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あの日から数日経った時、あの悲劇の始まりが道場帰りの夕焼けの道で起きた
「疲れたぁ…..もう、どんだけ技覚えりゃ
気が済むんだよ」
不時無は不満を抱いていた、いくらなんでも
覚える技が多すぎるのだ
なぜここまで…
そう思っていた時だ
バッ!
「んぐっ!?」
いきなり後ろから、白い布を口に押し付け
られたのだ
(まずい…!)
その行為がどういうことか、不時無は
一瞬で理解した
バキュッ!!
「ぐはっ!!」
その時、男の声が聞こえた
不時無は肘で後ろの人間の鳩尾を
打った
「っ!」
男が鳩尾を両手で抑えて、吐く体制
になっている
反撃し、逃げるなら今が絶好のチャンスだ
パンッ!!
バタッ…
男は横へ倒れた
「はっ…はっ…」
気づいたら外は暗くなっていた
「ひっ…」
そこで、不時無はとある恐ろしい
可能性について危惧した
「…死んでる?」
そう、男が死亡している可能性。
もし死亡している場合、不時無が男を
蹴り殺したことになる
「ぁ…」
不時無はいきなりふらついた
(あぁ…なんだ?なんか、クラクラする
やば、寝ちゃう…)
バタッ!
不時無は大の字になって倒れた
おい….っち…..か!!
何か声が聞こえる
おい…!…きろ!…ど…
「っ!」
「おい!起きろ!どうしたんだよ!」
そこには友達の詩ノ辺彰人だった
「彰人…」
彰人は、あの日一緒に訓練した仲間だ
「お前…本当にどうしたんだよ!?」
なんでこんなに怒鳴っているのか
起きたばかりの不時無は分からなかった
確かに道端で寝ていることは異常だが
そこまで怒鳴り散らかす必要性は…
「っ!もしかして——」
危惧すべき、最悪の可能性
「…」
そこら辺には死臭がぼんやりと漂っていた
「…え?…嘘だろ…でも…俺..悪くな…」
「人殺した時点で、終わりなんだよ!!」
そういえば暗くてよく見えなかったが、
あの時蹴った場所は頭の側頭部だった
ような気がする
当たりどころが悪かった…?
「あらぁー?」
「っ」
後ろから大きめの帽子を被る男が
歩いてきた
「これはこれは、殺人現場かな?」
「これは…違う!!」
第一に否定したのは詩ノ辺だった
「どこが違うのかね」
重く低い声、俺たちは完全に怖気付いた
「まぁいい、着いてきなさい、あ、あと」
「信用できるかよ!何する気だ!?」
詩ノ辺は構えの体制に入る
「やめなさい、無駄だ」
落ち着いた声、まさに百戦錬磨を感じさせる
その雰囲気は、再び俺たちを締め付けた
「これは違うんです!こいつが俺を
誘拐しようとして…!」
「その証拠はどこに?」
「それは…このハンカチです!」
「いや、無駄だね」
「何故!?襲われそうになったん」
「だからといって、殺人が正当化されると
思うのかい、もし少年法で無罪となっても、、世間から一生痛い目を向けられることになる」
そこで、不時無は頭をフル回転させた
この男は何者だ?
この場所を分かっていた?
この死んだ男と謎の男の関係性は?
深い帽子 見えずらい顔 そして
この男は何を望む?
なぜ今来た?
「…!!」
俺は何者かに足を引っ張られる感覚
をいきなり感じた
「うっ!」
俺は予想もしない事態に転んでしまう
「っ!?あっちゃん!?」
「ふん!」
引っ張ったのは、死んだはずの男
「なんでっ!」
すると、俺の足を力強く握る男は言った
「あんなショボイ技なら、意識さえ
奪えねぇよ、殺人なら尚更だ」
「あの死臭は…」
「臭い漏れ防止の袋に3匹のネズミの死体を
入れ、貴方の起きる数分前に袋を解放し、
あたかもしんだかのような演出をした」
帽子を被る男が答えた
「てめぇ…名前聞いてやる」
詩ノ辺が高圧的に聞く
「まぁ、名前くらいはいいでしょう、私の名はルート、といいますが、あなたは?」
「とっくに知ってんだろ」
「あら…そこまで見透かしますか」
「ですが、所詮は小学生程度の脳ミソ、
襲われた時点でこのトリックに気づかな
ければ、もう手遅れ」
「それでは棟央、そいつは殺してもいい
です、ただ詩ノ辺少年は持ち帰る」
死を偽装した男の名が明かされた
そこで
「よォ棟央、今度こそまじで殺す」
俺は、死に対面すると性格が変わる
「術豪!?」
詩ノ辺が驚く
だが、そんなことお構い無しに俺の
攻撃は開始する
俺が足を思い切り上げると、
かかとが黒い炎に包まれる、なんとも
中2くさい技だが、術豪の千型目
侮れない
「今度こそ死ねっ!!」
俺は思いっきりかかとを棟央の頭部に
振り下ろす
いわば、かかと落としだ
ドシャッッッ!!!
コンクリートと棟央の頭が同時に
割れた
バガガガガッ!!
特にコンクリートは大きく割れ、
足場という足場が無くなった
棟央も、大量のコンクリートに埋もれ
身動きができない。
コンクリートから出たとしても、とても
戦えるような状態では無いだろう
「あっちゃん…お前…」