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「ねぇ、コマ兄」境内で遊んでいた美子が言った。
「木にできものがあるよ」
木にできもの…なんだろうと思って見に行く。
「あぁ…これは…」
成虫になると美子が嫌がりそうなヤツだ。
「これはできものですね」
「木は枯れない?大丈夫?」
一瞬どうしようかと考えたが、美子が見ていない間に引っぺがして宇宙の果てに投げ捨てようと決めた。
「大丈夫だよ、後でどうにかしておくよ」
そこへ女神様が来た。
「あら、みのむしね、珍しい」
「みのむしって何?」
「これのことよ。
中には虫が入ってるの」
「へぇ、そうなんだ」
美子はみのむしをじっと見つめた。
「コマも知らないわけじゃないでしょ」
ぼくは苦笑いして答える。
「いえね、成虫は美子が嫌がりそうだったので」
「まぁ、そうよね」
美子はこっちを向いて聞いた。
「ね、珍しいの?」
「えぇ、絶滅危惧種なのよ」
ぼくは驚く。
「え!?40年前はあれだけいたのに!?」
女神様は少し寂しそうに言った。
「環境が大きく変わったからね」
しばらくみんな黙った。
美子は何か考えているようだった。
あぁ、虫かごね、ぼくは取りに行こうと思った。
「このままにしとこうか」
美子が言った。
「全滅危惧種なら、仲間を探しに行かないといけないし」
女神様は静かに言う。
「優しいのね」
でも、と女神様は続けた。
「全滅じゃなくて絶滅、ね」
美子ははぁい、と返事をして、もう一度みのむしを見た。
明日からもときどき様子を見よう、ぼくは思った。