テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
先に💛side前編を読むことをオススメします。
⚠︎︎メリーバッドエンド
⚠︎︎胸くそ表現、暴力表現有🔞
💜side
命よりも、大事なものがある。
アイドルという業界に足を踏み入れたのはまだ子どもの時で、それから紆余曲折あった。
大事にすべきものが決まったのは、今のグループになってからだ。
グループが決まってからも、デビューという道は遠く、喧嘩もあれば、解散という文字も何度も横切って。
ずっとずっと大事にしていた6人から、ある日突然9人になった。
守るべきものが増えて、俺の両手じゃ支えきれない重荷が増えた。
最年長という肩書き。
まだ、デビューが出来ないというレッテル。
後輩はどんどん先を行くのに、俺だけずっと置いてかれて。
自分を含めて、6人すら導いてやれなかった。
それが9人になった。
焦りもあったと思う。
出来ることは全部してやりたかった。
それでグループが売れるなら。
それで皆の仕事が増えるなら。
俺が犠牲になる事は苦ではなかった。
だからあの日、紹介されたプロデューサーから仕事の代わりに身体を求められた時、俺は二つ返事で快諾した。
ここで断れば仕事の本数が減ってしまう。
またデビューの道が遠ざかってしまう気がして。
何にも持ってない俺だから、せめて皆のことを陰ながらでも支えたくて。
この一線を越えてしまえば、もう振り返ることができないと分かっていても、俺はその線を自らの足で越えた。
紹介が紹介をうみ、気付けば戻れないところまで足を踏み入れてしまっていた。
毎晩のように呼び出されて、気持ち悪いジジイ共に抱かれて。
時にはストリップのように沢山の人の前で脱がされて、ハメられて。
「次のCM、考えてやるよ」
そう言われれば、ジジイのモノでも喜んでしゃぶった。
「阿部くんや佐久間くんの方が可愛くて好みなんだけどねぇ…。紹介してくんないの?」
そう言われれば、泣いてアイツらには手を出さないでくれと懇願して、自ら後ろを開いて突っ込まれて。
日が増すほどに心は疲弊して、だけどアイツらには勘づかれないように仕事じゃ笑って。
家に帰るのも億劫で、ホテルにそのまま寝泊まりする日も増えた。
口の中がいつまでも不快で、食事すらまともにとれなくなっていた。
だけど倒れる訳にはいかないから、むりやり流しこんで、時には吐いて。
分かってる。コレが自分のためにも、グループのためにもなってないことくらい。
むしろこんな汚いやり方で仕事を貰ってるなんてバレたら、きっと俺はこのグループにいられなくなる。
それは嫌なのに、分かってるのに、辞められない。
無理やりにイカされて、何人も、何度も突っ込まれて、みっともなく喘いで。
────疲れた。凄く。
精にまみれた身体をベッドから起こして、シャワーを浴びて、無意識に身体は照の家に向かっていた。
唯一、俺が信用して、心を預けれる男。
時計を見れば、深夜23時。
きっとまだ起きてる。
そう思って、覚束無い足取りで照の家に向かって、インターホンを押した。
眠る直前だったのか、眉間に皺を寄せた照がドアを開けてくれた。
その顔を見て、少しだけホッとした。
毎日のように仕事で顔を合わせてるのに、プライベートとなればやっぱりちょっと違っていて。
顔を見て、すぐ帰るつもりだったのに。
心に反して身体は安息の場を求めていたらしい。
「照。今日から俺、ここで暮らすから」
自分でも驚くほど、急に出た言葉。
小さな荷物しか持っていないのに、自分でも何言ってんだろって思った。
だけど、照はきっと断らない。
色々と汲み取って、面倒だけど俺を受け入れる。
案の定、照も何言ってんだ?みたいな顔で俺を見てきたが、深くは問われなかった。
「……なんで」
「家に帰りたくないから〜」
「酔ってんの」
「なぁんにも呑んでないよ」
わはは、と笑って、招かれてもないのにズカズカと照の家に上がり込んだ。
もつれる足を、悟られないようにして。
