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☆☆彡.。


「ちょっと学パパ、私の相談もなしに、美咲をウチのお母さんにいきなり預けるって、一体どういうことなのか、わかるように説明してもらえる?」


午後10時半に学が仕事から帰ると、妻の美羽が腰に手を当てながら玄関にて尋問した。明らかに怒っている様子は、間違いなくお腹のコに悪いであろうと学は瞬間的に察し、なんとか早くこの場を収拾しなければと考える。


「えっと美穂おばさんから、連絡があったんだ?」


「ものすごく喜んで、連絡くれたわ。かわいい美咲を1日一人占めできるって、大喜び状態よ。女の子しか育てたことのないお母さんが、よく食べよく動きよく喋る、三歳の男のコの美咲のパワフルさにやられて、あとから間違いなく後悔すると思うのよね」


「ウチのお袋は仕事で、どうしても無理だったんだよな」


持っていたカバンを意味なく胸に抱きしめ、おどおどする学に、美羽の小言が続く。


「どうしてお母さんに、美咲の面倒を見てなんて頼んだの?」


「美咲の子育てや俺の世話でここのところ忙しくて、あの日にゆっくりさせてあげられなかったなと思ったんだ。スケジュール表を見て、あとからあの日だったことに気づいて、毎年後悔してた。今年は運よく、あの日に気づくことができたんだ」


「あの日?」


学の口から連呼される言葉で、不思議そうに目を瞬かせた美羽は、『あの日』というワードをあえて口ずさみ、学が母親に美咲を預ける日にちについて、思考を巡らせた瞬間、やっと気づいた。


「あ……もしかして、一人目が亡くなった日」


「前の旦那さんとのコだけど、美羽にとっては大事な子どものことなんだし、その日くらい亡くなったコを思い出してあげて、ゆっくりできればいいなと思ったんだ。特に今は身重なんだから、大事にしなきゃいけない」


「学くん……」


慣れない子育てにすっかり翻弄されて、自分のことよりも子どもを優先しながら学の世話をし、毎日があっという間に過ぎ去っている美羽は、その日をすっかり忘れていた。


「俺がもっと家のことを手伝えたらいいのに、その日は会議があって、どうしても仕事が休めそうになくてさ。それで美穂おばさんに頼んだってわけ」


気まずそうに後頭部を掻きながら事実を告げる学に、美羽は淡々と語る。


「疲れた顔してお母さんの前に突然現れた学くんが、『美穂お母さんに頼みがあるんです』って、天使の翼をはためかせながら涙目で頼みごとをされたのが、実の親子みたいで嬉しかったみたい。お母さんが感激しちゃって、おかしくなっていたわよ。学くんにはじめて『お母さん』って呼ばれたのよって、そりゃあテンションが高かったんだから」


美羽は学が胸に抱きしめているカバンを引きはがし、さっさとリビングにひとりで戻ってしまう。あとを追うように学も急いで中に入った。

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