「…んぅ…」
「あ、涼太くん起きた。」
「ラウ兄さん…」
「うん、おはよう。…よく寝れた?」
「…うん。」
「良かった。」
「…学校…」
「…暫くはお休みだよ。学校にももう連絡した。」
「…っ…」
「朝ごはん食べようか。おいで。」
そう言うラウ兄さんに引っ張られリビングに行くと、既に康二兄さんと蓮兄さんにが座っていた。
「あ、涼太くんきた。」
「おはよぉー、食べよか。」
そう言われ、いつものように蓮兄さんの隣に座ると机には小さなお椀に入った雑炊が置かれていた。
「食べれる分だけでええからな。」
「…うん。…いただきます。」
そう言ってから雑炊を1口食べる。案の定、味はしなかった。お椀の半分を食べてあたりで吐き気がして、スプーンを置いた。
「…ごめんなさい。もう無理…」
「大丈夫。よく食べたね。」
「…ごめんなさい。」
「謝らんで。食べてくれただけで嬉しいから。」
「…部屋、戻るね…」
「うん。あ、俺ら仕事行くから。今日は昼頃に戻るよ。」
「…うん。頑張ってね。」
「ありがとう。」
そう言うラウ兄さんの声を聞いて、自室に戻った。
ピーンポーンという音がした。いつの間にか寝ていたようで、もう昼過ぎになっていた。寝巻きのまま、玄関を開ける。
「よ。涼太。」
「…翔太…」
「舘さん来たよ。」
「いきなりごめんね。」
「ふっか…阿部…」
「学校はねー今日はみんなでサボったんだよねー!」
「あ、ちゃんと先生には許可貰ってるから。」
「佐久間…照…」
「とりあえず中入れてもらっていい?俺らお前と話したいことあるから。」
「…」
「…まぁお前に選択肢ないんだけど。」
「…ぇ?」
「お邪魔します。」
そう言ってみんな家に上がりこんだ。そしてみんなリビングに入り座った。
「…さて、涼太。俺らがみんなして学校サボってまでお前の家来た理由ってなんだと思う?」
「…」
「お前が最近ずっと俺らのこと避けてたからだよ。」
「…っ…」
「んで、その理由を問いただそう…としたんだけど。」
「…?」
「…昨日、向井さんたちから聞いた。」
「…え?」
「昨日電話がきて。…お前がいじめをうけてたって聞いた。なんか知ってることない?って。」
「…!」
「…また痩せたことやリストカットをしてたことも。」
「…」
「…なぁ、何で頼ってくんなかったの?」
「…」
「俺ら、涼太を助けるためなら、いじめにまきこまれることなんて、どうでもよかったのに…っ…」
「…しょ、た…?」
翔太は泣いていた。佐久間と阿部も泣いてるし、照とふっかは悲しそうな顔をしている。
「…頼れよ、俺らを…友達、じゃねーの…っ?」
翔太が泣いてるのに、みんなも悲しそうなのに。いつもみたいに泣けなかった。ただただ罪悪感だけが、心を蝕んでいく。
「…ごめん。泣かせるほど悲しませたなんて思わなかった。」
「…っ…」
「…これからはできるだけ頼るようにする。…だから、今日は帰って。」
そう言うと、そう言われるとは思わなかったのか、みんなが目をまるくした。
「…ごめん、みんなが悪いわけじゃない。だけど…今は疲れた、から。…本当にごめん。」
「…だよね。俺らもごめんね。また会いたくなったら言って。いつでも来るから。」
帰ろう、そう言って出ていった佐久間を筆頭にみんな家から出ていった。ドアが閉まる音を聞いた瞬間、俺は地面に崩れ落ちた。あれ程でなかった涙がボロボロと溢れる。どのくらい経ったのか分からないが、玄関からドアを開ける音がした。
「ただいまー、ごめんなー、仕事が長引いてしもて…涼太くん!?」
「わ、涼太くんどうしたの?」
「うわ…顔真っ青じゃん…大丈夫?」
床に座り込み泣きっぱなしの俺に3人が慌てたようにかけよってきた。
「…っ、ぅ…~っ…」
「…よしよし、辛かったな。」
何も話していないのに、蓮兄さんは抱きしめてくれた。そして背中をぽんぽんと優しくたたく。その優しさが嬉しいけど辛くて。更に涙が零れた。
「…落ち着いた?」
「…うん。」
あれから何分経ったのかは分からないけど、ようやく涙も止まってきた。泣きすぎた疲労感に抗うことなく、抱きしめてくれてた蓮兄さんにもたれかかる。
「おっと…疲れた?」
「…うん。」
「寝ていいよ。」
そう言われ、また背中をぽんぽんと優しくたたかれる。瞼が重くなっていき、そのまま眠りについた。
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翔太たちにいじめが発覚したらいじめっ子はボコボコにされちゃうんじゃないかな? 続き楽しみにしてます!