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カツカツと重い革靴の音を鳴らしながら、愛華は会議室を移動する。


そして、ある人物の斜め右後ろで立ち止まった。


「霊媒師様、起きてください。」


眉間にシワを寄せ、眠りに就いているその人物に声を掛ける。


すると、【霊媒師】はごく自然に、半強制的に目を覚ました。


「鈴華様、中国様のどちらの結果を知りたいですか?。」


暗闇の中、無表情に愛華が問いかければ、【霊媒師】もまた、無表情に端的に、[中国]と答えた。


(鈴華が猫又なのは、道連れが出来た時点で確定している。なら、道連れの中国が人狼である事を望む)


そんな事を【霊媒師】は貼り付けだ笑顔のまま、思考した。


「中国様ですね…?。彼は__」


そこまで話して、愛華は【霊媒師】の耳ともで、残酷なのか、救いなのか。そんな言葉を口にした。


[そっ、か、]


結果を聞くと、ぎこちない表情で、そう言葉を漏らし、【霊媒師】はGMの次の指示を待つ。


「では、おやすみなさいませ。ご武運を。」


そんな愛華の言葉と、少しづつ離れてゆく足音によって、【霊媒師】は、今度は深い深い眠りの中に落ちた。


また、人工的な白色の電気がつく。


キンコンカンコン


そんなチャイムの音と共に、生存者は目を覚ました。


今回は初日と同じとはならない。もう、全員が誰かの死を覚悟しているからだ。


「……は…?…イギリス!目を覚ませよ!」


左隣で机に突っ伏したままのイギリスの肩を叩き、フランスは叫ぶ。


「ねぇ、冗談辞めてよ……」


叫び続けるフランスの表情はだんだんと引きつっていく。


「本当に、冗談じゃない!juはこれから誰と口喧嘩すればいいのさ!」


フランスがいくら嘆こうがイギリスからの返事は無い。さらには、イギリスはピクとも動かない。


ピチャ


「は…?」


気が付けば、フランスの靴はイギリスのものであろう、赤黒い池の色に染まっていた。


「Mensonges, mensonges, mensonges ! Ce n’est pas une blague !」


酷く取り乱すフランスに、目の前に座っていたドイツは悲哀と、悲痛を込めた声で話しかける。


「落ち着け、フランス。ここで取り乱すと、人狼の思う壺だ」


ドイツの右隣に座る日本は、青白い表情で、口元を押さえ、微かに震えている。


「「My father was murdered…?」」


カナダとアメリカは目を見開き、そんな言葉を口から漏らした。


イギリスの噛み千切られたであろう、足の付け根辺りには、鮮やかなローズと、折れた純白のバラ、漆黒に染まっているバラがあった。


折れた白バラは、清純を失い、死を望む。


黒バラは、憎しみ。


どれも恐ろしい程の花言葉だ。


そんな事を独華は一人思い出しながらも、嘆かなかった。否。独華はもう、嘆く気力さえ失ったのだ。


独華の、イギリス周囲の者達の心には、『何もできなかった』そんな後悔と、自責の念が募った。


「静粛に。ご確認頂いた通り、今回の犠牲者は英吉利様でした。では、英吉利様にはご退場頂きます。」


またしても無情に、愛華は指を鳴らし、イギリスを跡形も無く、消し去った。


「パンが届きました。」


愛華は、変わらず機械的に、台本を読むようにして、そのセリフを口にする。


皮肉な程に、変わらず香ばしい香りのするパンの入ったバケットを愛華は、長机の中央に置いた。


(パンが届いた。という事は、矢張りフランスがパン屋なのは真実なのか……?)