久しぶりの照の家の空気を肺に吸い込む。
身体に染み付くような煙草の匂いや、汚いジジイの身体の匂いも忘れるほど、安心できるいつもの香り。
俺を追いかけてリビングの扉を閉めた照に、背後から話しかけられた。
「…どこ行ってたの」
「…散歩してたら、照に会いたくなったの」
「嘘だろ」
「……ホント」
少しだけ口角を上げて微笑んだ。
照に嘘をついたところで、見破られるのはオチだ。
だけど、会いたくなったのは嘘じゃないよ。
いつだって俺が心を許してるのは照だけだから。
出会ってからずっと、気付けば隣に居たのは照で。
何も言わなくても伝わる。
何をしなくても分かり合える。
その距離感が心地よくて、俺の心の拠り所はいつもここだった。
ほら、解けるように、眠気が襲う。
「俺、ソファーでいいよ」
「当たり前だろ。勝手に転がり込んできたのに」
「でも…帰れって言わない」
「言っても帰んないでしょ」
「照は優しいね」
その優しさが、余計に自分を苦しめる。
知られたくない。
照に嫌われたくない。
だからこそ、隠し通さなければいけない。
ずっと隠し通せるなんて思ってもないけれど。
───お願いだから照、気付かないで。
重たい瞼が閉じてゆく。
俺はそのまま、久しぶりに深い眠りに落ちた。
それから数週間、俺は照の家に当たり前のように帰った。
もうほとんど帰ることが無くなった自宅から、歯ブラシとお気に入りのシャンプー、着替えは数着だけ持って、少しずつ照の家に私物を増やして。
一緒にご飯を食べる日もあった。
照が作ったチャーハンは美味しくて、あんなに食べることを拒否してたのにおかわりまでして。
そんな日々だけが続けばいいのに、相変わらず俺の携帯は毎日のように震えて呼び出される。
あまりに酷く抱かれた日は、疲れや合わせる顔もなくて帰れない日もあった。
ホテルのシーツに包まって、照を想って泣いた。
照の家に住むようになってから、より一層、この行為が苦しくなった。
辞めたいのに、辞めてしまえば終わってしまうのではないかという恐怖があって。
もう少し、あと少し頑張ればきっと日の目を浴びる。
ライブも何万人も呼んで、そこで皆で笑って、頑張ったなんて笑って。
こんな汚いことをしている俺が、その場に立つ資格もないんだろうけど。
そんなことばかり思うようになって、考え事も増えたし、時には思い詰めすぎて息を吐きたくてベランダでボーッとしてたり。
仕事では作った顔。
終われば素の顔。
そんな素の顔を見ている照からすれば、何か思うこともあるのだろう。
時おり、心配するように声をかけられるが、「なんでもないよ」とだけ口にすると、それ以上は詮索してこない。
それでよかった。
これ以上、照に求めるものもなかった。
俺だけが皆の嫌なものを抱えて、皆は笑って。
それでいいんだよって言い聞かせてた。
仕事は楽しい。
だけど、夜が苦しい。
夜だけは、俺を飲み込んで溶かしていく。
震えた携帯を握りしめて、指定された場所へ今日も足を向ける。
表向きは普通の会食。
まだ俺が到底自腹を切って食べれるようなものじゃないご飯を、無理やり喉に流しこんで。
この後、俺はこのジジイに抱かれる。
そう思えば吐き気が込み上げた。
肩を抱かれて、ホテル街に。
いつも通りの流れのはずだったのに、連れていかれた先、待っていたのは複数の若い男たち。
────嫌だ。
初めて、心から嫌悪感が生まれた。
暴れる俺を男たちが無理やり押さえつけてきて、服を剥がされる。
それを楽しそうに椅子に座って眺めるジジイを見て、やられた、と思った。
悪趣味め。
汚ぇやり方だ。
ふざけんな。
思いつく限りの悪態をついた。
後ろ手に抑えられた俺に、ジジイが近づいて、パンッと乾いた音と、頬に走った痛み。
ふざけんなよ、本当に。
俺がアイドルだって知ってんだろ。
顔はねぇよ、マジで。
跡になるなよ。照にバレたくないんだ。
……照。照に会いたい。照、照……。
目隠しをされて、抵抗もできないまま、犯される。
いつものジジイたちと違って、力強く打ち付けられる腰と、終わることのないSEX。
