テラーノベル
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昼休み。
教室の窓際。
俺は頬杖をつきながら、ぼんやりと廊下を眺めていた。
らっだぁは今日も普通に笑っている。
昨日も。
一昨日も。
屋上の日から何も変わらない。
……いや。
変わっていないように見えるだけかもしれない。
「ぐちつぼー」
声を掛けられて振り向く。
らっだぁだった。
「今日も屋上?」
「そう」
「お前ら、さては屋上の良さに味を占めたな?」
「そりゃそうだろ。あそこホントに人来ないんだな」
「だからずっと俺とゾムだけの秘密にしてたのに〜⋯」
そう言って笑う。
その笑顔も、いつも通りだった。
***
屋上へ向かう途中。
廊下の角で、一人の男子生徒がらっだぁを呼び止めた。
「悪い、この段ボール重くってさ、持ち上げてくんね?」
「いいよー」
返事まで一秒もかかっていない。
考える素振りすらもなかった。
そのまま段ボールを持ち上げるらっだぁ。
「ありがとな!」
嬉しそうに去っていく男子生徒。
らっだぁも笑って手を振っていた。
「じゃ、行こっか」
何事もなかったように歩き出す。
「……⋯」
俺は何も言わず、その背中を見る。
断らない、じゃない。
断る、という選択肢が最初から存在していない。
今までもそうだった。
今日もそう。
頼まれたらやる。
それだけ。
そこに迷いはない。
それは、もう俺がどうにかできるものではないような気がするほどの。
強い、自己暗示のようだった。
***
屋上。
四人で昼食を広げる。
ここのところ、ずっとこうだ。
らっだぁとゾム先輩はもともといたらしいが、俺の他に生徒会長までここに来るようになるとは。
腐れ縁というのも、案外流石と言える。
「今日購買混んでたわ〜」
「毎日やろ」
「今日は特に」
いつも通りの会話。
いつも通りの笑い声。
その時。
「あ、ごめん」
らっだぁの箸が転がった。
フェンスの近くまで転がる。
俺が立ち上がるより早く、
らっだぁ自身が取りに行った。
かーりん
209
#らっだぁ運営
あいびすぺいんと
410
786
「……⋯」
自然すぎる。
誰よりも先に動く。
誰かに拾ってもらおうなんて、一瞬も考えていない。
それが当たり前みたいに。
「よいしょっと」
箸を拾って戻ってくる。
笑っている。
何事もなかったように。
「ありがと」
「いや俺何もしてないから」
「あれ、そうだっけ?」
「記憶喪失??」
そう。
何もしていない。
何もできなかった。
今も、これまでも。
***
帰り道。
一人で歩く。
今日見た光景を思い返す。
段ボール。
箸。
屋上。
全部繋がっている。
あの日、俺は考えた。
どうして、あの人は自分を被害者だと思わないのか。
答えはもう出ている。
でも。
今日、また一つ分かったことがある。
らっだぁは、
誰かを優先しているわけじゃない。
自分を後回しにしている自覚すらない。
それが普通だから。
だから、
止められると戸惑う。
優しくされると困る。
全部、今までの”普通”と違うから。
「……難しいな」
ぽつりと呟く。
理解はできる。
けれど、
理解した先で、
どうすればその”普通”を書き換えられるのか。
その答えだけは、
まだ見つからなかった。
NEXT=♡2000
コメント
4件
合計♡20万おめでとうございます 🎉 (端末によってはまだ20万行ってないかもしれないです) これからも応援してます…(⸝⸝´꒳`⸝⸝)
新しい投稿、ありがとうございます!明日から学校という現実から目を背けたいです(´・ω・`)