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amnv
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17日目
―――
mz視点
今日はあっとと出かける日だった。
正直、こんな朝に出かけるなんてめんどくさいと思っていた。
「 うわ〜、人多っ…… 」
「 だな… 」
朝のホームは人が多い。本当に近くにいないと、はぐれてしまうくらい。
手を繋いで俺から離れんな、とかかっこつけたいけど、そこまでの勇気は無い。
「 まぜ? 」
ゆっくり歩いていたらあっとと少し距離ができていた。
「 あ、ごめん 」
すこし走って追いつく。
あーまじ人多…
なるべくあっとに歩くペースを合わせ、電車まで向かう。人通りが少ない場所なんてない。
これ、入れるのか…?
「 まぜ、絶対離れるなよ? 」
「 おーおーわかってるって 」
高さは合わない肩を並べて電車に乗り込む。予想通り、人の海だ。
結構居心地が悪かった。女子高生とぶつかったらキモがられそうだし、おじさんとぶつかっても気持ち悪いし。なにより、あっととはぐれてしまう。
「 ……わっ 」
横目で見た。
あっとが人に押されてはぐれてしまいそうなところを。
絶対離れるなよ、とか言ったのはあっとなのに。
ぐいっとあっとの腕を掴んで、こっちに戻す。
―――あんまり、やりたくは無かったけど。
他のやつに触れられるのが、なんか嫌だった。
「 ……ごめんあっと 」
どんっ、とあっとを壁に押し付ける。
「 ……っ 」
「 ……ま、まぜ、? 」
すごく恥ずかしい。顔だけではなく体も熱くなるのを感じた。公共の場で、彼氏にこんなことをするなんて。
でも、これはあっとと俺のため……別のことを考えようと下を向いて目を瞑るが、閉じているまぶたの先には何が起こっているのか、あっとはどんな顔なのか。周りの反応はどうなのかが気になって仕方がなかった。まぶたを開く勇気ももちろんなかったけど。
沈黙が続いた。あっとも俺も喋らない。 聞こえるのは、ガタンガタンと揺れる電車の音。
そして、あっとの呼吸がすぐ近くで聞こえた。
早く、降りたい。
そんなことを考えていた時、俺たちが降りる駅の名前が耳に入ってきた。
うれしさのあまり目を開いてしまった。
前を向く。ぷっ、と笑っているあっとが目に入った。
おい、なんで笑ってるんだコイツは?
「 …… 」
ふと気づいた。
それはもう、あっととキスをしそうな距離だった。
「 ぁあああぇ、っ!? 」
電車だから、小さな声で。
気づかなかった俺のバカ!
脳内で自分のことを責めているとあっとはさらに笑った。
「 ほら、ドア開いたぞ?行こ、まぜ 」
ぎゅっとさりげなく手を繋がれる。
体は熱を出した時のように熱かった。
耳まで真っ赤かもしれない。
「 ……まぜ 」
目的地に向かう途中で、優しい声で名前を呼ばれた。
「 聞きたくない 」
俺がそう言ってもあっとは話を続ける。
「 なんで俺に壁ドンしたの?笑 」と、笑って。
わかって言っているだろう、知ってる。
「 ……なんでもいいだろっ!! 」
「 ふふっ、笑 」
つい大きな声で言ってしまった。
周りを見渡す。よかった、俺らしかいないみたいだ。
ようやく、2人の空間になった。さっきの何倍も何百倍も居心地がいい。
「 ……あっと 」
俺もあっとの名前を呼ぶ。
周りに誰もいないなら―――
「 …え、 まぜ……? 」
俺はあっとの手をぎゅっと握った。
ちがう、ちがうからな。
これは、あっとを守りたいだけ。あっとと手を繋ぎたいわけじゃない。
「 ……今日のまぜは積極的だな〜笑 」
「 うるせっ… 」
気づけば、俺はさらに強くあっとの手を握っていて。
横に寄って、傍から見たら彼氏に甘えている彼女のようだ。だけど、俺は違うからな……!!
「 ―――違う、のか、? 」
俺は聞こえるか分からないくらいの小声で呟いた。
自分の鼓動がうるさくて、その答えがわからなかった。
「 ……っ、 」
さっきの距離を思い出して、また体が熱くなった。
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