何度も出されて、何度もしゃぶらされて。
気絶しても叩き起されて、また揺さぶられて。
ようやく終わった頃にはもう日付も回っていた。
「────照……」
壁を伝って、シャワー室に倒れるように入った。
赤くなるまで皮膚を擦って。
それから逃げるように、夜の街から抜け出した。
少し暑苦しい夜、外の空気はじっとりとしていて、喉が渇く。
何とか辿り着いた照の家の鍵を回して、照を起こさないようにゆっくりと玄関のドアを開けた。
静まった、暗い部屋。
照の部屋の前で足を止めた。
少しだけ、顔を見たかった。
起こさなければ、気付かれない。
震える手でドアノブを握って、音を立てないようにそっと押した。
リビングにある香りとは別の、照の香水の匂い。
その匂いに、涙が頬を伝った。
帰ってきた。
照が居る。
俺の帰るべき場所には、ちゃんと照が居る。
堪らなくなって、照のお腹に頭を乗っけた。
少しかけた体重に、ベッドが軋む。
シーツを手繰り寄せて、必死に声を押し殺した。
その瞬間、照に名を呼ばれた。
ビクッと身体が跳ねて、それから照の方を見た。
暗闇でよく見えないけれど、照も俺を見つめていた。
「…どした?」
「っ、……照…」
咄嗟に立ち上がろうとした腕を掴まれる。
やめてくれ。
今は、ダメだ。
こんな汚い身体に触れないで。
そう思うのとは反面に、自分でも気が付かなかった想いが口から零れた。
「……照は、俺が抱いてって言ったら抱けるでしょ…」
────俺は、照に抱かれたかったのか…?
その言葉を吐いて、改めて自分の中にある想いにハッとした。
それは好きとか、そんなんじゃない気がする。
ただ、上書きして欲しいのだ。
照に許して欲しい。
大丈夫だと言って欲しい。
でも、気づかないで欲しい。
色んな想いが交差する。
唇を噛み締めて、ぐっと飲み込んだ。
「なに…」
「……おやすみ、照」
照の言葉を遮るように、照の瞼に手を置いた。
夢だよ、これは夢だ。
忘れて。本心ではないから。
しばらく手を置いてると、照の寝息が聞こえた。
涙を腕で拭って、そっと部屋を出た。
コツ、と軽く頭に当たった何かに、ゆっくりと瞼をあげた。
深く眠れなかった瞼が重くて、何度か瞬きをして、ようやく照を見る。
「…おはようね、照」
「なぁ、昨日さ……」
照が口を開いて、押し黙る。
聞けないでしょ。
分かってる、照の性格的に、今は聞けないこと。
ズルいよね。でも、動揺したら負けだ。
真っ直ぐに照を捉えて視線を離さない。
手を口に当てて、しばらく考え込んだ照は、やっぱり何も問わなかった。
「ごめん、何でもない。レッスン行くぞ」
「…ん」
ほらね、照は優しい。
俺が笑うと、照は苦しそうな顔をする。
きっと何かに気付いてる。
でも言えないと分かってるから、俺は調子に乗ってたんだと思う。
雨が降る。
叩きつけるほど酷い雨が降り注ぐ中、いつも通りにホテルを出て照の家に帰る。
23時。
合鍵を取り出して、鍵を回す。
玄関の扉を開けると、珍しくリビングの電気がついていた。
「……起きてたの」
リビングに入ると、照はソファーに腰をかけて、俺を見た。
座って、と一言いわれて、一瞬で理解した。
なるべく動じないように唾を飲んで、俺も隣に座った。
お互い目は合わせないまま、重たい空気が流れる。
「…ふっか、お前さ、何してんの」
照から出た言葉はたった一言。
指先から一気に全身の血の気が引いた。
きっと照は全てを知った。
知った上で、俺に確認を取ってる。
多分、照は俺を責めないし、自分が悪いとでも思ってるんだろう。
でもね、照、違うよ。
コレは俺が望んだことで、俺が勝手にやったこと。
誰も悪くない。俺が弱いだけ。
ゆっくりと瞬きをする。
俺を見た照に何も言わずに笑った。
それが気に食わなかったのだろう。
俺の肩に伸びてきた手が、俺を座面へと押し倒した。
突然のことにびっくりして、は…と息が漏れる。
やけに心臓がうるさい。
照の顔が間近にあって、息がかかる。
でも、ここで俺が反応したら、照は俺に何を求めてくる?
