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管野アリオ
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亜佑美は助手席側へ回ると、窓越しに運転席を覗き込む。
するとそれに気づいた朝陽は慌てたように窓を開けた。
「あっ、おはようございます!」
ぱっと明るくなる表情を見た瞬間、亜佑美の胸はまたしても小さく高鳴った。
朝陽が少し身を乗り出すようにして言うと、
「どうぞ、乗ってください」
「う、うん。お邪魔します」
亜佑美はそう返してドアを開け、どこか緊張した面持ちのまま助手席へ乗り込んだ。
車内は清潔感のある柔らかな香りがして、シートもきちんと整えられている。
ドアを閉めると朝陽が申し訳なさそうに眉を下げる。
「すみません、早く来てしまって……」
「ううん、全然。私も早めに準備終わってたから」
「それならよかったです」
その言葉にホッとしたように表情を緩める朝陽を見て、亜佑美の胸がまた少しだけくすぐったくなる。
「それで、どこに行きましょうか?」
「んー……」
行き先を問われ、亜佑美は少し考えてから朝陽の方へ顔を向ける。
「何か食べたい物とか、行きたいお店ない? 今日はお礼だから、藍島くんの行きたい所でいいよ」
「えっ、俺ですか?」
予想していなかったのか朝陽は目を丸くした。
「はい。えっと、でも……」
そして朝陽は少しだけ困ったように笑う。
「あの、俺こういう時って思いつかなくて……。木葉さんが行きたいお店とか場所があれば、そこに行きませんか?」
「私の?」
「はい。その方が嬉しいです」
その言葉に、亜佑美は内心で小さく安堵した。
正直なところ、食事だけしてすぐ解散になるのは少し寂しいと思っていたから。
「それじゃあ……」
亜佑美はバッグからスマートフォンを取り出すと、
「行ってみたい所があるんだけど、そこでもいいかな?」
「もちろんです」
「ちょっと距離はあるんだけど、県境の方にある喫茶店でね、ここのパンケーキが評判らしいの。食事メニューもあるみたいだから、どうかなって……」
そう言って喫茶店のアカウントにあるメニュー画面を見せると、朝陽はすぐに身を乗り出した。
「わ、めちゃくちゃ美味しそうですね! 俺、パンケーキ好きなんで、評判なら是非食べてみたいです! 早速行きましょう!」
目的地は県境にある人気の喫茶店で、ここからは約一時間半くらいは掛かるかもしれない距離にある。
それにも関わらず迷いのない即答に、亜佑美は思わず笑みを零した。
暫く車を走らせた朝陽が前方を見ながら口を開いた。
「木葉さん、飲み物とか大丈夫ですか?」
「あ、そうだね。距離もあるし、どこかで買おうか」
「それじゃあ途中にカフェあるので、そこに寄りましょうか」
「うん」
それからほどなくして見えてきたチェーン系のカフェへ入り、朝陽はそのままドライブスルーの列へ車を進めていく。
窓越しに注文を終えて受け取り口へ向かう中、亜佑美は財布を取り出しながら言う。
「いくらだった? 私出すよ」
すると朝陽は驚いたように目を瞬かせ、すぐに首を振った。
「えっ、いやいや! このくらい俺が出しますから! っていう出させてください」
「でも――」
「良いんです! ね?」
きっぱり言われた亜佑美は思わず言葉を止めた。
そして、朝陽は店員から商品を受け取り自然な動作で会計を済ませてしまう。
「はい、どうぞ」
「……ありがとう」
カップを受け取りながら亜佑美は少し不思議な気持ちになっていた。
そもそも普段の自分なら、ここまで自分からお金を出そうとはしない。
出してもらうことに抵抗はないし、むしろ男性側に任せる流れになることの方が圧倒的に多かったから。
それなのに、朝陽相手だと何故か違った。
この子にはちゃんと返したいと自然に思ってしまったのだ。
それがどうしてなのか亜佑美自身よく分からなかった。
コメント
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第6話、読ませていただきました!🥀 亜佑美が「ちゃんと返したい」って自然に思うの、すごくいいですね。ドライブスルーでお金出そうとして断られたときの戸惑いと、自分でも理由がよくわからない感じ…めっちゃリアルでキュンとしました。朝陽くんの即答で「行きましょう!」って言うところも、彼の素直な優しさが伝わってきて好きです。 パンケーキデート、次が気になります!続き楽しみにしてます🌙