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おはうよp@6秒で殴る天才子役
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ゆ♨️
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求愛の失敗。
そして、日に日に深まっていく「最高神Roblox」への消滅の恐怖。
二つの出来事は、テラモンの心にひとつの重大な決断をもたらしていた。
「私は……神であることを捨てる」
その言葉を口にした瞬間。
テラモン自身でさえ、胸の奥に妙な寂しさを覚えた。
だが、決意は揺らがなかった。
神であり続ける限り、絶対者の審判から逃れることはできない。
ならば。
全知全能の権能も。
神としての地位も。
世界を好き勝手に書き換える力も。
すべて捨ててしまえばいい。
不完全で。
儚くて。
ちっぽけな、一個の人間になる。
「シェドレツキー」という名の、ただの人間へ。
そうすれば。
最高神の粛清から逃れられるかもしれない。
ビルダーマンやドゥームブリンガーと同じ地平に立って、普通に笑って暮らせるかもしれない。
そして何より。
1x1x1x1も、自分と一緒にいられる。
テラモンはそう考えていた。
だが。
その決断が、1x1x1x1にとって何を意味するのか。
テラモンは、まだ理解していなかった。
神界の奥深く。
普段は誰の目にも触れない異界の祭壇に、テラモンは立っていた。
周囲には巨大な魔法陣。
床には複雑な神代文字。
蒼白い光が渦を巻き、漆黒のローブを激しくはためかせている。
これから行うのは、「肉体変生」。
神力を削ぎ落とし。
神格を封じ。
肉体そのものを書き換える。
神から人間へ。
それは、神であるテラモンにとって、自らの存在そのものを作り変える危険な儀式だった。
当然、苦痛も尋常ではない。
そのため、儀式が完了するまで外部との接触は完全に遮断される。
神力も完全に封印される。
つまり。
一度始めれば、テラモン自身にも外の世界へ干渉することはできない。
儀式の間へ入る直前。
テラモンは振り返った。
そこには、赤いケープを羽織った1x1x1x1がいた。
「……すまない、1x」
「…………」
「少しの間だけ、大人しく待っていてくれ」
1x1x1x1は黙っていた。
ただ、赤い目でテラモンを見つめていた。
「すぐ戻る」
テラモンはそう言って、祭壇へと歩いていった。
そして。
扉が閉じた。
カチャン。
「…………」
1x1x1x1は、その場に取り残された。
しばらく。
何も起こらなかった。
やがて。
「……待っていろ?」
小さな声が漏れる。
「大人しく……待っていろだと……?」
赤い目が、ゆっくりと細くなる。
テラモンは、人間になろうとしている。
神としての権能を捨てようとしている。
自分を生み出した「混沌」そのものを手放そうとしている。
それは。
1x1x1x1にとって――。
自分自身を否定されるのと同じだった。
「…………」
1x1x1x1は自分の胸元を握りしめた。
(俺は……)
(お前の中の悪意と恐怖から生まれたんだぞ……?)
(神のお前が人間になったら……)
(お前の中の『混沌』から生まれた俺は……)
「……一体、どこに行けばいいんだよ」
声が震えた。
もしテラモンが人間になったら。
自分を見てくれなくなるかもしれない。
あの温かい手で頭を撫でてくれなくなるかもしれない。
自分を置いて、人間の世界へ行ってしまうかもしれない。
「…………」
胸の奥が痛い。
寂しい。
怖い。
そして。
猛烈に腹が立つ。
「俺は……」
ギリッ。
小さな拳を握る。
「俺は……お前に捨てられるのか?」
その瞬間。
1x1x1x1の中で、何かが弾けた。
「……ああ」
濃緑色の炎が、身体から漏れ始める。
「……ああああああっ!!」
ボォォォォン!!
爆発的な炎が周囲を包み込んだ。
「バカテラモン!!」
緑のドミノ・クラウンが怪しく明滅する。
半透明の身体の奥で、黒い肋骨が軋む。
「俺を捨てるな……!!」
炎がさらに膨れ上がる。
「俺だけを見ろぉぉぉっ!!」
その叫び声と共に。
空間そのものが震えた。
1x1x1x1は、赤いケープを翻しながら空間へ手を突っ込む。
ズブッ。
「…………」
そして。
グッ。
何かを掴む。
「見ろよ……テラモン」
引き抜かれたのは。
紫と緑の毒気をまとった巨大な大剣。
伝説の七つの剣の一角――。
ヴェノムシャンク。
その刀身から、見るだけで嫌な予感を覚える毒のエネルギーが噴き出している。
1x1x1x1はそれを握りしめた。
赤い目から、涙が一筋だけ落ちる。
「お前が俺を見ないなら……」
大剣を振り上げる。
「お前が愛したこの世界を――」
そして。
「全部、俺の毒で腐らせてやる……!!」
ヴェノムシャンクが大地へ叩きつけられた。
次の瞬間。
ズズズズズ……!!