抱けるでしょ、と問うたのは俺だ。
だけど、抱かれるつもりはない。
言葉の綾に過ぎないのだ。
「……照」
大きく息を吸って、真っ直ぐに照を見る。
一瞬、照がたじろいだ。
無理でしょ、照。
汚いジジイに抱かれる俺を抱くことも、俺を救うことも、きっと今は出来ないでしょ。
雨の音がより一層強まった。
結局、俺はそれ以上何も言わなかったし、照も何も言わなかった。
もう、ここに居たら、お互いにダメになる。
俺も照も、どうしたらいいか分からなくなる。
お互いの感情がブレてしまえば、仕事にも影響しかねない。
優しさに甘えるのはもうお終いにしよう。
その日の朝方、俺はスマホと財布だけを握りしめて、照の家を出た。
もう帰ってくることはない家に、後ろ髪を引かれながら。
それからも俺は夜の街を徘徊しては、ジジイ共に抱かれる日々を送った。
照の家に帰らなくなってから、抱かれることに対しても心は無になった。
それで仕事が増えるなら、名が売れるなら心なんて無になってた方が上手くやり過ごせる。
だけど、そんな俺の反応がつまらなくなったのか、手を出すやつらが増え始めて。
顔だけは必死に守った。
その代わり身体に痣は増え続ける。
なるべくファンデーションなどで隠して、メンバーに気付かれないように着替えたり。
そうやって上手く立ち回る。
陰ながら支えて、今日もみんなが笑ってるなら俺も笑えた。
でも照だけは、俺を諦めなかった。
しつこいほどに話をしたがって、逃げてもまた顔を合わせれば詰め寄って。
照が気にすることじゃない。
これは俺の問題だ。
もう、放っててくれ。
あの日過ごした時間があっただけでも、俺は救われてたよ。
今日もまた話しかけられて、逃げようとしたら手首を掴まれて、そのまま壁に押しやられた。
ガンッとぶつかった頭が痛む。
でも照はそんな事も気にせずに俺に向き合って。
「ふっか!!話聞けって!」
「…何も話すことない。お前は与えられた仕事をちゃんとしろ」
「だから…っ、ちゃんと話をさせて。帰ってこいよ」
───帰ってきてもいいの。
その一言が、俺にとってどんなに重たいか。
どんなに嬉しくて、苦しいか。
視界が揺らいだ。
でも、帰れないよ、照。
照が帰ってきて欲しい理由はなに?
俺をどうしたいの。ねぇ、聞かせてよ。
「…照は、俺を抱きたいの?」
「は……?」
眉間に皺を寄せて、苛立った顔。
そんな顔しないでよ。
俺はお前に、俺のことなんて気にせずに笑っていて欲しいだけなのに。
掴まれた手首が痛い。
照の気持ちが分からない。
口を開いて出たのは、諦めてもらう為の一言だった。
「……だったら、見つけてよ。俺を見つけたら、抱かせてやる」
緩んだ手の隙から、逃げ出した。
追いかけてこないで。
照の指先が俺を掴みかけて、離れた。
そう。それでいい。
見つかるなんて思ってない。
照が本当に見つけに来るだなんても思ってなかった。
だから冗談めかしく、 まーだだよ、なんて言って。
大丈夫。
なんともない。
こうやって物のように扱われて抱かれることも。
自ら口を開けて強請るようにジジイのモノを咥えるのも。
大丈夫、大丈夫。
脳裏にメンバーの笑顔を貼りつけて。
きっとまた朝が来れば、あいつらと笑える自分がいる。
何も知らない皆に、おはようと笑える朝が来る。
ただ、その為に終わりのないこの夜を過ごすだけ。
ねぇ、照。
本当に見つけに来てくれることがあるのなら、俺は本当にお前に抱かれてもいいよ。
慣れてるなんて言わないで。
想われて抱かれるのは初めてだから。
慰めでもいい。同情でもいい。
俺を捕まえてみてよ。
答えが欲しいのは、俺も一緒だよ。
また雨が降る。
雨は嫌いだ。
