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未来を描く月影

第20話 - 第19話　未来への選択

2025年04月11日

#れんあい

那賀酸（ながさん）

第１９話「未来への選択」

美月の妊娠がわかってから数か月、蒼と美月は子どもの誕生に向けて日々を過ごしていた。これまでの生活とは異なるリズムの中で、お互いの絆はさらに深まっていった。一方で、これからの未来に向けての選択を迫られる時が訪れていた。

ある日、美月は病院での検診を終えた後、福祉センターのオフィスに戻った。彼女は以前よりも身体を労わりながら働いていたが、次第に負担が増していることを感じていた。職場の上司からも「無理をしないで」と声をかけられ、美月は自分の働き方を見直す必要があるのではないかと考え始めていた。

一方、蒼も職場でのプロジェクトが佳境に入り、多忙を極めていた。子どもの誕生を控えた中で、彼は経済的な安定を第一に考え、より大きな責任を負う立場に挑戦しようとしていた。しかし、その一方で美月と子どもに寄り添う時間を確保することができるかどうか、自問する日々が続いていた。

ある夜、二人はリビングで静かに向かい合い、未来について話し合うことにした。「最近、蒼も忙しそうだし、私も仕事のことで悩んでるの。」美月がそう切り出すと、蒼は少し驚いた表情を見せたが、彼女の言葉に耳を傾けた。「実は俺も…仕事のことで迷ってるんだ。責任が増えれば収入も安定するけど、その分、家族と過ごす時間が減るかもしれない。」

二人は互いの状況や思いを率直に伝え合いながら、未来について深く考えた。家族としてどう歩んでいくのが最善か。それは簡単に答えが出せるものではなかったが、二人で話し合うことで少しずつ道筋が見えてきた。

「私は、しばらく仕事をセーブして、子どもが落ち着くまで家族を優先したいと思うの。」美月がそう告げると、蒼は少し考え込んだ後、穏やかに頷いた。「それが君にとって無理のない選択なら、俺も全力で支えるよ。俺も、プロジェクトが終わったら少し余裕のある働き方に切り替えて、家族の時間を大切にしたい。」

お互いの意見が交わる中で、二人は「家庭と仕事のバランスをどう保つか」という大きなテーマに向き合いながらも、家族として一緒に歩む道を選び取っていった。

その夜、二人は未来ノートを開き、新たな決意を書き加えた。「家族を最優先にした選択を尊重し合う。」「子どもの成長と共に、共に成長し続ける。」

未来ノートのページには、二人の思いが力強く記されていた。それは、これから迎える新しい命と共に進む未来への大きな一歩だった。