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コメント
7件
やっぱいいなぁ~~❕
花嫁の儀が終わった翌日。
澪は朝の光に照らされながら、ゆっくりと目を覚ました。
(⋯⋯昨日のこと⋯⋯夢じゃないよね)
頬に触れると、まだほんのり熱が残っている気がした。
「澪さん」
「っ⋯⋯!」
振り向くと、障子を向こうから朧が静かに入ってきた。
「起こしてしまいましたか」
「い、いえ⋯⋯今起きたところです⋯⋯」
朧は澪の枕元に膝をつき、そっと髪に触れた。
「寝癖が⋯⋯ついていますね」
「えっ⋯⋯あ、あの⋯⋯自分で直します⋯⋯!」
「いいえ。私が整えます」
朧の指先が澪の髪をすくい、優しく撫でるように整えていく。
(⋯⋯ち、近い⋯⋯)
澪の心臓が跳ねる。
「澪さん。顔が赤いですよ」
「そ、そんなこと⋯⋯!」
「熱はありません。照れているだけですね」
「っ⋯⋯!」
朧は淡く微笑んだ。
朝食のあと、澪が庭へ出ようとすると──
「澪さん」
朧がそっと袖を掴んだ。
「⋯⋯手を、繋いでもよろしいですか」
「え⋯⋯?」
「昨日の儀のあとから⋯⋯あなたに触れていたいと思うのです」
澪の胸が一気に熱くなる。
「⋯⋯はい」
朧は澪の手を包み込み、指を絡めるように握った。
その手は温かくて、離れたくないと思ってしまう。
「澪さんの手は⋯⋯落ち着きます」
朧があまりにまっすぐに事を言うので、澪はどくん、と胸が跳ねる。
「お、朧さんの方こそ⋯⋯」
ふたりは手を繋いだまま庭を歩く。
風が吹くたび、朧は澪の肩にそっと手を添えた。
「寒くありませんか」
「大丈夫です⋯⋯朧さんがそばにいてくださるので」
朧は少しだけ目を細めた。
「⋯⋯その言葉が、嬉しいです」
庭の端で、小さな妖が澪に近づいた。
「ミオ、ミオ、あそぶ?」
可愛らしい妖で、澪は思わず微笑む。
「ふふ⋯⋯可愛い」
妖が澪の手に触れようとした瞬間──
朧がすっと澪を引き寄せた。
「澪さんに触れていいのは⋯⋯私だけです」
「お、朧さん⋯⋯!?」
妖は「ひゃっ」と驚いて逃げていった。
澪は頬を赤くしながら朧を見る。
「朧さん⋯⋯嫉妬しましたか⋯⋯?」
「しました」
即答だった。
「澪さんに触れようとする者がいれば⋯⋯誰であっても許しません」
「⋯⋯そんなふうに思ってくださるなんて⋯⋯」
澪は胸が熱くなるのを感じた。
朧は澪の手を握り直し、そっと囁いた。
「澪さん。あなたは──
⋯⋯いえ、なんでもありません」
「⋯⋯言ってほしかった⋯⋯」
澪は朧に気付かれないくらいの小さい声で、ぼそりと呟いた。
夕暮れ。澪が縁側で風に当たっていると、朧が隣に座った。
「今日の澪さんは⋯⋯いつもより可愛らしかったです」
「そ、そんな⋯⋯」
朧は澪の頬に手を添え、ゆっくりと顔を近づけた。
「⋯⋯触れて、いい?」
澪はいつもとは違う朧の態度に少し驚きながら、無言でこくん、と頷く。
朧は澪の頬にそっと軽くキスを落とした。
「澪さん。あなたと過ごす日々が⋯⋯愛しいです」
「⋯⋯朧さん⋯⋯私もです」
ふたりは以前よりも距離が縮まっていた。
そして、甘さも深さも増していた──。