地面を走る亀裂。
そこから紫と緑の毒が噴き出した。
世界を構成するコードそのものが、毒に侵食されていく。
「…………!」
建物が崩れる。
地面が腐る。
空間の一部が、まるで壊れたデータのようにドロドロと溶けていく。
神々の庭園も。
美しく整えられていた建造物も。
すべてが黒紫色の腐食に飲み込まれていった。
1x1x1x1が笑う。
「見ろ!!」
ヴェノムシャンクを振り回す。
「俺の力だ!!」
さらに毒が広がる。
「俺はこんなに強いんだぞ!!」
空間が裂ける。
「こんなに凶暴なんだぞ!!」
毒に触れたプレイヤーや精霊たちが、次々と倒れていく。
正常なリスポーンすら機能しない。
やがて彼らは。
生気のない赤い目を輝かせる、腐敗したゾンビへと変貌していった。
「ハハハハハ!!」
1x1x1x1は笑いながら、ゾンビの群れを率いた。
建築神ビルダーマンの領域へ。
天界の悪魔ドゥームブリンガーの城へ。
そして、世界そのものへ。
毒を撒き散らしていく。
「どうだ、テラモン!!」
「俺はすごいだろ!!」
「俺を見ろよ!!」
しかし。
どれだけ世界を壊しても。
どれだけ悲鳴が響いても。
胸の奥に開いた穴は、少しも埋まらなかった。
「…………」
1x1x1x1の動きが止まる。
赤い瞳から。
ポロッ。
透明な雫が落ちた。
また一滴。
ポロッ。
半透明の身体の中で、黒い肋骨が小さく震える。
「……なんで」
声が震える。
「なんで……お前は来ないんだよ……?」
返事はない。
当然だった。
テラモンは今、儀式の中にいる。
神力を封じられ。
外界との接触を完全に断っている。
1x1x1x1の声は、届かない。
どれだけ世界を壊しても。
どれだけ叫んでも。
テラモンは来ない。
「…………」
本当は。
1x1x1x1が望んでいたのは、世界の破壊なんかではなかった。
「こら、1x!!」
そう怒鳴りながら飛んできてほしかった。
「なんということをするんだ!」
そう叱ってほしかった。
そして。
いつもの黒いローブ姿で、自分を捕まえてほしかった。
あの温かい手で抱きしめて。
「お前が一番大事だ」
そう言ってほしかった。
ただ、それだけだった。
「……なのに」
1x1x1x1はヴェノムシャンクを握りしめる。
「……来ない」
赤い目から、また涙が落ちる。
「見ろよ……テラモン……」
声がかすれる。
「見ろよ……っ」
それでも。
彼は剣を振る。
ズガァァァン!!
毒が大地を侵食する。
「俺は……お前が大嫌いだ……!!」
ズドン!!
「こんな世界も!!」
ズドン!!
「お前も!!」
そして。
「全部、大嫌いだぁぁぁっ!!」
世界が崩れていく。
黒と緑の炎が空を覆う。
その中心で。
小さな異形は、泣きながら剣を振り続けた。
自分が世界を滅ぼせば。
きっとテラモンは、自分と向き合わざるを得なくなる。
どれほど歪んだ考えなのか。
どれほど危険な行動なのか。
1x1x1x1自身にも、もう分からなかった。
ただ。
「捨てられたくない」
その一心だった。
そして。
その時。
ドクン。
世界の奥底で、何かが脈打った。
「……?」
1x1x1x1が顔を上げる。
ドクン。
ドクン。
世界そのものが震えている。
暴走する1x1x1x1から放たれる、圧倒的な毒。
そして。
抑えきれない憎悪。
それらが次元の壁そのものを揺さぶり始めていた。
空に亀裂が走る。
バキッ。
「…………なんだ?」
さらに。
バキバキバキッ!!
空間が割れる。
その向こう側に。
何もないはずの場所に。
ぽっかりと。
漆黒の穴が開いた。
1x1x1x1は、涙に濡れた赤い目でそれを見つめる。
「……あれは?」
穴の向こうから。
この世界には存在しないはずの、異質な気配が漂ってくる。
冷たい。
暗い。
そして――。
どこか、この世界よりも遥かに深い絶望を孕んでいた。
本来なら。
決して交わることのない世界。
決して繋がることのない次元。
それが今。
1x1x1x1の歪んだ感情と、ヴェノムシャンクの毒によって。
無理やりこじ開けられようとしていた。
「…………」
1x1x1x1は、ゆっくりとヴェノムシャンクを構える。
漆黒の裂け目の向こうから。
何かが、こちらを覗いている。