空も暗く、余計に闇を連れてきて、自分の存在さえ陰るから。
少し重たい上着を羽織って、厚底の靴を履いて、靴紐を締める。
ファーの着いたフードを深く被って、バレないようにホテル街へと足を向ける。
傘はいらない。
どうせ汚れるのだ。
だったら洗い流して欲しいから。
パシャッと水溜まりで泥が跳ねる。
それも気にせずに、段々と重くなる足取りを必死に前に向けて。
指定された部屋をノックすれば、すぐに手を引かれた。
フードが落ちる。
髪が揺れて、前髪が浮いた。
強い煙草と香水の混じった香りに眉を顰めながら、ベッドに倒される。
「深澤くん、久しぶりだね。今日は前と後ろ、どっちからがいいかい?」
「……どっちでもいーよ」
「生意気な口を聞くようになったね。ここ最近の君が、酷くつまらなくなったと聞いてね…。仕事にも影響するだろう?ほら、コレ飲んで」
手のひらに差し出された薬に、心臓が大きく跳ねる。
いやだ、と首を振るも、近づいてくるジジイに髪の毛を鷲掴みにされて。
唇を血が出るほど噛み締めた。
「なぁに、怖がらないで。ただの催淫剤だよ」
「……レイプドラッグだろ」
「そんな危ないもんじゃないさ。ちょっと気持ちよくなるだけだよ」
「ぃ、やだ…ッ、!!しゃぶるから…!!他のことなら何でもするからッ…っ゛!!!!」
黙らされるように殴られて、 口端に血が伝う。
だから、顔はやめろって。
消せねぇんだよ。勘づかれんだって、照に。
痛みに耐えてるところに無理やり薬を捩じ込まれて飲まされた。
そこからの記憶はほとんど無くて。
気付けばいつも通りベッドの上。
もう、シャワーを浴びるような力もなくて。
何とか着替えて身体を引きずりながら、どうにか外に出た。
全て雨に流して欲しくて。
足がもつれて、力が入らない。
人気のない路地裏に身を寄せて、そのまま壁に背をつけてズルズルと座り込んだ。
頭に降りかかる雨さえ、今はもうどうでもいい。
ひかる。
会いたいよ、照。
雨の音に混じって、靴裏が水を弾く音がした。
頭に降り注いでいた雨が、傘を叩く音に変わる。
俯けていた目線を少しあげると、 コンクリートの上、見慣れた靴先が見えた。
そこからゆっくりと顔をあげる。
────なんで。
ボロボロと涙が自然に溢れて、雨のように滴り落ちていく。
バカじゃねぇの。
本当に探しに来るなんて。
お前は本当にバカだよ。
「……帰るぞ」
静かに優しく、照が口にした。
苦しくて、唇をぎゅっと結ぶと、照が怒ってるような、困ったような顔をして。
しゃがみこんで、目線が合う。
それ以上言わないのも、ズルいよ照。
なんて顔してんの。
負けたのは俺なのに。
フッと口端を緩めて笑った。
「……見つかっちゃった」
そう言うと、照はどこか安堵したような顔を見せた。
腕を掴まれて、強引に引かれて照の家へ。
狭い玄関で乱雑に靴を脱ぎ捨てて、そのまま風呂場に押し込まれたかと思えば、頭にシャワーが降りかかる。
まだ温もりきれてないそれは冷たくて、冷えた身体を余計に冷たくさせそうなのに、照の胸元に寄せられた身体は熱を持つ。
「……照…」
名前を呼んでも、照の腕は力を増すだけで離してはくれない。
身を少し捩れば、逃げると思ってるのか、更に強まって。
どうすることも出来なくて、ジッと照を見ていると、気づいた照も俺を見つめ返してきた。
それから、俺の口端が切れてるのを見て、顔を歪める。
そっと指が触れる。
思わず身体が強ばった。
眉を下げた照が、小さく呟いた。
「……顔はダメだろ」
「…ごめん」
ほら、困らせる。
そんな顔をさせたい訳じゃないのに。
顔を見れなくて、目を伏せる。
ふっか、と照が俺を呼ぶ。
伏せていた瞼を恐る恐る照の方へ向けると、照の唇がゆっくりと近づいてきた。