一人、絶望を抱えながらもそんな事を思考している者も居れば、今後について一人悩み抱える者も居た。


キンコンカンコン


無情に、されど正確に、チャイムが鳴り、昼の時間を告げる。


「皆様、昼の議論の時間となりました。制限時間は、次のチャイムが鳴るまでです。では、ごゆるりと。」


初日と一言一句変わらぬ言葉を述べて、愛華は恭しく辞儀をする。


イギリスの死という状況を目にしながらも、炎端は相も変わらぬ笑顔を貼り付けていた。


穏やかで軽やかだと言うのに、どこか重苦しい声色で炎端は話し始めた。


「僕、霊媒師なんだ」


俯き、何も言葉を発せれなかった皆が皆、炎端の方へ勢い良く視線を向ける。


「本当は、言うつもりはなかったんだけどね。でも、僕は言いたい。鈴華はよくやったよ」


口元は満面の笑みのそれと何ら変わりないと言うのに、彼の焦げ茶の瞳は、至って真剣で、絶望の中に小さな光を見つけたようだった。


「それで?結果はどうだったの?」


カナダはかなり食い気味で、希望の光を見つめる。


勿論、周囲の者も、微かな光に縋る様だった。


そんな皆の視線を、炎端は変わらぬ口元だけの貼り付けた笑顔で受け止める。


「結果として言うなら、中国は黒だったよ。」


そんな炎端の声を聞いて、皆、喜んだ。


人狼は全員で3人。狂人を含めた人狼陣営は4人。その中の中国が死んだとなれば、残りの人狼陣営は3人だ。


市民陣営の勝利に近付いたと言っても過言では無い。


ただ、独華は違った。彼女にとっては、結果として誰守れて居ないのだ。故に、意味が無い。


「でもね、多分僕は今日、人狼に襲撃される」


貼り付けた笑顔を剥がさずに、さらに心の奥までにも貼り付けるようにして、淡々と言葉を紡ぐ。


「だからさ、狩人さん。生きてたら僕を守ってね」


炎端は、右手で口元を隠し、満面の笑みを隠すようにする。


それを見て、【狩人】は、何かを察したようだった。


「You’re right!ここで炎端が襲撃されたら大変だ」


アメリカは少しづついつもの調子を取り戻したかのようだった。


そんなアメリカに続いて、湾華も話し出す。


「うんうん。案外貴重な戦力みたいだしね。本当に

炎端は白だし〜」


なんともないように、湾華はそう語った。「ねぇ〜」と自身の姉である中華に向かって笑いかけながら。


「え?お前、なんでそんな事知ってんだよ」


そんな先ほどまで、相変わらず表情筋が凍って、さらには心までもが凍ったかと思われる程に静かだったロシアが声を漏らした。


「あれ?言ってなかったっけ?僕、占い師なんだよ」


湾華のその口振りは、本当に自分でも言っていたと思っていたかのようだった。


そんな湾華の言葉に皆耳を疑う。


「そんなに信じられない?なら、僕を潰しなよ。そして、炎端。僕が死んだら霊媒してよ。絶対に白だから」


湾華の冷静な変わらない表情。そんな顔に、炎端はなぜか恐怖心さえ覚えてしまった。


「Das ist eine Lüge!占い師は俺だ!」


ガタッと椅子を動かして、ドイツは立ち上がる。


「ちょっ、ドイツさん!?落ち着いて下さい。そんなふうに対抗して出たら、逆に人狼の思う壺です!」


先ほどまで人の死を受け入れきれていなかった日本が、我を取り戻し、必死にドイツを制止する。


「…………德国、お前、狂人アルカ?」


なに一言口にしなかった中華が、冷ややかな視線をドイツに送った。


「だって、前までは論理的でしっかりしていたお前が、急に感情的になるなんて、狂人のそれにしか思えねぇアルヨ」


引きつって、強張った表情で中華は言葉を紡いだ。


「そんなの…。俺が狂人だとするなら、対抗COする必要も、感情的になる必要も無いだろ!」


湾華は変わらず、冷静なのに、姉への執着心を捨てずに、滑稽だ。とでも言いたげな表情だ。


「狂人でも、混乱させる為に感情的になったり、対抗COするんじゃないか?」


ドイツの必死の苦しい弁明をロシアはあっさりと切り捨てた。


「そ、んな……」


ドイツはそれ以上に何も言えず、ただ、絶望の表情を浮かべるだけだった。


キンコンカンコン


無情にも、ドイツに追加の弁明を述べさせる時間も無く、チャイムの音が響き渡った。


「皆様、夕方の投票のお時間です。役職を確認した端末にて、ご投票ください。」


「制限時間は60秒です。投票数の最も多い人物が、処刑されます。なお、無投票の場合、生存者の中からランダムに一人が処刑されます。」


前と矢張り一言も変わらない愛華の台詞。


本当に、このゲーム(デスゲーム)のNPCになってしまったようだった。


タブレットの画面に映る全員の顔写真。


そこに映る王華、鈴華、中国、イギリスの顔写真には大きく赤色で、バツ印がつけられている。


ドイツは絶望を浮かべた瞳でタブレットを見つめ、震える手でそれの画面に触れた。


「50……55……。」


愛華によるカウントダウンが始まった。


「Ah, there’s no time left!」


そんな事をぼやきながら、アメリカは頭を抱える。


「…………40……………30……。」


だが、愛華の冷徹なカウントダウンは止まらない。


フランスは下唇を噛み、迷いに迷った末に画面に触れた。


「10……9……3、。……全員分の票が集まりました。」


残り数秒と言う所で、愛華のカウントダウンは止まり、票が集まった事を伝えられる。


「本日吊るす事になったのは___。」​​​






ーー続クーー

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