その記憶は、陰鬱な灰色で塗りつぶされていた。
忘れもしない、それは六月の半ばの水曜日の出来事だった。
「あーあ、今日も午後から雨だって」
分厚い雨雲に閉ざされた空、昼間なのに明かりをつけなければ暗い教室で、誰かがつぶやくのが聞こえた。
「なんか、この前の映画みたいだよね。ほら、世界が終わる、みたいなやつ」
「ああ、えっと、アポカリプスナイトとかいうやつでしょ? 見た見た」
それは、ノストラダムスの大予言をモチーフにした映画だった。空から恐怖の大王なる怪物が降ってきて、地球を天変地異が襲い、生き残った者はロケットを造って、地球外へと脱出するという。
いかにもB級の映画だったが、もうすぐ予言されていた一九九九年の七月ということで、結構、人気らしい。
ちなみに、信二に言わせると、
「くっだらねー!」
の一言みたいだけど。
進夢も別に、予言を信じていたわけでは****************
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