咄嗟に出した手のひらがそれを遮る。
「……キスは、だめ…」
小さく紡いだ声に、照が舌打ちをした。
ダメだよ、照。
それを許してしまえば、お前まで戻れなくなる。
きっと俺も壊れてしまう。
縋りたい、縋れない。
頼りたい、頼れない。
誰にも触れさせてない唇。
それだけはまだ、照にもあげれない。
いつか自分を許せる日が来たら。
こんな慰めでもなくて、ちゃんと心から俺を求めてくれる日がくるのなら。
その時は…ねぇ、照。俺を許して。
寄せられた唇がそのまま下へと滑っていく。
さっきの薬はだいぶ抜けているけれど、余韻はまだ残っていて。
ん…と甘く吐息が漏れる。
照の目付きが変わった気がした。
水を含んで更に重さを増した上着が剥ぎ取られて、シャツの上からぷっくりと主張する乳首に歯を立てられた。
「あ゛アッ…!!?」
いきなりの刺激に、照の髪の毛を掴んで、背中を仰け反らせる。
俺が崩れないように、腰に手を添えて。
余裕なんてないくせに、優しい。
そのままジュッと吸われて、 舌を這わせて、吸って、また噛んで。
ビクビクと跳ねて逃げようとする身体に、照が腕を巻き付けて離さない。
「ぅ、ぁあ゛…ッ!!照…っ、照…!!」
「逃げんなよ…見つけたら抱いていいんだろ」
「待っ…!!やだ、おれ…ッんあ゛…ッッ!!!」
「抱いて欲しいんだろ、ふっか。…言えよ」
「照…ッ、ちが、待って…!ぁん゛ッ、…ぁ゛!」
戯言にすぎない俺の言葉を、照はずっと気にしてたのか。
こんな汚い俺に触れようとしないでよ。
分かってるんでしょ。
分かってるよ、俺も。
照が俺の事を分かってることも、きっと俺が抱いてって泣きつけば、断るなんてしないことも。
張り付いたズボンを下着ごと無理やり脱がさらて、向き合ったまま片足が照の腕に持ち上げられた。
裸なんて見慣れてるはずなのに、こんなに至近距離でまじまじと見られるなんて恥ずかしさが込み上げる。
俺のモノは既に緩く勃っていて、照のもズボンの中で膨らんでいる。
────興奮してんのか、こんな俺に。
それが嬉しいからか、それとも怖いからか、震えながらも、照の首に回した腕は解かない。
照の指が俺の後ろに宛てがわれる。
先ほどまで別のモノを飲み込んでたそこは、すんなりと受け入れて。
すぐに中が畝って、物欲しそうに指を締め付ける。
苛ついた顔をした照が、下着ごと自分のズボンを脱いだ。
そそり勃ったモノを見て、カッと顔が赤くなるのが分かった。
挿れられるのなんて慣れてるはずなのに、怖くなって。
待って、と静止するも、一気に奥を貫かれて。
そのまま勢いで吐精する。
「───ん゛ぁあ゛ァ゛…ッッ!!!!」
「~~~ッ、あ゛っつ゛…!!」
照の腹と、俺の腹に放たれた精液がシャワーで流れていく。
熱が籠って、暑くて頭が蕩ける。
イったのに照は止まることなく腰を激しく打ち付けてきて。
やめて、待って、照、止まって。
叫んでも照は聞く耳を持ってくれなくて、揺さぶられる度に涙が溢れた。
何も考えれない。
ただただ、気持ちいい。
腹の中がじんわりと熱くなって、照が俺の中でイったのだと気づいた。
俺もまた薄まった欲を吐き出して。
濡れた身体も拭かずに、風呂場から連れ出されて、 寝室のベッドへと投げられる。
散々やられた後、照ともヤッて、身体はもう限界に近いのに。
嫌だと暴れて逃げようとすれば、すぐに腰を掴まれて引き寄せられて。
突き出すようにあげられた尻から、先ほど出された白濁が溢れた。
指の腹で拡げられたそこに、また照のものがゆっくりと沈められていく。
その中途半端な優しさが、苦しい。
指先でシーツを手繰り寄せて、顔を埋めた。
ゆっくりと律動されれば、また甘い刺激が押し寄せてくる。
