かまいたちは気づけば俺の肩を降り、目黒くんの隣を跳ねるように歩いている。羨ましさと若干の嫉妬を感じながら、俺は置いていかれないように目黒くんの後を追った。
日中はそれといって大きな出来事はなく、俺はただ目黒くんの普段の仕事ぶりを生で見させてもらっただけのような状況だった。
テレビでは見れない撮影の裏側、目黒くんの様子……ファンにとってはたまらない映像、体験。この仕事を任せてくれた康二さんにはもう頭が上がらない。
「お疲れ様。今のが今日最後の仕事だよ。ずっとついてきてくれてありがとう、阿部ちゃん」
「いえ、俺の仕事は目黒くんを見守ることだったので。目黒くんに何もなくて良かったです」
どこかのプロデューサーさんが俺を「阿部ちゃん」と呼んでいたのを気に入ったようで、気づけば目黒くんから「阿部ちゃん」と呼ばれる俺。今日でかなり距離が縮まってしまった気がする。
「時間も早いし、ちょっと寄ってく? 俺の行きつけ」
「え! いやそんな、行きつけだなんて知ってしまったら……!」
「いいの。俺が阿部ちゃんに教えたい」
いつぞやのドラマで見たようなイタズラっぽい笑顔を俺に向けながら、目黒くんはどこかふわふわとした様子で先を歩いていく。
もうこの際どうにでもなれ、俺がその店に通い詰めたって知らないぞ、と思いながら俺はまた目黒くんの後を追った。
その道中だった。
俺たちの少し前を歩いていたかまいたちが、不意に立ち止まって虚空に向かって唸り声をあげ始めた。それと同時に俺の背筋にもゾクゾクと寒気が走り、思わず立ち止まる。
「ん? どうかしたの、阿部ちゃん」
目黒くんは何でもない様子で俺を振り返る。……目黒くんは何も気づいていない。ということはもしかして、妖怪?
「……ちょっと寒気がして。今日はこの先に行くのやめませんか」
何となく感じる嫌な予感。目黒くんのおすすめの店がこの先にあるとはいえ、今日だけは行ってはいけない気がする。
「んー、そうだね。阿部ちゃんの体調が悪いなら、今日はもう解散にしようか。俺の行きつけにはまた今度行こうね」
「ありがとうございます、ぜひまた今度!」
俺たちがそうやって話している間も、かまいたちはずっと唸り声をあげ続けていた。
コメント
4件

続き、待ってました! これからの展開も楽しみです✨
みぅです🤍🥀 第8話、読みました! 阿部ちゃん正式に目黒くんのサポート役になっちゃって、もうドキドキが止まらない展開ですね…!「友達みたいなもん」って言われたときの阿部ちゃんの混乱、すごく伝わってきて思わずにやけました(笑) でも最後の寒気とかまいたちの異変、不穏な空気がひろがってきてゾワッとしました…。この先どうなるんだろう、続きが気になります!🌙