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#ざまあ
#裏切り
#モテテク
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「直樹が、私を潰してくれと……?」
雨の中、私の前に立つ男——
かつて実家の危機の際
裏で資金を融通していた闇のブローカー、九条は、低く笑った。
「ああ。だがあのバカは何も分かっちゃいない。自分がお前に何をしたのかも、俺が誰の依頼で動いていたのかもな」
九条に促され、私は近くの喫茶店の片隅に座った。
震える手で温かいコーヒーを啜る私に、彼は一通の古い報告書を差し出した。
10年前、父の会社が不自然な連鎖倒産に追い込まれた際の、内部調査資料だ。
「よく見てみろ。お前の父親を騙して、架空の投資話を持ちかけたベンチャー企業の名前を」
資料をめくり、私は息が止まった。
そこに記されていた担当者の名前。
そして、その背後にいた親会社の取締役。
「……高木常務。それに、直樹……?」
「当時、入社数年目だった直樹は、高木の忠実な犬だった。高木に気に入られるために、ターゲットとして自分の婚約者……つまり、お前の実家を選んだんだよ」
「お前の親父さんを嵌めて、会社を倒産寸前まで追い込み、絶望したお前が『助けて』と縋り付いてくるように仕向けた」
頭の中が真っ白になった。
10年前、実家が危機に陥った時、真っ先に駆けつけて支えてくれた直樹。
「僕が君と家族を守るから」と言って
私の負債を肩代わりするふりをして、私を支配する「首輪」を嵌めた直樹。
すべては、彼が私を「永遠の所有物」にするために自作自演した、冷酷なマッチポンプだったのだ。
「あいつは、お前を救ったヒーローを演じながら、裏ではお前の実家を食い物にした金で高木と祝杯を挙げていたのさ。お前がグレーな金に手を出したのも、そう仕向けられた結果だ」
「……っ!!」
私は、喉の奥からせり上がる激しい慟哭を抑えることができなかった。
不倫、モラハラ、1円単位の支配。
それだけじゃない。
私の人生そのものが、出会った瞬間からあの男に、そしてあの会社に食い物にされていたのだ。
「……九条さん。なぜ今、これを私に?」
「直樹が俺に連絡してきたからだ。『過去の件で詩織を脅せ』とな」
「…それで……っ」
「だが、俺は筋の通らない仕事は嫌いでね。……それに、今のあんたなら、あいつらを本当の意味で『完済』させてくれると思ったんだよ」
私は、資料を握りしめた。
指先が白くなり、爪が手のひらに食い込む。
直樹は、私が過去に負った傷を「弱み」だと言った。
でも、その傷をつけたのがあなた自身だったなんて。
(許さない。……死んでも、許さない)
これまでの復讐は、ただの「清算」だった。
でも、ここからは「極刑」の時間よ。
私は、九条から渡された資料をバッグに仕舞い、鏡を見た。
そこには、悲しみに暮れるサレ妻ではなく
宿敵を地獄の底まで追い詰める、冷徹な復讐者の目をした女が映っていた。
直樹、高木。
あなたたちが10年かけて積み上げてきた
「偽りの繁栄」を、私が1円の誤差もなく、すべて灰にしてあげる。
【残り69日】