テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#溺愛
私は執務室のソファから起き上がり、大きく伸びをした。 昨日、結局自室に戻る体力が尽きて、ここで寝落ちしてしまったのだ。ふと、自分の肩に鼻を寄せた瞬間、顔をしかめた。
「……? 何かしらこれ。なんか、髪から人混みの油っぽいにおいがするわ」
「えっ、お嬢様? それって加齢臭ってことですかっ!?」
控えていたアンナが、パッとこちらを向いて目を丸くした。
「そうよ、アンナ。ちょっと、あなたも嗅いでみて。ほら、このへん!」
私は自分の髪を掴んで彼女の鼻先に突き出した。アンナはがクンクンッと匂いを嗅いだ。
「……ゼロ! 何にも匂わないですよ! ベルガモットの香油がふわっと香って、至って清潔そのものですね!」
アンナがはっきりと断言した。
「そういえば最近、今まで気にならなかった匂いに敏感になって、気持ち悪くなるのよね。庭園の薔薇の香りでさえダメなときもあるし……。ああ、もう、理由はどうでもいいわ」
私は眉根を寄せて、髪をかき上げた。
「とにかく、今すぐお風呂を用意して」
「了解です! パパッとお湯、用意しちゃいますね!」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!