コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
高校最後の春。
桜が咲くたびに思い出すのは、彼の笑った横顔だった。
あの時、私は知っていた。
この気持ちは、きっとどこにも行けない。
それでも——好きだった。
儚くて、でも確かにここにあった恋。
それは、春風とともに私の中でずっと、やさしく吹いている。
「なあ、荷物運ぶの手伝ってくんねぇか?監督に頼まれたんだよ」
そうやって手を差し出すのは
梟谷高校3年、木葉秋紀先輩。
風が少しだけ冷たい、春の風。
彼の手は少しだけ暖かかった。
「いいですよ。じゃあこれ、持っていきますね」
「サンキュ、でも、無理すんなよ?」
そういいながら、軽い方の荷物を私に渡してくれた。
不器用な優しさ。
それが先輩のいい所。
そして、私が大好きなところ。
「わかってますって笑」
でも、この春が終われば私が先輩を先輩と呼ぶことも出来なくなる。
この恋も、もうすぐ終わる。
そして、卒業式__
体育館裏に呼び出された私は期待と不安で胸がいっぱいだった。
「えっと、卒業したらどこ行くんですか、、?」
「もっと都心の方、行くわ。お前は?」
「多分、ここら辺残ります。」
「そっか、じゃあ多分、会えねえな、、」
わかってた。わかってたけど、やっぱり悲しい。
「それで、先輩、どうしたんですか?呼び出して」
悲しい気持ちを紛らわせるように、先輩に尋ねた。
私は期待していた。私の期待する返事が返ってくることを。
「これ、、」
そう言って彼の暖かい手から何かが出てくる。
「お守り、、?」
「おう。来年は学校来れないから、受験頑張れよって」
やっぱり。
叶うはずもなかった恋が、今、終わった。
「持っててくれると、嬉しい。」
そう言われた時。涙が溢れそうになった。
その言葉があまりにも真っ直ぐで、何も言えなかった。
__今までありがとうございました。
___大好きです。
言いたかった言葉が出てこない。
喉の奥でつっかえて出てこなくなってしまう。
「ありがとう、ございます」
やっと話せた。それしか話せなかった。
「おう。」
まだ冷たさが残る春の風が、二人の間を吹き抜けた。
数年後__春
出会いと別れの季節。
そして、就活の季節。
(今日も絶対ダメだったー)
このままでいいのかな、、
そんなことを考えていると、春の風が桜吹雪を舞わせた。
それはまるで、あの日の景色のようで、、
駅のホームにまできたそれを眺めていると、懐かしい顔が目に映った。
「せん、ぱい?」
私がずっと大好きだった人。
いや、今も大好きで憧れの先輩。
「__!」
そう、名前を呼ぶ先輩の顔は前とちっとも変わってなくて
神様。
まだ、チャンスはありますか?
もう一度、やり直せますか?
「お久しぶりですっ!!」
暖かい風が2人をつないだ。
以上です!!
いかがでしたかー?
じゃあ、バイバーイ!
恋愛部門__