「……ふっか、気持ちい?」
「…ッ、ぅ…!ふ…ん、ぅあ゛…!!」
「なぁ、帰ってこいよ。ちゃんと待ってるから…」
「あ゛ッ!!ゃ、あ、あ、ッん゛!!ァあ゛ッ…!!」
「ふっかの好きなもの、ちゃんと用意しとくから。もう、ひとりで頑張んなくていいよ、ふっか… 」
ひとつひとつ、照の口から零れ落ちる言葉に、喉を震わせる。
痛い。棘が刺さるように心が締め付けられて、痛い。
でも、照の問いに、俺が答えることは無かった。
間違ってると分かっていても、無理なんだよ、照。
シーツを握りしめた俺の手に、照の手が重なって、絡められる。
緩やかだった律動が、欲を出すために早くなる。
再び中へと吐き出されて、フッと意識が途切れた。
暗闇の中、息苦しさで目を覚ます。
胸に巻き付けられてる腕。
横を見れば照が寝息を立てていて。
夢ではなかったんだと思った。
俺を逃がさないためだろう。
抱きしめられたその腕は、寝ていても少し動けば力が加わる。
「……ほんと、バカだな」
照の頬を撫でて、ゆっくりとその腕の中から抜け出した。
照の家に残しておいた服を着て、照が目覚めないうちに外へ出た。
登り始めた朝日が少し眩しい。
風は穏やかで、ひんやりして気持ちいい。
久しぶりに、朝焼けに照らされた街を綺麗だと思えた。
適当に時間を潰して、早めに事務所へと向かった。
後から来た照に、何も変わらず、当たり前のようにおはようと挨拶をして。
唇を尖らせた照が、机に置いた俺の手に、自身の手を重ねてきた。
「……帰ってくるんでしょ」
とても寂しそうな声に、目を見開いた。
なんて声で言ってんだって、ちょっと笑った。
ねぇ、照。もっと遊ぼうよ。
俺はまだ、帰る気はない。
今日も、これからも、俺はメンバーの為に、お前の為に身体を差し出して。
でも、前ほど苦痛ではないよ。
だって、照はまた俺を見つけてくれるんでしょ。
何度も、どんな夜だってきっと。
雨が降れば傘を差し出して。
「……また見つけてよ、照」
俺がそう言うと、分かっていたかのような顔で、照もほんの少しだけ笑っていた。
今日も俺は、喧騒渦巻く夜の街に繰り出す。
足取りは前よりも軽くて。
鼻歌を歌いながら、隠れるように溶け込んでいく。
いつかきっと、照とちゃんと向き合えたら。
この想いが名のあるものに変わるとしたら。
きっと俺は、心から笑って、お前の手を握り返すよ。
星のない夜空を見上げて、白い息を吐く。
「もういいよ」
早く俺を見つけてよ、照。
💜side END.
同時更新、読了ありがとうございます。
💛からしたらまだ救えてないバッドエンド
💜からしたら少しは救われたハッピーエンド
読み手からすれば視点が様々変わるメリーバッドエンドかなと。
こういうお話を一度書いてみたくて。
胸くそすぎて申し訳ない🙃笑
この1ヶ月、書きたいのめいっぱい書けたので
次回からリクエスト消化していきます。
お待たせしてしまいすみません💦
コメント
22件
うわぁぁ、、すごく心が苦しいです😖視点によって話の暖かさが違って泣けました、とくに💜視点が、、、😭いつかこの物語のなかのふっかが幸せになれたらいいなぁ🥹
フィクションだとわかっているのに感情移入してしまって、涙が止まりません。毎話素晴らしい作品をありがとうございます。次回作も楽しみにしています。
気づいたら泣いてました😭 もどかしいけどふっかさんからしたら少し救われててでもひーくんからは救えてないようなこの2人がどうなっていくのか気になりますねぇ…でもどうかハッピーエンドになって欲しい( ߹꒳߹ )
#あべさく
夢花𓂃𓂂ꕤ*.゚
6,825
#あべさく
うめぼし
1,721
めかぶぷりん
248